概要
2005年のシャドー・モセス事件の後、リボルバー・オセロットによってメタルギアREXのデータがブラック・マーケットに拡散したことで世界中で開発されはじめたメタルギアの亜種、特に第三世界の国々が持つメタルギアに対抗すべく、アメリカ海兵隊主導で極秘に開発された水陸両用型二足歩行戦車。言わば対メタルギア用メタルギアとも言えるメタルギアだが、後にアーセナルギアの護衛用として設計変更されている。
シリーズを通して様々なバリエーションが登場する。
コードネームのRAYの由来は「マンタレイ(オニイトマキエイ)」と、第二次世界大戦中に連合国側が日本の零戦を別の戦闘機又は零戦の発展型と誤認し与えたコードネーム「Ray(零)」から。
名前にメタルギアの名を冠してはいるが、先述の通り当初は対メタルギア用メタルギア、後にはアーセナルギア護衛用として開発されているため、核搭載二足歩行戦車というメタルギアの兵器としての定義で言えば厳密にはメタルギアではなく、より戦術兵器としての側面を強めた機体である。
このRAYの登場から、メタルギアはいよいよ核搭載二足歩行戦車という当初の定義から外れた発展や亜種への派生を遂げていくこととなる。
機体解説
先述したように水陸両用型で、海兵隊が得意とする沿岸部からの奇襲攻撃を想定した設計となっている。JTIDS(統合戦術情報分配システム)を搭載することで非常に高い索敵能力を有しており、その索敵能力と圧倒的な火力を持つ武装から、開発当初は空母の戦略価値が低下するとまで言われていた。
試作型は単座の有人機だが、量産型はテレイグジスタンスと自立制御システムを併用した完全な無人機である。
試作型は海兵隊主導の対メタルギア兵器だったが、量産型は海軍のアーセナルギアの護衛として設計が変更されている。(それにともない、マークも海兵隊所属を示すmarinesから海軍所属を示すものに変更されている)
武装は、両膝に装備した3連装対艦・対戦車用ミサイル、背部の6連装小型ミサイル、両腕部の機銃、頭部口腔部に内蔵した水圧カッター(ただし使用時は水の補給が必須)など。また、試作型のみ撃ち上げ式コンテナミサイルを装備している。
装甲は最新式のセラミック・チタン系複合装甲で、装甲の表面と内部に伝導性ナノチューブ等の単純なセンサー群が張り巡らされている(装甲表面にうっすらと浮かび上がる六角形状の模様がそれ)。
これにより各部の自己診断システムが装甲の状態変化を検知し、損傷の度合によっては、区画閉鎖や予備回路への切替え等のダメージコントロールを反射的に行うことができる。また装甲が破損した場合は、破損部付近の分泌孔から修復用の赤いナノペーストを分泌し、ある程度の自己補修を行うことも可能。RAYが膝などの弱点を攻撃された際、損傷部位から血液を流すように見えるのはこのため。
駆動系は通電によって伸縮する高分子繊維を用いた人工筋肉アクチュエータを導入している。これにより一種類の駆動系で複数種類の動きが可能になるため、迅速で複雑な動きを滑らかに実現でき、REXに比べて動作がスムーズで生物的になっている。
致命的ダメージではないものの脚部に被弾すると一時的に動きが止まる弱点があり、さらに本当の弱点がある水圧カッター部分を覆う装甲が開口する欠点がある。
被弾した際などに甲高い咆哮を上げるが、これは意図した機能ではなく金属部分が摩擦で軋む音が咆哮のように聞こえている。
劇中の活躍
MGS2
タンカー編
試作型が登場。偽装した石油タンカーでバミューダ海域で演習を行なうべく運搬中に、リボルバー・オセロットによって強奪され、タンカーを沈没させた。
プラント編
アーセナルギアへの配備のために『ビッグ・シェル』深部にて製造された量産型が多数登場、アーセナルギア最深部に辿り着いた雷電と対決する。
量産型は試作型と比べ仕様が一部変更されており、無人機となった以外に、カメラがツインアイタイプからモノアイタイプへ変更され、頭部側面にバルジが追加されているほか、尖っていた膝は平らになり、カラーリングもグレー系の迷彩から茶色へ変更され、尻尾も短くなっている。
ほとんどは雷電によって破壊されたが、無人型は神経回路が光ニューロAI『G.W』のAIネットワークを介していたため、『G.W』がエマ・エメリッヒによって注入されたワームクラスタによって解体されたことで残っていたRAY達も暴走を起こしてしまい、ソリダス・スネークによって破壊された。
試作型はプラント編でも再登場し、リボルバー・オセロットがソリダス・スネークとヴァンプが搭乗したハリアー2を救出する際や、その後はオセロットがリキッドに乗っ取られた際にアーセナルギアから脱出する際に使用された。
尚、本作ではこの後の試作型の行方は不明である。
