曖昧回避
概要
ワンド(wand)は。魔法の杖とも呼ばれるが、より広い意味を持つ。ワンドは、短い棒で、形状は王笏に似ており、先端に華やかな飾りがついているのが通常である。片手で持って、霊力や魔力を発揮するためや、権威を示す。
歴史
先史時代からワンドは使用されていたことが分かっており、古代エジプトでも、魔法のワンドが使われていた。また古代ギリシアのホメーロスの叙事詩、『イーリアス』、『オデュッセイア』には、ヘルメース神、アテーナー女神、キルケー女神が、ワンドを使っていたことが歌われている。古代ギリシア語では、ラブドース(rhabdos)と呼ばれていた。キルケーは魔法のラブドースを使って、オデュッセウスの部下を豚に変えている。
紀元1世紀のローマ時代には、宗教信仰に関連して、魔法の一般的な象徴としてワンドが使われていた。当時のミトラス教において特に顕著であった。紀元3世紀から4世紀頃には、石棺表面に彫られた絵のなかで、イエス・キリストが死者を甦らすなどの奇蹟を行うとき、ワンドを使っている図がしばしば描かれていた。中世後期には、イタリアの妖精物語中で、力のある妖精がワンドを手に持つようになった。
近代魔術団などでの使用
ワンドは、16世紀頃から西欧に導入されていたが、ジョン・ディーのエノク魔術や、19世紀の黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン, Golden Dawn)などが、魔術を行使する際の儀式道具としてワンドを使用した。
ここから、魔術師が、魔法をかけるとき、魔力を発揮するとき、ワンド(魔法の杖)を使用するというイメージが形成された。
しかし、歴史的には、ワンドは神や、霊的な力のある精霊や妖精が手にしていたものである。エリファス・レヴィや黄金の夜明け団などが、魔術の儀式でワンド(魔法の杖)を使ったのは、19世紀以降である。
タロットの小アルカナ・スート
ワンドのスートがタロットで使われるのは、1909年の「ウェイト版タロット」が最初で、以降のタロット・デッキでは、ウェイト版を参考にして、ワンドのスートを決めている。
参考サイト
https://en.wikipedia.org/wiki/Wand