これが剣術だ
人物
Samuel Rodrigues
CV:平田広明/フィリップ・アンソニー=ロドリゲス(Philip Anthony-Rodriguez)
ブラジル生まれで実家は剣術道場。恐らく日系ブラジル人。
彼の名はポルトガル語読みであり、英語ではサミュエル・ロドリゲスと読む。
別名「ジェットストリーム・サム」。
デスペラード・エンフォースメントLLCに雇われているサムライ風の謎の男で、今作における雷電のライバルキャラ。
日本人ブラジル移民が伝えて独自に変化したブラジリアン剣術『ホドリゲス新陰流』の使い手で殺人剣である『裏太刀』の達人。サンダウナーのような自分の残虐性をさらけ出すタイプというよりは、自分より強い者を斬ることに快感を覚えるタイプの戦闘狂。
無手での戦闘にも優れており、投げなど多彩な格闘手段を持つ。
2000年初頭のSOPもサイボーグ技術も普及していない時代に、重火器で武装したマフィア集団を生身のまま刀一本で殲滅したという伝説を持っている。尚、これは師である父親を殺した弟子の一人に関わるマフィアへの報復であった、とされている。
中南米ではアンデスの冷たい南風、ミヌアーノとして裏社会に恐れられていた。
その後は世界各地を回り、用心棒などで裏社会の揉め事に関わり、自らを法として無法者を斬って回っていた。
しかしそれに限界を感じていたサムはコロラド州デンバーのワールド・マーシャル社に腕試しと称して単身挑む。
なお、雷電がデンバー脱出の際に借用したバイクはサムがデンバーを訪れた際に使用したもの。感謝の言葉は皮肉にも宿敵に向けたものであった。
PMCコントラクターは全身サイボーグが当たり前の時代でありながら、殆ど生身の体のままであり、MGS4でのスネークやヴァンプのようにパワーアシストスーツを着込んでいる程度となんら変わりはない。そのため、雷電らサイボーグが斬りつけられると白い人工血液(ホワイトブラッド)が流れるのに対して、サムが切られた際に飛び散るのは本物の赤い鮮血である。(なお、海外版ではサイボーグも赤い人工血液であるため、生身とサイボーグの違いが判りにくい)
スーツの表面は耐ブレード皮膜で覆われており、多少の攻撃は防ぐことが出来る。
右腕から右胸あたりまでを剣速を上げる為に高出力の人工筋肉で強化、更にプロテクターで覆っており、左右非対称な姿となっている。この右腕は実はサイバネ義手。
フェイスガードは高濃度酸素カートリッジを内蔵した酸素供給装置となっており、戦闘時の酸素不足を防ぐ。
スーツには自己修復機能や電力吸収機能が搭載されている。
そのため、雷電の特殊作戦用義体同様に戦闘用サイボーグから自己修復ユニットやMCSF(燃料電池)の電解質を奪うことでスーツの機能の維持が出来る。
愛国者達の崩壊により流出した技術に元になった技術があったのか、偶然同時期に似たような技術が生まれていたのか、ドクトルが雷電の特殊作戦用義体に使用した技術と何らかの繋がりがあると思われるが、詳細は不明。
DLC第2弾では過去のサムの操作が可能だが、フェイスガードはなく、まだ右腕は強化されていない(義手ではない)ため左右対称の姿となっている。
作中での活躍
物語序盤で雷電と対決し終始圧倒、彼の剣が「快楽に怯えている」ことを見抜き彼の左眼と左腕を斬り捨てた。
その後も活人剣を掲げて戦う雷電の本性を引き出すために様々な手を使って挑発していく。
サンダウナーが敗れた後、大統領暗殺を阻止すべくパキスタンへ急ぐ雷電の前に立ち塞がり、殺人剣に覚醒した彼と二度目の対決に臨む。
LQ-84i(ブレードウルフ)とは以前に何度か行動を共にしており、本心こそ伝えなかったものの多くの影響を及ぼしている。
また、雷電の生き方にも影響を及ぼしており、彼のミームは伝えられていく。
腕試しの際にLQ-84iと交戦しており、戦いに適さないことを見抜き、自由を求めることと共にそれを告げている。
モンスーンとの問答、そしてスティーヴン・アームストロングと交戦、ナノマシンの欠点を見抜いて腕を斬り落とすも、高質化した切断面を槍代わりとしたアームストロングに利き腕である右腕を貫かれてしまい、失ってしまう(右腕を貫かれた直後、力を込めようとするも、力が抜けてぐったりする描写があり、その後では右腕を映さないようにされている為、恐らく右腕切断の重傷だろう)。
限界を感じていたサムは唯一であった戦いでも精神面でも敗れたことで諦め、アームストロングの思想に共感していたこともあって軍門に降るのであった。(なおこの際、アームストロングは自身で貫いて、再起不能にした右腕で握手を求める(当然動かせない)と言うデリカシーのなさを見せている)
戦闘時の曲は「The Only Thing I Know For Real」。ロックに和をプラスした曲調、闘う事しかできない苦悩を表す歌詞が特徴。
