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好色選挙法違反

こうしょくせんきょほういはん

「公職選挙法」の言葉遊びの一種。ここでは主にゲーム「アズールレーン」の人気投票において発生した珍事について述べる。
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まずは編集

これらのイラストをご覧頂こう。

センシティブな作品センシティブな作品

何も知らなければちょっとエッチなイラスト、程度の認識だろう。


これらのイラスト、実は『アズールレーン』に登場するキャラクターのデザインを担当したイラストレーターが「あるイベント」において「公約を実行する」という形で描き下ろした、自身がデザインを担当したキャラのエッチなイラストである。


概要編集

好色選挙法(違反)とは、(非アダルト)ソシャゲキャラの担当絵師が、ゲーム内の人気投票において「自分が担当したキャラが上位に入ればそのキャラのエロイラストを描き下ろします」と発言し、得票数を稼ぐ行為である。

(一応)健全なゲームの人気投票で、明らかにR-18なエロイラストをちらつかせることと、ほぼ公式と言って差支えの無いゲームキャラデザインの担当絵師からのダイレクトマーケティングという行為が「ズルい」ことから、実際の選挙における公職選挙法になぞらえて好色選挙法(違反)と呼ばれるようになった。


後述する艦船擬人化STG『アズールレーン』の人気投票に絡んで爆発的に広まったが、これ以前より漫画やゲーム等アダルト作品において「好色選挙法」という表現はいくつか存在しており、また作品の公式イラストレーターが「人気投票のお礼として非公式ではあるがイラストを描く」と宣言すること、もしくは自分の担当キャラを応援する目的で非公式でイラストを投稿することは時折ある。

(特に制作規模の大きいゲームの場合)契約上の問題などもあるため、ほとんどは非公式・二次創作と銘打った上で投稿されており、元となる作品も作者自身による一次創作や、二次創作ガイドラインを明示しているような作品(もしくは二次創作に寛容な姿勢を示しているような作品)が大半となる。『アズールレーン』以外で有名な例だと、2003年に行われたTYPE-MOONキャラ人気投票において、キャラクターデザイン担当の武内崇によって『MELTY BLOOD』のシオンのエッチなイラストが公式サイトに投稿され、投票数を大きく伸ばしたという逸話がある(『メルブラ』は投票受付開始時点で発売から約一ヶ月という新しい作品であり、シオンも完全新規のキャラであったが、既存作品の人気キャラを押しのけ9位を獲得している)。


三大欲求である性欲に直結する周旋勧誘行為であり、実際に達成された時には公式が直接関与していては出せないようなギリギリ(アウト)なイラストがお披露目されるため、ネームバリューやレアリティ、性能におけるTier(階層、ここではその時点でのゲーム環境における強さのボリュームゾーンのこと)を考えると、本来ならランク入りすらあり得ないようなキャラが上位ランクインを果たす抜群の効果を発揮した。

しかし、抜群の効果を発揮するが故に「あくまで非公式」ということから担当絵師の担当キャラ数や時間的余裕、そして愛着によって全キャラがカバーされるわけが無く、大きな格差を生んでしまうことから選挙の公平性を失う危険性を孕んで(意味深)いる。


アズールレーンにおける「好色選挙法違反」編集

経緯編集

ことの始まりは2019年にスマホ向けゲーム『アズールレーン』で開催されたキャラクター人気投票。

同ゲームではこれ以前より何度かその時点で実装している艦船(キャラクター)を対象に人気投票が行われており、恒例行事となっていたが、今回はこれまでと少々事情が違っていた。

実装キャラクターが多すぎたのである


当時すでに実装キャラは300隻越え、そんな中で普通に上位10名を集める選挙などを行っても、公式でもキャラストやイベント露出が多く、性能が高く、(Pixivの投稿数など)二次創作も盛んな、おっぱいがでかいキャラが上位を席巻してしまうのは目に見えていた。

また、ゲーム内で投票券を得るシステムではそのキャラを推すエンドユーザーの多さも大きく影響してしまい、投票数が分散せず、普通にやっても味気の無い結果になってしまうと予想されていた。


