概要
単に「モンキー」と呼ぶと50ccの事を指し、本項でも基本的に50ccについて記述する。
特徴は何といってもその小ささであり、成人男性の膝程度の高さしかない。
重量も60kg程度と非常に軽く、ハンドルが折り畳めるようになっている。
これは、自動車に積載して目的地まで運び、そこで降ろして走るという使い方を想定した為である。
元は、ホンダが経営していた遊園地「多摩テック」のアトラクション用の乗り物であったが、1963年にイギリスから「一般販売してほしい」という要望を受けて輸出したところヒットし、更にアメリカからもオーダーが舞い込んだ。
日本では1967年から販売を開始した。
上記の出自により、当初は子供向け遊具のような簡素な作りで誕生したものの、時代の変化と共に改良や装備の充実が図られ、最終的には電子制御燃料噴射装置(インジェクション)搭載となった。
商標としての歴史はカブ、ベンリィに次ぐ長さを誇り、設定された車体色の種類は日本のバイクで最多である。中には全身を金や銀のメッキで飾った派手な限定車もあった。
原付ならではのランニングコストの安さに、スーパーカブ由来のエンジンを含むシンプルな部品構成も相まって、昔からカスタムのベースとして高い人気を誇る。
これは趣味性もさることながら、50ccのままでは道路交通法上の制約が多く、公道で使いづらいという事情も関係している。
アフターパーツメーカー側も精力的にパーツを発売し、金に糸目をつけなければ際限なく手を加えられるまでに豊富な市場を形成した。中にはDOHCヘッドや乾式クラッチ、更にはアルミ製フレームなど、上級クラス顔負けな高性能化が可能。一説にはアフターパーツだけで一台組み上げられるとも言われている。
但し、小さく軽い車体は持ち運びをも容易にしているため盗難率が高く、保管には注意を要する。
2017年3月、排ガス規制の強化をクリアできない事を理由に生産終了を公表。同年の8月をもって生産終了した。
当時はホンダ社長から「50ccの限界」「2030年にガソリンエンジンの原付一種が存続できるのか疑わしい」との発言もあり、先行きは不透明であった。
しかし、2018年7月に後継であるモンキー125を発売。原付二種にサイズアップして復活を遂げた。
先に発売されていたグロムがベースとなっているため、モンキーの名を受け継ぐものの50ccとの共通点は皆無。
車体サイズは大型化され、50cc時代の特徴だったハンドルの折り畳み機能も省略された。
詳しくは当該項目参照。
モンキーの派生車種
ゴリラ
モンキーをツーリング向けにしたモデル。当該項目参照。
モンキーR
モンキー唯一のスポーツモデル。当該項目参照。
モンキーRT
モンキーRのオフロードバージョン。
モンキーBAJA
オフロードバイクXLR250BAJA風のモデル。2灯ライトが特徴。
モンキー125
後継車種。当該項目参照。
プレミア化
本車の生産終了のアナウンスと共に、全国の新車在庫に需要が殺到し、たちまち供給不足に陥った。
これに乗じて定価の何倍ものプレミア価格をふっかける店も現れた。
ファイナルエディションである「50周年スペシャル」は抽選で販売され、500台限定生産に対し45333件の応募があった。倍率90倍以上である。
生産終了後には年式問わず中古車の相場も上昇し、まともな個体であれば新車価格を下回ることはまず無い。
これは先述の派生車種も同様で、その過熱ぶりは冷める気配を見せていない。
モンキーがいかに愛されていたかを象徴する現象である。
余談
- 車名の由来は「ライダーの姿勢が猿みたいだから」「多摩テック近くの野猿街道に由来する」など諸説あり、はっきりとは分かっていない。兄弟車のゴリラは、類人猿繋がりで命名された。
- 初代モデルは派手な赤のチェック柄のシートを装備していた。以降、チェック柄シートはモンキーのアイデンティティとなり、散発的に限定車に採用されてきた他、2023年にはモンキー125にも展開された。
- ホンダの工場が熊本県にある縁から、2014年にはくまモンと公式コラボした「くまモンバージョン」を発売。くまモンとのコラボはその後も続き、2023年現在はクロスカブに受け継がれている。