概要
コーヒー豆以外の素材で作られたコーヒーの代替品である。素材を焙煎して苦味と香りを引き出し、コーヒーらしい風味に仕上げる。タンポポコーヒーが「たんぽぽ茶」とも呼ばれるように、茶外茶(チャノキの葉を使わないお茶の代用品)との区別はしばしば曖昧。
第一次世界大戦などの戦乱や経済制裁などで、コーヒーの輸入が滞った場合に供された。味は本来のコーヒーに比べると劣るという評価が多いものの、コーヒー豆が無い環境での代用コーヒーは良くも悪くも印象深い飲み物だったという。
現在では、コーヒーに含まれるカフェインを苦手とする人々にノンカフェイン飲料として根強い支持があるほかに、コーヒー豆だけのものとは別の飲み物として好んで飲まれることもある。
種類
過去に製作されたものは穀類や植物の根が多かった様子。
タンポポコーヒー
日本では最も著名なものでタンポポの根を乾燥させて細かく切って焙煎したもの。焙煎していないものはたんぽぽ茶と言うが、焙煎したものも含めてたんぽぽ茶と呼ばれることもある。詳しくは『タンポポコーヒー』を参照
チコリコーヒー
世界的には最も一般的な代用コーヒー。チコリの根を乾燥して焙煎したもの。主に粉に挽いた状態で出回っている。ドイツではコーヒー豆が手に入りにくかった時代が長く、「ドイツのコーヒー」といえばチコリコーヒーを指した時代もあった。コーヒーの増量用として混ぜられることもあった。苦味の中にキャラメルのような甘い風味があり、フランスなどではこれが好まれて本物のコーヒーに不自由しなくなった今でもよく飲まれる。コーヒー産地のインドでもチコリとコーヒー豆をブレンドしたコーヒーが「マドラスコーヒー」として親しまれている。
大豆コーヒー
乾燥大豆を焙煎して細かく挽いたもの。第二次世界大戦中の日本ではしばしば製作されたという。
大麦コーヒー
製造法は、大豆コーヒーなど他の穀類製の代用コーヒーと同じである。日本ではキリンビバレッジが販売していたが「コーヒーとして飲めなくはない」という人がいれば「濃い麦茶」とこき下ろした人も。
他にトウモロコシなど様々な素材が使用された。