そのため、この人気投票では予選としてまず上位150位までの艦船を集める予選を行い、生き残った150隻を30隻グループ5つに分け、そのグループで上位3隻を抜粋(途中で敗者復活戦等を行いつつ)最後の24隻で最終戦を行うというトーナメント戦形式の人気投票となった。

つまり大人気キャラがグループで分かれることで、普通の形式なら埋もれるようなキャラでも上位を狙える可能性が浮上し、大人気キャラが食い合う魔境グループが生まれることで決勝に思わぬダークホースが現れるかもしれない……という状況が出来上がった。つまり性能やTierやスキンの多さといった条件を無視して、どんなキャラも上位入りがあり得る環境が出来ていたのだ。


それでもさすがに300以上のキャラがいる群雄割拠のセンゴク時代と化している人気投票において、予選の段階ですでに半分が切り捨てられることになる。

いくら思い入れのある艦船でも、SSRだけで50隻以上いる状況でNやRの艦船が上位に食い込むのは厳しいものがあり、それは個々のプレイヤーの応援だけでなく、投票対象となる艦船のキャラクターデザインを担当したイラストレーターたちにおいても同様である。

SNSで普通に「応援よろしく」と呼びかけたり、簡単なイラストを添えたりするだけでは、キャラ数が多い(≒参加イラストレーターが多い)本作において、運営からの「推し」があまりないキャラとそのイラストレーターは、残念ながら埋もれてしまう可能性が高い。


そんな中、ある絵師が思いついた。禁忌とも取れる計略を。


担当キャラのエッチな絵を描くとチラつかせたらスケベなプレイヤー達が食いつくのでは?


こうして「エッチ絵描き下ろすから投票お願いします!」という他ソシャゲでは前代未聞のダイレクトマーケティングが発生したのだった。


これまでソシャゲ等でこうした人気投票が起きて担当絵師が何か描く権利を持っていても、契約の都合やゲームそのものの雰囲気から、あくまで健全に担当キャラを描いて「投票お願いします!」と添えるだけ、というような選挙ポスター的なものが多かった。

それがアズールレーンではどうねじ曲がったのか「このキャラが上位に入ればエロ絵を描き下ろします!」となったのだ。それも一人ではなく何人も。

結果、多くの好色選挙法違反が発生し、特に注目されていなかったキャラが謎の快進撃を見せる珍事が発生した。


中には園児デザインで有名な睦月型の絵師の姿もあったが、ロリどころかペドに片足を突っ込んでいる睦月型でソレは色々な意味でまずかったのか「成長した姿を描きます」とちょっと変化球になっていた。


背景編集

一般的に、国内のソシャゲにおいては(担当絵師を公開している場合でも)担当絵師との契約や二次創作ガイドラインでの制限が厳しく、公式の担当絵師が「落書き」(報酬を得ない形での趣味のイラスト)であっても担当キャラを描いて同人誌やSNSで発表するのが難しい事が多い。ましてNSFWにあたる作品(Not Safe For Work、「職場での閲覧注意」。ここでは「公の場で見ることが憚られるようなエロ・グロ画像」というような意味)は、仮に原作がR-18相当であっても投稿不可能に近い厳しい制限が敷かれている。

これはゲームキャラクターの権益や作品のブランドイメージの保護等様々な理由が存在するが、とにかく公式絵師でも我が子のように担当キャラを絵付きで愛でるというのは一部のゲームを除き難しかった。


しかしアズールレーンの場合、二次創作ガイドラインが極めて緩いために相当ロクでもないものを出さない限りは基本的に二次創作がガイドライン上で許されている

そもそもアズレンは少しの繋がりからガッシリ掴んでくる触手の長さと太さがある意味で有名で、実在艦の三笠(及び横須賀市)とコラボしリアイベ開催は序の口、アズレン(化学物質)繋がりで浅田飴と、加賀繋がりで加賀友禅と・・・という具合にちょっとの関連からすぐに掴む容赦の無い触手をもっており、コレがキャラデザ方面でも発揮された結果、「アズレンでエロ同人やエログッズを出した絵師を担当絵師に抜擢する」という股間に素直なスカウトが以前から見事に行われていた(有名なものでは、エロ同人を出した大嘘氏はコンコードを、抱き枕を出していたしろきつね氏は後に花月を担当している)。