高周波ムラサマブレード
サムが使用する高周波ブレード。
先祖代々サムの家に伝わるあの名工ムラサマにより16世紀頃に作られたと云われる戦国太刀を改造して高周波ブレードにしたもの。
玉鋼と高周波の反応により色が赤く変わっているものの、刀身自体は太刀そのままであり、柄に機構を仕込むことで高周波ブレード仕様に改造されている。
インジケータランプを兼ねている目釘を抜くことで刀身を外すこともできる。
高周波ブレードは性能を高めこそするものの、その威力は元となった刀剣の性能に依存するため、サムの高周波ブレードは雷電の持つそれよりも強力。作中最強クラスと称される。
IDロックが搭載されており、ロックを解除しない限りは高周波機構は認証を通ったものしか使用ができないようになっているが、通常の太刀として使うことは可能。
鞘は火薬の爆発力を用いてスパイクを打ち出し、スパイクに押し出される形で太刀が飛び出す高速の抜刀を可能にする機構を備えており、サムはそれを用いた抜刀術を必殺技としている。
そのため、鞘用のマガジンを複数携行している。
鞘のデザインはM16アサルトライフルっぽくなっている。
誰の手により改造されたかは不明。
ちなみに『ムラサマ』の名は初代ウィザードリィに登場する最強の剣『MURASAMA BLADE』が元ネタと思われる。
なお、ケヴィンが調べた妖刀としての伝説は村正のものになっている。
ケヴィンは日本刀について詳しくないためか、太刀を佩いているのを裏太刀は刀も逆に持つのかといった発言をしている。
作中ではサムが雷電との二度目の決闘で敗れ死亡した後、「形見にしたい」と希望するウルフに雷電によって手渡された。
そして物語終盤、ブレードを折られてピンチに陥った雷電に時間経過でIDロックが解除されるように設定されていたこの刀と録音していたサムの言葉がウルフによって届けられ、雷電は最後の決戦に挑む事になる
モチーフ
サムエルの名前や一部の設定は、旧日本軍の開発した戦闘機「烈風」をモチーフにしていることが、作品のディレクターを務めた齋藤健治氏のツイートで語られている(ただし公式設定ではないとのこと)。
同じく戦闘機「雷電」を名前の由来とした主人公でありライバルの雷電とは、以下のような対比がなされている。
- 雷電の本名Jackが「雷電」の連合国側のコードネームだったのに対し、サムエルの愛称Samは「烈風」のコードネームである。
- 「烈風」「雷電」ともに、零戦の後継機候補として堀越二郎氏によって設計された兄弟機である。
- 雷電が「Mr. ライトニングボルト」と呼ばれたのに対して、サムの通称の「ジェットストリーム」は烈風の意訳と考えられる。
余談
サムが遣う「ホドリゲス新陰流」の源流は古流剣術である新陰流である。因みに新陰流には抜刀術や柔術(「道」ではない、「柔道」は投げ技主体のスポーツだが、「柔術」は武芸百般を修め、磨いた武器術や徒手空拳等を戦闘の状況やその時の敵や味方、自分の装備や環境に応じて使い分ける戦場格闘技を指す、剣で戦いながらも剣を弾かれた場合には素手で殴ったり投げたり、蹴りを入れ臨機応変に戦うサムの戦い方は正しく「柔術」である)の技も存在し、サムが剣術以外に抜刀術や徒手格闘に長けていることにも説得力がある。
なお、作中に出てくる「活人剣」と「殺人剣」の定義は「多数を生かす為に少数の悪を斬る剣術」「敵対者は問答無用で斬り捨てる剣術」という感じだが、あくまでそれは理念としての定義であり、剣術のスタイルという定義の「活人剣」と「殺人剣」が存在する。
その定義だと「活人剣」は「相手の動きを活かして翻弄する剣術」で、俗にいう「後の先を取るカウンター剣術」。
「殺人剣」は「相手の動きを殺いで主導権を握らせない剣術」で、俗にいう「先手必勝の攻撃型剣術」である。新陰流系統の剣術は全て「活人剣」であり、本編での戦闘でサムが頻繁にカウンターを放ってくることの説明になっている。
ちなみに「後の先」はごのせんと読み、剣での戦闘において必ず生じる五つの隙の一つで、剣を振っている最中を指す。初戦で雷電の片腕を切り飛ばしたシチュエーション等は典型的後の先。
他は
「先の先」、相手が攻撃動作を取るための準備を行う前の隙、構えさせないことを指す。
「先の後」、意識が攻撃に向いた瞬間の隙、構えから攻撃のために身体が前のめりになり剣を引いた瞬間。
この二つが上述の「殺人剣」における要点、「先手必勝」である
そして「対の先」、敵の手の内がわかっている場合に見出せる隙、見てから避ける後の先とは異なり、読んで一瞬早く仕掛ける事を指す。
これが後の先と併せて「活人剣」の要点でありカウンターの為にあえて相手に先を取らせる戦法となる。
残る一つは「後の後」、攻撃後、攻撃を外したり防がれた後の隙であり、要するに至極当たり前の話である。