キャラクター
1995年発売のメガドライブ用アクションシューティングゲーム『エイリアンソルジャー』の登場人物。
広島県出身の14歳の少女。生まれつき言葉を発することが出来ないが、強力な念動力を秘めた超能力者である。
彼女のような、「Xエイジ」と名付けられた超能力者の少年少女達を集めた静岡県の研究施設に収容され、亜人類を脅かす秘密結社「スカーレット」に対抗するための救世兵器・セブンフォースのパイロットとして実験と訓練が進められていた。
だが、実験段階にて既にパイロットの楓には過大な精神負荷がかかり、セブンフォース計画は暗礁に乗り上げつつあった。そんな中、言葉を発さない楓の心に触れることができたのは、主人公のフォウ・ミサキと鳥たちだけであった。
ボブカットの髪と瞳は黒色。服装は黒いノースリーブのタートルネックに青白いミニスカートとハイヒール、脚には黒のストッキングを着用。また、念動力をセブンフォースに伝達するための接続ケーブルが耳から伸びている。
片腕が機械むき出しの義手となっており、これはゲーム中のドットでは左腕だが、設定資料上では右腕である。
セブンフォース楓
研究施設が「スカーレット」の首領・Xi(サイ)タイガーに襲撃された際、楓は人質にとられ、これがきっかけで主人公のフォウは強大な戦闘力を有した鷲頭の亜人「イプシロン2(セカンド)」として覚醒する。だが、これに驚愕したXiタイガーにより、楓は誤って殺害される。後に義手となる片腕は、この時にXiタイガーに食いちぎられて失ったもの。
楓の遺体はすぐさま改造手術にかけられ、念動力の源である脳下垂体以外の頭脳を生体コンピュータに置き換え、感情を持たずただ戦うだけのパイロットデバイスとして蘇生される。
救世兵器・セブンフォースは、楓が殺され、楓の心が消滅したことによって残酷にも完成したのである。
そして物語後半。
楓の仇であるXiタイガーを討ち果たし、自らの半身である「イプシロン1(ファースト)」とも決着をつけたフォウの前に「セブンフォース楓」が立ちはだかる。
もはや、自分のことすらも分からなくなってしまったかつての親友・楓を終わりのない戦いから解放するため、フォウはセブンフォースとの決戦に臨む……。
各形態
「セブンフォース」は、コアとなるブロックの周囲に操縦者の念動力によってパーツを合体し、環境や作戦目的に応じて7種類の変形を行うことが可能な巨大兵器である。
(メタ的に言えば、開発会社のトレジャーが得意とし、本作の売りでもあった巨大多関節ボスの1体である。「セブンフォース」は元々、トレジャーのデビュー作『ガンスターヒーローズ』に登場した7形態変形ボスで、好評を博したことから本作に名前とコンセプトが引き継がれた。)
各形態はそれぞれ女神あるいは女性型の精霊・怪物の名を冠している。
- ヴァルキリーフォース
鳥のような頭を持つ人型の形態。「セブンフォース楓」として一般的に描かれるのはこの姿である。巨大なブーメランと、腕を飛ばすロケットパンチが武器。
- メデューサフォース
回転しながらの突進で敵を轢き潰す、球状の形態。
- シルフィードフォース
空中戦形態。両腕はイプシロンの攻撃もガードする装甲を持ち、強力なパンチで攻撃する。
- アルテミスフォース
四足獣の姿をした地上戦形態。突進と、尾の砲から放つ光弾が武器。
- セイレーンフォース
水中戦形態。両腕のスクリューで強力な水流を巻き起こし、水中に撒いた機雷で敵を仕留める。後述する変形パターンコンテストの最優秀賞作品を原型としており、読者投稿時の名称は「セブンフォース楓・ハンドハンマー」。チェーンソーのように回転する巨大な両腕のハンマーを振り回す形態のアイデアだった。(なお、「ハバネロたん」「ぼんぼりゆきこたん」などで知られるデザイナーのシガタケ氏がアマチュア時代に投稿した作品である。)
が、ゲーム中に登場するのはこの5形態のみ。セイレーンフォースを倒したところでセブンフォースは爆散、フォウと楓の関係は悲しい結末を迎える。
残り2形態が「ハーピー」「ネメシス」らしいことは、カセットの解析による未使用音声データの存在によって判明しているのだが…。
裏事情
ゲーム後半に進むにつれて無いに等しくなるステージ道中、展開がよくわからないストーリー、ムービーにだけ出てきたが結局戦わない敵など、『エイリアンソルジャー』が開発期間が足りず本来の構想を大幅に端折った形でリリースされたことは、プレイするとそこかしこから察せられる。
「5形態しかないセブンフォース」もそうした点のひとつなのだが、本作の目玉であるこの敵は『BEEP!メガドライブ』誌上で読者募集の変形パターンコンテストが行われていた。
その応募〆切は1994年9月末。……そしてエイリアンソルジャーの実際の発売は1995年2月24日である。となればマスターアップはもっと早いわけで……無理がないかその日程!?と感じられるスケジュールだが、案の定といったことになってしまったようだ。
関連項目
異世界おじさん:ソフト発売から20年以上を経て、このキャラクターの知名度を急上昇させた漫画。主人公のおじさんにとって『エイリアンソルジャー』は青春を捧げた思い出のゲームの一本であり、七瀬楓は心のヒロインである。