勿論、担当絵師が仕事外で担当キャラを描き発表することに関しても寛容であり、担当絵師が担当キャラの同人誌やNSFWのイラストを出すことも「公式絵師の二次創作」という体で許されているのである。

アーク・ロイヤルに至っては絵師からの着せ替えスキンのデザイン詳細や没案の公開イラストでしれっと毎回裸を晒されているし、マラニーに関しては完全にアウトな抱き枕がTwinbox氏らのサークルから直に販売されたこともあった。


この緩さに加え、日本に大陸のスラングである「射爆了」という単語を広めた元凶と言っても名高いくらいに過激なイラスト、ダイナマイトボディで露出の多い服装のキャラが多い、(※審査の厳しいiOSで17+扱いにはなっているが)一応18歳未満も遊べるのに「エロゲー」呼ばわりされている『アズールレーン』という作品において「少々のエッチなイラスト」ではプレイヤーへの刺激が足りなかった。指揮官を満足させるには、より「高み」にあるものを与えなければならなかったのである。


こうした「二次創作の自由度」と「被選挙権を持つプレイヤーのエロ耐性」に「公式絵師のイキスギたうちの子愛」が混ぜ合わさり、加熱した欲望はついに危険な領域へと突入した結果起きた珍事がこの好色選挙法を引き起こしたのだった……のかもしれない



実際の公職選挙法に照らし合わせると……編集

※令和二年法律第四十一号による改正時点での抜粋のため、現在と内容が違う可能性もあります。


公職選挙法 第十三章 選挙運動(一部抜粋)

  • 第百三十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない。
  1. 国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人若しくは特定地方独立行政法人の役員若しくは職員

前項各号に掲げる者が公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)を推薦し、~(中略) ~若しくは支持される目的をもつてする次の各号に掲げる行為は、同項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。


  1. その地位を利用して、公職の候補者の推薦に関与し、若しくは関与することを援助し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。
  2. その地位を利用して、投票の周旋勧誘、演説会の開催その他の選挙運動の企画に関与し、その企画の実施について指示し、若しくは指導し、又は他人をしてこれらの行為をさせること。

要は選挙運動(例えば駅前など人の多いところでの演説や選挙カーで「清き一票を!」と呼びかける、テレビ番組や動画配信サイトで演説動画を流す、各施設に出向いて有権者と話し合うなど)において、国そのものが特定個人を支持したり、市役所の職員や町長市長がその肩書を使って「この人に入れてください!」とダイレクトに表明してはならないということ。

プライベートで個人が支援するならともかく、職場の立場を利用して「この人に入れないとどうなるか…わかってるよね?」と部下や市民に脅迫めいた事をしたり、お金を使って部下や市民に「この人を投票するように!」と触れ回らせたりするのは、選挙の公平性を欠くのでやってはいけない、ということである。


これを好色選挙法的に言えば

次の各号のいずれかに該当する者は、その地位を利用して選挙運動をすることができない

この「各号のいずれか」はゲーム公式アカウント若しくはその運営スタッフ、又はキャラクターデザインの担当絵師や公式グッズ等のイラストレーターとなり、

前項各号に掲げ~ (中略) ~行為は、同項に規定する禁止行為に該当するものとみなす。

の「行為」内容は

担当絵師の地位を利用して、投票の周旋勧誘(「上位に入れば担当キャラのエロ絵を描きます」と喧伝するなど)を企画すること


というように置き換えることができる。

候補者はキャラ自身のため、公式絵師による「投票すればエロ絵~」は選挙運動の企画に関与することになると考えられる。


……とはいえ、『アズールレーン』に関しては、公式(運営)がこうした絵師の好色選挙法違反にはなんら禁止措置も取らず静観の立場を取り、実際に上位入選し公約が達成されてエッチなイラストが納められてもお咎めなしという、違反するどころか好色選挙法自体存在していない扱いのお祭り状態となっていた。

というか後に公式は各艦船のバレンタインボイスを声優が非公式にアフレコしたものをRTしたりしているので、こうしたお祭りには逆に乗っかるタチである。



これは運営もユーザーも絵師もみんなイキスギたからOKか。



余談・補足編集

ゲーム中に推しキャラがいる有名絵師(ゲーム公式には一切関与していない)が「推しが上位入選したら推しのエロ絵描きます」と言ってもそれはただの二次創作なので、厳密には好色選挙法の対象外である(ただしこれはこれで別の問題があるようで、わたモテの人気投票ではそれでひと悶着起きている)。

