将軍家光忍び旅
しょうぐんいえみつしのびたび
時の将軍が世を忍ぶ仮の姿となり旅をしつつ、庶民の暮らしに触れながらその道中で悪人を退治していく…と、まるで「貧乏旗本の三男坊と越後の縮緬問屋を足して2で割った様な」主人公であるがそれもそのはず。
何を隠そうあの「暴れん坊将軍」の放送休止期間中に放送された作品であり、1990年10月に第1作、2年後の1992年10月に第2作「将軍家光忍び旅II」が放映され、そしてそこから「三田村邦彦主演作品」が「土曜夜8時枠」にて放送されるきっかけになった。
ナレーションは熊倉一雄。
徳山竹之進(演:三田村邦彦)
本作の主人公。旗本生まれの素浪人…というのは世を忍ぶ仮の姿で、その正体は窮屈な行列を嫌って素浪人に身を変えた徳川三代将軍・家光。
信綱から京へ上洛するよう懇願されるが、本人としてはそこまでして権威を見せつける気は毛頭ないため彼の要求を突っ張ねていた。しかし、最終的には食い下がらない信綱に根負けして「ある条件」付き(行列に影武者を立て自身は別行動で動くという内容)で旅に出る事になった。
かくして、行列には「影武者」として新吉を据えつつ、柳生十兵衛・お蔦・太助らと共に旅をする。
悪人達を成敗する際には葵の御紋が入ったノミやら簪…ではなく、横笛を奏でつつ姿を見せる。
作中での身内による振り回されっぷりから「素浪人というより苦労人」と茶化される事もあったりする。
新吉(演:コロッケ)
売れない役者。彦左衛門と信綱(と太助)にまんまと乗せられた事がきっかけで「将軍家光の影武者」として諸国漫遊の旅という数奇な運命(彦左衛門曰く「上様のお遊び」)を辿る事になる。
とはいえ役者としてのスキルはむしろ高いレベルであり、(演者であるコロッケの声帯模写をフル活用した)演技力で影武者業を務める事になる。
竹之進の乳母である春日局が何かと「上様の影武者」教育を強いるため彼女を恐れてはいるものの、実際は亡き母のように慕っている。
なお、初回から信綱の声真似を披露しているが、演じるコロッケの持ちネタの中にも「信綱の演者の兄」があったりする(一部では「田村によるアフレコなのでは?」と指摘する声もあるが、そもそも本人の声が「聴き方によっては『ちょっと古畑任三郎っぽい声色』にも聴こえなくもない」感じなので、意外と違和感は少なかったりするが)。
お蔦(演:萬田久子)
女スリ。飯屋で初めてところてんを食べる竹之進の懐を狙ったことから竹之進と十兵衛と知り合い、竹之進に惚れて旅に同行する。
自分の名が記された和紙にある家紋を「大名家の紋」と信じて旅を続けるが…
一心太助(演:三波豊和)
彦左衛門と共に竹之進の旅に同行する魚屋(作中では何の説明も無いまま、しれっと「彦左衛門の知り合い」として登場して「影武者」探しを手伝っている。お得意様のよしみで協力したのだろうか…?)。
彦左衛門と信綱が「言い出しっぺ」なら、彼自身は「新吉が家光の『影武者』として相応しい」と進言した「直接の推薦者」である。
柳生十兵衛(演:勝野洋)
信綱の推薦で竹之進を護衛する剣豪。
春日局(演:三ツ矢歌子)
竹之進の「忍び旅」を知って行列に同行する彼の乳母。
竹之進本人は旅の目的上(新吉の一件とは関係なく)彼女が同行する事に難色を示したが、どうしても行きたいと懇願し彼を根負けさせ同行。しかし、早々に「竹之進が新吉を影武者に使っている」事も知る事になる。
とはいえ、事の次第を知っても新吉を突き放したりはせず、以降は新吉の「身の上」に媚びる事なく毅然とした態度で彼に接し続け(彦左衛門から「そこまでキツくしたら新吉が逃げ出すかもしれない」と言われた際にも「こういう奴ほど甘やかしたらつけ上がる」と返答したほど)、彼に「上様の影武者」としての振舞いを鞭撻している。
大久保彦左衛門(演:神山繁)
天下のご意見番。竹之進の旅を信綱に相談されて新吉を影武者にスカウトした(とはいえ、一度は太助が推薦した新吉を追い返し、新吉が再度やって来た事で翻意して認めたのだが)張本人。
道中では竹之進達が別行動なので、建前上「行列」のメンバーの中では必然的に自身が新吉と春日局の世話を焼く羽目に…
松平信綱(演:田村亮)
老中の伊豆守。彼が駄々をこねた事で竹之進が根負けしたために本作は幕を上げる事になる。
彦左衛門とともに影武者プランを取り仕切る一方、風魔を操る黒幕の正体や大名のお家騒動の探索などに務めている。
なお、演者の田村は「ロンブーの金髪の方」…ではなく、「運命峠」の秋月六郎太こと「田村正和の兄上の方」である。
ちなみに2作目には登場しない。
都築安房守兼次(演:中条きよし)
1作目の敵。水島藩五万石の藩主で竹之進の異母兄。小大名の地位に不満を持ち、将軍の座を得ようと風魔一族を使って彼の命を狙う。演者が演者だけに「三味線糸片手に直々に竹之進を始末すれば良いのに」と評される事があり、1作目がある意味「仕事人同士の内ゲバ」という構図と化してしまった。
無幻斎:(演:西田健)
2作目の敵。かつての石田三成の隠密頭。老中・越智鳴門守の手先となり「豊臣家の再興のため」と称して、竹之進を暗殺して家康の隠し子、徳川康政を将軍にして自らは大名になろうと目論む。
後の「人も知らず世も知らず、影となりて悪を討つ3色忍者」に登場するハムスターに身を変えた忍者学校の校長に風貌と名前が似ている。やっている事は正反対だが。
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