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概要・略史

ヴァンゲリス(Vangelis)は、1943年3月29日ギリシャの港町ヴォロスのアグリアにて、不動産業の父とソプラノ歌手の母の間に誕生。本名は、エヴァンゲロス・オディッセアス・パパサナシウ。

アテネで育った彼は、4歳からピアノで作曲を始めたのみならず、ピアノの中に釘や鍋を入れたり、無線干渉を起こしたりして音楽の実験的な遊びをする子供だったという。

15歳のときに学友とバンドを結成、3年後の1963年に大学の友人ら4人と「フォーミンクス」を結成し、ギリシャ国内で数々のヒットを飛ばしたが3年後に解散。その後の2年間はギリシャ映画の音楽を作曲している。

1967年プログレッシブ・ロックバンド「パパサナシウ・セット」を結成。しかし同年、ギリシャで軍事クーデターが発生。バンドはイギリスへ移住することになるが、ギタリストが兵役に召集された上に就労ビザの問題で入国が拒否されたためフランスへ移住。バンド名を「アフロディーテズ・チャイルド」と改めてデビューすると、商業的に成功を収めたものの1971年にバンドは解散。以降はソロでの音楽活動をする傍ら、フランスの映画・テレビ番組・演劇のBGMを作曲する。

1974年にイギリスへ活動拠点を移す。その際、プログレッシブ・ロックバンド「YES」のボーカルであるジョン・アンダーソンに、YESを脱退したリック・ウェイクマンの代わりのキーボーディストとしてオーディションへの参加を誘われるが、就労ビザの問題やヴァンゲリスがツアーに出たくないことからこれを断っている。

イギリスでも継続してソロ活動と劇伴の作曲活動を行うが、1979年に「YES」を脱退したジョン・アンダーソンと「ジョン&ヴァンゲリス」というデュオを結成。3枚のアルバムをリリースしている。

1981年に公開された映画『炎のランナー』のBGMを担当。そのサウンドトラックが注目を集め、シングルカットされたオープニング曲がビルボードで1位を獲得。アルバムの方も4週連続で1位を獲得し世界的に知名度を上げることになった。

1982年にはリドリー・スコットの監督作『ブレードランナー』、1983年には日本映画『南極物語』のサウンドトラックを手掛けて話題となる。

1988年以降はギリシャへ帰国するも、一ヶ所に定住しない生活を送るようになる。

1992年にフランスより芸術文化勲章のシュヴァリエ(騎士)の位を授与され、2017年にコマンドゥール(騎士団長)に昇格。2001年にはレジオンドヌール勲章のシュヴァリエも授与された。

2008年、アテネ国立カポディストリアン大学から名誉博士号、並びにAHIギリシャ遺産功績賞を授与された。

2022年新型コロナウイルスに罹患。5月17日、入院先のパリの病院で合併症による心不全のため死去。

人物

とても内向的な性格だったが、非常に親しみやすく親切でユーモアのある人物だったという。また、アルコールや薬物にも興味が無く、名声欲や金銭欲とも無縁だったとも。

生涯で2度結婚したというが、子供はいなかった。

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