これは公式絵師が同作品内に登場する自分の担当でないキャラを描くのも同じで、あくまで担当絵師が担当キャラのエロ絵を描くことに意味があるのである


半分公式といっても差支えの無い担当絵師から担当キャラのエロ絵供給がされる背徳感を味わえる可能性があるのが好色選挙法違反の醍醐味であるが、こと『アズールレーン』においては、それができる土壌と界隈の空気、ガイドライン的な制限の無さと需要があったからこそ起きた奇跡と言えるだろう。

あくまで「好色選挙法」自体は語感の良さとこのカオスな状況を表すのに100点満点な単語だったため広まった概念であるといえ、すべての作品において同様に「違反」が好意的な形で受け止められるとは限らない。


ソーシャルゲームというジャンル全体をみれば「キャラの特別なものの実装をかけた投票企画」という名実ともに選挙の様なイベントは複数存在するので、そうしたイベント中に担当絵師が「入選したらこの子のエロ絵を描きます」と言えば、それは正しく好色選挙法違反と言えるだろう。そんな事例がこの先アズールレーン以外であればの話であるが。



実際に好色選挙法違反が起きたキャラと公約編集

(予選:予、予選復活:予復、グループ選:グ、決勝復活:決復、決勝:決)

担当艦全員の場合、最も上位だった艦船を( )で表記

達成された公約は太字表記


キャラ担当絵師最高戦績公約
メンフィス銀SilverRoidグ・27位グループ進出で江戸絵、決勝進出でL2dウェディングドレス絵
睦月型(如月)月見グ・16位決勝進出で成長した姿
担当艦(伊吹瑪雅G決・11位決勝進出した子のエロ絵(直球)
担当艦(長良)大月紅葉グ・9位決勝進出した艦船のちょっとエッチな絵※1
担当艦(シグニット)hechaグ・19位決勝進出で全担当キャラのエッチな絵
担当艦(フォルバン)夜ノみつきグ・23位決勝進出でちょっとエッチなの
足柄鉄人桃子決復・45位100位以内で「俺も描くよ…」(※2)
ミネアポリスめふぃすとグ・18位「決勝進出で「俺もやります」
花月しろきつね決・11位決勝進出でえちちな抱き枕になってもらいます」(※3)

  • ※1:目標は達成されなかったが全体的に奮戦し、応援の感謝として過去人気投票で殿堂入りし今回選評対象ではなかった綾波が描き下ろされた
  • ※2:足柄は予選順位は159位だったものの予選復活、決勝復活戦で健闘したため、後にちょっとエッチなイラストが描き下ろされた
  • ※3:この結果、200万票単位の世界で樫野(3位)と179票差・ボルチモア(5位)とは1844票差という超僅差の大激戦を制し、決勝進出枠内の4位へと滑り込み公約の条件を達成している。


珍事編集

・・・好色選挙法違反自体が珍事みたいなものだが、この珍事の中で更なる珍事が起きている。


それはシリアスの担当絵師が選挙期間中に無言でシリアスのNSFW絵を投下したという事件。


つまり「シリアスが決勝に進出したらシリアスのエロ絵を描きます」


ではなく



「シリアスのエロ絵を描きました」


という、公式絵師による正真正銘のNSFWが選挙期間中に投下されたのだ。


元々シリアスはゲーム中でもかなり人気が高く、好色選挙法違反せずとも上位ランクインの可能性は十分にあったという事情がなくはなかったとは言え、「選挙の結果次第なんて言わずエロ絵描きたいなら描いてしまえ」と言わんばかりの漢気溢れる行為に、ある指揮官は困惑し、ある指揮官は歓喜したという。

尚この回ではシリアスのランキングはなんと決勝1位、2019年人気投票のチャンピオンとなっており、人気キャラの貫禄と好色選挙法違反に対する残酷なアンチテーゼを叩きこみ、少女は神話となった。エッチな絵とともに。





関連タグ編集

アズールレーン 人気投票 選挙







シリアス(アズールレーン)

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