地球解放機構TLT
ちきゅうかいほうきこうてぃると
ウルトラマンネクサスに登場する、ナイトレイダーの上層組織。
スペースビーストの発見、調査、研究、捕獲もしくは殲滅などを主目的に、超法規的権限に基づき行動する非公然特務防衛機関。
正式名称はTERRESTEIAL-LIBERATION-TRUST(地球解放機構)であり、頭文字を取って「TLT(ティルト)」と呼ばれる。北米に本部を置いて世界各国に支部を持つ国際的な組織で、本編で登場するのは日本支部の「TLT-J」である。
ロゴマークはアルファベットの「L」を二つの「T」で挟み込んだもの。
以下、映画『ULTRAMAN』DVD付属解説書収録の小説「N OTHER」および椎名高志漫画版『ウルトラマンネクサス』単行本巻末の設定資料集を元に記しています。
西暦1989年、地球にてM80さそり座球状星団の爆発が観測される。時を同じくし、アメリカの砂漠地帯に謎の発光体が落下。それは不定形なエネルギー生命体であり、アメリカ軍の手によって管理されることとなる。
「来訪者」と名付けられたそれとのコンタクトをアメリカ軍は試みるもすべて失敗に終わる。しかし来訪者からの微弱なテレパシーという形で何とかコミュニケーションをとることに成功。それはスペースビーストと呼ばれる存在がやがて地球にやってくるという予言であった。これを受けFBIやCIAといったアメリカの各諜報機関によって多くの人材、俗にいう「超能力者」と呼ばれる者たちが集められた。
1990年、アメリカ・コロラド州にて家畜が何者かの手によって次々と殺されていくキャトルミューティレーション事件が発生。それが来訪者の言っていたスペースビーストであることを察知したアメリカ軍は、周辺を封鎖し、やがて未知の生命体を発見、殺害に成功する。「ゼロ」と名付けられたそれが来訪者の言っていたスペースビーストであることを知ったアメリカ軍はゼロの細胞を採取すると同時にこの情報を徹底的に隠蔽。同時に国家の枠組みを超えてビーストの研究や対策が行われた。
翌年、集められた超能力者の中から当時まだ10歳だった海本隼人が来訪者とのコンタクトに成功。来訪者に敵対する意思はないこと、自らの星を爆破し情報生命体となって地球にやってきたことを知る。
来訪者より「人間同士の戦いで使わない。あくまでもスペースビーストせん滅のために使うこと」という条件付きで後の「クロムチェスター」や光学迷彩システム「オプチカムフラージュ」や記憶消去装置「レーテ」といったオーバーテクノロジーを技術供与されており、スペースビーストとの遭遇に備えるべく活動していたようだが、設立初期の段階で研究員の1人「山岡一」にアンノウンハンドが憑依して内部で暗躍しており、山岡の戸籍を抹消し「石堀光彦」と名乗ってデュナミストの素養を持つ者等の自身に都合の良いメンバーを集めていたようである。
ここまで来てもまだアメリカ政府内は来訪者信用派と疑念派の2つに分かれていた。信用派が国連の協力を仰ぎ、結成されたのがこのTLTである。同時に来訪者とのコンタクトをより完璧にするべく優秀な超能力者の遺伝子を掛け合わせてデザインベビーを作り出す「プロメテウス・プロジェクト」も発動した。
同時期、生物のビースト化を防ぐための研究を行っていた、西城凪の母・波博士があと一歩というところで何者かに殺される。その際に彼女の死体のそばで一人の男が異形の姿になるところを凪が目撃していた。
そして2004年に地球に飛来した、ビースト・ザ・ワンとウルトラマン・ザ・ネクストとの戦い、通称「新宿大災害」の後に本格稼働し、レーテによってザ・ワンやネクストの存在を一般市民の記憶から消去。
以降、ザ・ワンの細胞から誕生したスペースビーストとの戦いを人知れず繰り広げていた。
新宿大災害はアメリカ政府にも驚きをもって迎えられ、疑念派は一気に信用派に転向。全権を委譲された信用派により対スペースビースト組織となり、極秘裏に世界各地に支部が設置された。
(このまま死なせるよりかはマシという判断とはいえ)瀕死の千樹憐を拘束して人体実験を行い、ウルトラマンの力を兵器利用しようとするなど、手段を選ばない組織。
イズマエルとの戦いの後、再度レーテによる記憶消去を行う途中に全ての黒幕であるダークザギが完全復活してしまう。
ザギは同じく復活したウルトラマンノアに倒されたもののビーストの出現は続いており、ポテンシャルバリアも力を失い更にレーテもザギ復活の際に崩壊してしまったが、方針転換したTLTは組織の存在を世間一般に公表。人々もビーストの恐怖から記憶を消して逃げるのではなく、それを乗り越えて明日という未来を守ることを選んだため改めてビーストの脅威から人類を護り続けている。
非情な手段を取る事の多かった一方で、来訪者によるビースト対策以外での先端技術の使用禁止や日本支部の上層部はビースト被害を受けた者で結成された都合上良くも悪くも「例え非道な手段だろうとビーストを倒し人々を脅威から守る」という信念の元結成されている為か人造ウルトラマン製造計画・F計画をたくらんでいたTPCや地球怪獣をもせん滅せんとしたG.U.A.R.D.、背後に黒幕が暗躍していたとはいえ同じく人造ウルトラマンを作り出し、ストレイジを一方的に解散させた『ウルトラマンZ』の防衛軍や第一特殊空挺機甲群などに比べるとダークザギの暗躍を除いて組織内のブラックなイメージに反して組織内の離反や暴走などの問題は特に見られなかった。また千樹憐の身を案じ感情を出すようになったイラストレーターの変化、ザ・ワンの襲撃で妻を失った松永の過去、過去の戦いを経験した水原の存在など関連キャラの詳細が判明した事もあり物語後半では「単に暗いブラックな組織ではなく熱い部分もある」という印象へと変化していった。
その後、松永とメモリーポリスのリーダー・首藤沙耶の結婚により、TKT内部の暗部は払しょくされたと語られている。