「大地は 敗けない!!!」
「聞いているか? モンブラン・ノーランド ずいぶん待たせた あんたの子孫に届くといいが」
概要
偉大なる航路の上空1万mに存在する空島「スカイピア」に住む部族シャンディアの青年。
彼の住む集落で英雄視される戦士カルガラの末裔であり、自身もカルガラを守護神のように崇めている(元々シャンディアは祖霊信仰が強い民族で、先祖を神のごとく尊敬するという文化を持っている)。
現在のシャンディアは空島出身だが、カルガラの代である約400年前までは偉大なる航路前半のジャヤ島に住んでいた。しかし島の真下で発生した「突き上げる海流」で住んでいたエリアが空島スカイピアに飛ばされ、空の民との抗争の末に島を制圧されて追い出されてしまった。
そのためワイパー達シャンディアは故郷の奪還を悲願とし、先祖の無念を晴らすための戦いとしてゲリラ活動を行っていた。
プロフィール
本名 | ワイパー |
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異名 | 戦鬼 |
年齢 | 22歳→24歳 |
身長 | 183cm |
所属 | シャンディア、神の護衛隊 |
武器 | 燃焼砲(バーンバズーカ) |
出身地 | 空島 スカイピア 雲隠れの村 |
誕生日 | 8月18日(ワイパー=818) |
星座 | しし座 |
血液型 | X型 |
好物 | バーベキュー |
初登場 | 単行本26巻 第237話『上空にて』 |
WT100 | 88位(9674票) |
CV | 相沢まさき、木内レイコ(幼少期) |
能力
”燃焼砲”(バーンバズーカ)というバズーカを武器として用いる。状況によって砲弾や”貝(ダイアル)”などを装填する事によって戦法を変化させられるという代物で、通常の砲撃はもちろん後述する強力な火炎放射もお手の物。
なお一部ゲーム作品ではこの二種類以外にも攻撃が使える。
また盾を装備しているがジャングルでのルフィとの戦いの際に破壊されてしまい、それ以降は使っていない。
身体能力も非常に高く、ルフィやゾロとも互角にやり合い、彼らの攻撃を足で受け止めたりして見せたほど。元々戦士の一族ということに加え、空気が薄い空島の環境で鍛えられているのだろう。
また靴はシューターと呼ばれるスケート靴のような形状の特殊なウェイバーで、これで”雲の川”や白々海上を自由に移動する事ができる。このシューターには海楼石が仕込まれており、相手が能力者なら組み付く事でその能力を封殺し、同時に決定的なチャンスを作り出せる。
また、蹴りの瞬間にブーストさせて威力を増強したりもできる。
そして最強にして最大の切り札が、バンテージで巻かれた右腕に仕込んでいる”排撃貝”(リジェクトダイアル)。それは当たり所が良ければ一発で相手の心臓を止め、数十人分はあろうかという太さの巨大豆蔓(ジャイアントジャック)を伐ることも可能な必殺の兵器だが、一度使用するだけで自殺行為と言われるほどの痛烈な反動が襲い掛かってくるため、本当に最後の切り札である。常人なら使うのも躊躇われる代物だが、故郷の奪還に命を賭す覚悟を決めているワイパーは、使うときはまったく躊躇わずに使う。
空中戦の強さを自負しているスカイライダーシュラを空中で倒す、ゴム人間で自由自在に動き回ることが出来るルフィと空中で戦う、空中で巨大な蛇であるノラの舌を焼く、といった風に空中戦が得意な模様。
技
- 燃焼砲(バーンバズーカ)
武器名にして技名。
”燃焼砲”にガスを溜めた”風貝”を装填してガスを噴出、そのガスに点火して蒼白い極太の火柱を放ち、直線状の全てを焼失させる。アッパーヤード原生の大樹をいとも簡単に貫通するほどの威力を誇る。
ガスを利用しているため、鼻の利く相手に対して使うと臭いで技の使用を察されるのが弱点。
- 排撃(リジェクト)
右の掌を押し当て”排撃貝”を起動、壮絶な衝撃を相手に叩き込む。
放出されるエネルギーは”衝撃貝(インパクトダイアル)”の10倍と言われ、スカイピアの神官を一撃で葬るほどの威力を持つ。ただし反動も凄まじいので多用どころか一発だっておいそれと使えない。
ワイパーが”排撃貝”を使用した後、貝を仕込んでいた右腕の肩を槍で貫かれた上に高熱で炙り焼きにされた左腕で抑えていたという点からその反動のダメージは推して知るべし。
性格
"戦鬼"の異名通り非常に血の気が多く荒々しい。また排他的な性質も強く、余所者は有無をいわさず排除しようとする。