難易度によって量産型は撃破しなければいけない数が変動するが、最高難易度では20機近く撃破しなければいけない。ちなみにメタルギア戦で一度に相手にするメタルギアの数はおそらくこの作品がダントツ。
MGS4
オセロットに奪取されたアーセナルギア級潜水戦艦「アウターヘイブン」に半埋め込み式で搭載された量産型が登場。MGS2プラント編で登場した量産型と大きくは変わらないが、カメラはラインアイタイプに変更されている。
メイ・リンが指揮する戦艦ミズーリと交戦し、ミズーリの主砲による至近距離射撃で一部機体が吹き飛ばされるなどするも、メイ・リンがいる艦橋の目前にまで迫る。しかしスネーク達の活躍によりワームクラスター「FOXALIVE」で『G.W』を含める代理AIが停止したことにより、RAYもまた機能停止。海へと沈んでいった。
さらに「OUTER HAVEN」のマーキングを施された有人型も登場し、シャドー・モセス島でリキッド・オセロットの操縦で、スネークの駆るメタルギアREXを襲撃している。
外見は無人型とほぼ同様だが頭部形状が異なり、頭部はカメラがツインアイタイプなど試作型の意匠が残っている。
RAYとREXの対決は激闘の末にRAYが撃破され、メタルギアの亜種に対抗するメタルギアでありながら皮肉な事に同じ国のメタルギアに敗れる形となった。ただしこれは開発者のオタコン自身がREXをサポートしたことと、彼がREXに設計当時密かに仕込んでいた近接格闘プログラムが大きい。
なお、小説版では量産型を無理やり有人機仕様に改造したものとされており、これによって当初性能を十全に発揮できなかったこともREXの勝因とされている。
MGR
デスペラード社によって改造された無人型が登場。
サムやサンダウナーの指揮する襲撃部隊と共にマヴェリック社が警護していたンマニ首相を襲撃する。
駆動系の人工筋肉を高分子筋繊維からより高出力なCNT(カーボンナノチューブ)筋繊維に換装したことで生まれた余剰スペースに近接戦闘用のブレードや多目的榴弾発射機、機銃のターレットなどを新たに追加。
さらに頭部の水圧カッターは使い勝手が悪かったのかより汎用性が高いプラズマ砲に換装されるなど、武装面で様々な改造が施されており、機体カラーもデスペラード社のトレードマークである赤と黒で塗装されている。
尻尾は試作型のように長く、カメラは複眼となっている。
しかしMGS4の時からボディは大幅にスペックアップし、なおかつサイボーグ戦士としても百戦錬磨である雷電の敵ではなく、尻尾が切断されたり装甲が切り刻まれる、両腕を切断された挙げ句に胴体を縦に真っ二つに両断され、とんだ噛ませ犬になってしまった。
DLCのサム編でも登場。
ワールドマーシャル社のビルの中で交戦するも生身のサムに装甲を切り刻まれた挙句に真っ二つにされてしまう。
戦闘時の曲は「Rules of Nature」。
サヴァイヴ
BETA版ではオンラインCO-OPにて敵ユニットとして登場。
製品版ではワームホール採掘機防衛時に戦術支援で味方ユニットとして呼び出すことが可能となる。
立体物
マクファーレントイズからはアクションフィギュアのボーナスパーツとしてパーツが付属、集める事で試作型が完成する。
また、コナミからはトレーディングフィギュアとしても発売、ランダム封入でカラーとガンメタの2種があった。
コトブキヤからはプラモデルがMGS4仕様で発売されており、有人改造型と無人型の選択が可能。
迷彩模様のデカールが付属しており、無塗装でもゲームのイメージを再現出来る仕様となっている。
なお、REXは1のゲームの限定版をイメージしたようなヘアライン仕上げのメタリックパッケージであったが、RAYは2限定版の黒や4限定版とは異なりシルバーのパッケージであった。
余談
MGS2のタンカー編でオセロットが「奪う?(愛国者達の下へ)返してもらうのだよ」とRAY強奪で嘯いていたが、古くからのメタルギアを知っている人ならわかるだろうが、メタルギアはソ連のマッドナー博士が開発したという逸話があるわけだが、MGS3で実際はグラーニンが草案していたものである事が判明している。
また、ゴルルコビッチ少佐は「メタルギアは我が国の技術」と主張していたが、悲しい事かなそのメタルギアはソ連時代には荒唐無稽扱いされており、コッチが採用されていた。
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIALでは「スピリット」として登場。RAY(エイ)なのになんと「カエル」に憑依してくる。
メタ的には「メタルギアの亜種が世界中に拡散」、「メタルギアに対抗できるのはメタルギアだけ」、といった台詞はMGS1の後に出た様々な(メタルギアライクな)ステルスゲーをMGS2で打倒するという意味が込められていた。(それを考えるとMGS3の猿蛇合戦での雷電の名を挙げずに「サムやゲイブに任せろ」という台詞が意味深いものとなる)