概要
田宮模型(現・タミヤ)から発売されているミニ四駆のシリーズの一つ。第2次ブームが収束し、所謂「冬の時代」だった2005年に登場した新シリーズである。
登場の背景には、バンダイから2004年に発売されたWGP(ウェブグランプリ)バクシードの存在もあったが、ミニ四駆PROの登場をきっかけとしたタミヤの怒涛の攻勢は、結果的にバクシードを文字通り「爆死」させてしまうこととなった。
これまでのシャーシ後方(または前方)に置かれた片軸モーターが動力源だったシャーシの概念を覆し、エンドベル側からもシャフトが伸びる「両軸モーター」を中心部に配置し動力源にする事で、それまで当たり前だったプロペラシャフトが存在せず、駆動効率も(金型精度の向上もあって)段違いに良い。
また、ブームを牽引した『ダッシュ!四駆郎』のボディを載せた物、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』の読み切り漫画に登場するモデルも発売された事から第1次・2次ブームど真ん中の世代もこのシリーズに触れることとなり、大きなカルチャーショックを受ける事となった。
シリーズの核となるシャーシは2種類が存在し、モーターと電池が収まるセンターユニットをメインとして前後のユニットが分割式になっているMSシャーシと、シャーシが一体化されサイドステーが追加されたMAシャーシがある。MSシャーシのフロントバンパーはキットにより2種類あり、それらとは別に「バンパーレスユニット」及び軸受けのサイズやトレッドの変更ができる強化シャーシがグレードアップパーツとして発売されている。
ギヤは3.5:1、3.7:1、4:1の3種があり、大径タイヤには4:1を、小径タイヤには3.5:1が標準で用意され、3.7:1はグレードアップパーツとして用意された。なお、片軸モーター用シャーシの物とは色の組み合わせが異なる。
マシンは著名なデザイナーが手掛けたオリジナルモデルの他、上述通り原作付きマシンのボディをMS・MAシャーシ用に改修・リデザインしたもので占められている。2018年には実車モデルがそのままラインナップに加えられる(トヨタ ガズーレーシング TS050)。
同じモデルの色違いやコラボモデルが発売されることもあるが(俗に言うバリエーション展開)、そちらは生産数を絞ったミニ四駆特別企画品に分類され、一般発売のもの以外はミニ四駆PROシリーズにナンバリングされない。
シリーズ開始から2013年1月発売のアストラルスターまでMSシャーシを採用したが、同年6月のブラストアローを境にMAシャーシに交代。現在ではこのシャーシをベースにした新作モデルが開発されている。また、アバンテMk-Ⅱまでは扇形のフロントバンパー「N-01」、それ以降に発売のマシンは強化された「N-02」を採用する。
とはいえMSシャーシが時代遅れやポテンシャル不足になったわけではなく、むしろ上級者ほどサスペンション機構を持つMSフレキを制作するためにMSを好んで使用し結果を残している。そこがミニ四駆の面白いところでもある。
また、ミニ四駆REVシリーズと違い、今までなかったダブルシャフトモーターのシャーシを前提にした規格でボディがデザインされているためか、原作付きでもこのシャーシを使用したマシンは「レーサーミニ四駆」や「フルカウルミニ四駆」にカテゴライズされる事はない。
登場初期には完成済みのマシンがミニ四駆PROシリーズとしていくつか発売されたが、2022年より発売のライキリとジルボルフをベースに低年齢の初心者をターゲットにした半完成ミニ四駆(カラードクリアボディに動物フィギュアを乗せている)については「ビギナーズミニ四駆」という新たなシリーズで発売されることとなった。
10年以上続く歴史の長いシリーズのため、初期の一部商品は絶版になっておりプレミアがついてるので注意。
全てのボディに対応ではないが、グレードアップパーツNo.356「MSシャーシ ミニ四駆ボディ用アダプター&ボディキャッチセット」を使うことで片軸モーターのボディもMS/MAシャーシに搭載できるが、現在このパーツは販売されてない模様。
ミニ四駆PROシリーズ一覧
MS
ナイトロサンダー・ブルー
ナイトロフォース・グリーン
ナイトロサンダー・イエロー
ナイトロフォース・レッド
ナイトロサンダー・ブラック
ナイトロフォース・シルバー
ナイトロサンダー
ナイトロフォース
ダッシュ1号・皇帝(MSシャーシ)
ダッシュ2号・太陽(MSシャーシ)
ダッシュ3号・流星(シューティングスター)(MSシャーシ)
ダッシュ01号・超皇帝(スーパーエンペラー)(MSシャーシ)
MA
ミニ四駆スターターパックMA パワータイプ(ブラストアロー)
トヨタ ガズーレーシング TS050
トヨタ ガズーレーシング WRT/ヤリス WRC
トヨタ GRスープラ
ロボレース デボット2.0
余談
このシリーズに採用されている両軸モーターはミニ四駆PRO専用開発と言うわけではなく、近年ではアオシマから発売されたサンダーバードの「電動シングル走行 磁力牽引車」にも採用されている。このキットのシャーシ部品はモーターを2個使用するリモコン走行モデルと共用し、両軸モーターを使用することで単体での走行を可能にしたもの。
サンダーバードシリーズはイマイの金型をアオシマが引き取って再販しているが、このキットはイマイの再販品ではなくアオシマ開発品である(イマイ発売品はゼンマイ走行なのでそもそも部品構成が異なる)。
そのほか、80年代にヨーデル模型から発売された「80ミニカーラリーシリーズ」という、コミカルミニ四駆を小さくしたモデルで両軸モーターが採用されていた。ただしこちらはコミカルミニ四駆(を含めた初期のミニ四駆)同様ウォームギアによる駆動であるのとモーターの軸長が異なるため互換性はない。