その激しさは味方からも恐れられる程だが、これは先祖の代からの悲願である「故郷の奪還」を第一に考えているためであり、ただ粗暴・乱暴者というわけではない。
祖霊信仰も強く、先祖のカルガラを保持神と称する。
エネルとの最終決戦では勝ち目の薄い戦いをしていることの自覚からか、倒れていった仲間を見捨てる覚悟を仲間に強いていたが、それは人一倍この戦いに真剣ということであり、シャンディアの中で誰より無謀な戦いをして己の身体を酷使した。また同郷のラキがエネルに狙われたときは、棘のオリに触り敵の攻撃を受けながらもラキの身を気遣った場面も。
活躍
初登場の空島編での裏主人公的な登場人物。
故郷奪回のためエネル率いるスカイピアの神の軍団や、ガン・フォールの元部下である神隊と敵対していた。麦わらの一味は最初は神隊と思って排除しようとしたが、後に故郷の地で彼らを何かを企んでいることを悟ると、よそ者として排除することを決めた。
「――いや 言いたい事は何もない… お前の御託を聞き入れる気もないしな」
「排除するのみだ…!!!」
ルフィ達によりサトリが倒された際を敵の戦力が減った好機と見計らい、仲間のシャンディアの民と共にエネルの元へと向かう。エネルの部下の中でも実力者であるシュラを一撃で倒し、神兵のような精鋭を次々と倒すなど破竹の勢いで前に進み、エネルの企画したサバイバルで最後の5人にまで残る。
エネルの油断もあって海楼石を押しつけ一時的に無力化することに成功。渾身の一撃である“排撃貝”を使いダウンを奪うまでの健闘を見せたが、その直後に自身を心臓マッサージするという反則とも言える技でエネルは復活する。排撃による反動で身体がボロボロになり、とどめに電撃を喰らうも祖先の為に必死に立ち上がる。
そんなワイパーに、無情にもエネルは二度目のとどめをさし、意識を失ってしまう。
彼がここまで故郷奪回に拘っていたのは、実は先祖であるカルガラの悲願であるモンブラン・ノーランドとの再会を果たす為。
詳しくはカルガラ、そしてノーランドの項目に書かれているが、カルガラは親友であるノーランドとの再会を望みながらも、ジャヤを襲った大災害によりそれが出きなくなってしまい、最期までノーランドに自身の在所を伝える為に鐘を鳴らそうとしていたが、遂にそれは叶わなかった。
そのことを幼い時に知ったワイパーは、カルガラの子孫である自分がそれを鳴らすことで、せめてノーランドの子孫にカルガラの思いを伝えようとしていた。
言わば、彼もまた歴史のロマンに魅入られた一人であったのである。
そして意識回復後、カルガラの思いを受け継ぐ自分こそが鐘を鳴らす資格があるという自負から死にかけの身体に鞭打ってまで戦いを続ける決心をするも、ロビンによりある探検家の子孫が、自分と同じく黄金郷の実在を証明しようとしていることを知る。
「先祖の名は ノーランドか」 (…………これは奇跡かな 大戦士カルガラ)
その男に約束の鐘の音を聞かせようとするルフィに自分の思いを託して、ルフィがエネルと最終対決をするためのアシストを行った。
かくして彼はスカイピアでの一連の事件が終わるまでに三度も排撃貝を使用し、チョッパーの診断によれば骨までボロボロになっていたという。
終戦後、麦わらの一味・シャンディア・スカイピアの住民の様々な垣根を越えた宴を目撃し、自分たちの故郷たる空が守られた事実と戦いを望まない人々を実感して完全に和解に至る。
麦わらの一味が青海に帰る頃には、カルガラの像の前でシャンディアの民の思いを受け継ぐという自身の決意を改めて述べ、カルガラに見守って欲しいと告げた。
2年後編では、扉絵にてエネル政権崩壊後に設立されたスカイピアの住人とシャンディアの住人による国家で神の護衛隊に入隊したことが判明している。髪はモヒカンからロン毛に変わっている。
余談
かつて大地を巡る争いの停戦交渉に来たガン・フォールの「カボチャのジュースが好物」という発言に激高して斬りかかったことがある。
なおガン・フォールはこのセリフの前に「全てを返す事はできん」と発言しており、スカイピアの民と大地は既に切り離せなくなっていることを象徴した台詞、あるいはシャンディアの文化への理解を示した友好の台詞(日本で例えるならば寿司文化に対する理解のようなもの)といったニュアンスだったと思われる。
…が、ワイパーからすればカボチャは極めて重要なもの(大恩人ノーランドから受け継がれた一族の遺産・ソウルフードともいえるもの)であろうことは想像に難くない。
それが引き合いに出された事でナショナリティを大いに逆撫でされ、「軽々しく口にするな!」とばかりにキレたのだろう。