帝国の逆襲
ていこくのぎゃくしゅう
1980年公開。原題は『Star Wars:Episode V The Empire Strikes Back』。
ジョージ・ルーカス監督が原作を務めるSF映画シリーズ「スターウォーズ」のエピソード5に当たる。
もともと、ルーカスが最初に構想した巨大な物語のうち、一番映画化がしやすく一作品としてまとめられそうな部分を抜き出したのが前作であったが、これが大成功を収めたことで無事に続編制作のめどが立ったため、彼は構想すべてを全9部作(当時)で映画化することを発表。その一作目となったのが本作である。
前作がコケていれば単発映画のまま終わる予定であったため、タイトルや冒頭のあらすじ部分でエピソードナンバーが表記されたのは本作からとなった(再編集版以降は前作にも「エピソード4」が掲げられている)。
次作での完結を想定して、三部構成のうちの第二幕として作られたため、主人公達を待ち受ける苦難や脅威がほとんど解決せず、次作ありきで伏線なども持ち越されるという当時としては異例の構造となった。
潤沢な予算(前作の記録的ヒットによりルーカスの手元には巨額の報酬が転がり込んだため、彼は本作の製作費を何とほぼ自費で賄っている)が手に入ったことで、すべての要素が前作よりパワーアップしており、さらに進化した特撮やライトセーバー戦が魅力である。主人公のルーク・スカイウォーカーが、シス卿ダース・ベイダーと初めてライトセイバーを交わした作品でもある。
作品全体の世界観も、本作によって大幅に拡大され、ボバ・フェット、ヨーダ、皇帝(ダース・シディアス)といったキャラクターやAT-ATウォーカーなどの新メカが初登場して人気を集めた。あの帝国のマーチも本作で初めて流れた。
そして、戦いの終盤でベイダーから明かされた衝撃の事実は大きな話題を呼んだ。
前作から一転してかなり暗く重い内容となっているのだが、脚本や編集のクオリティはシリーズ随一と言われるほど高く、シリーズファンを魅了した要素・キャラの多くが本作を初出としていることもあって、ファンの間ではSTARWARS最高傑作の呼び声も高い。
ルーク・スカイウォーカーやレイア・オーガナを擁する反乱同盟軍は、ヤヴィンの戦いでデス・スターを破壊し、見事な勝利を収めた。
しかしそれから3年後、銀河帝国軍の反撃は激烈を極め、ついにヤヴィンに設立された秘密基地から撤退を余儀なくされる。
氷の惑星ホスに新たな基地を設立した反乱同盟軍だったが、ダース・ベイダーが放った調査用のプローブ・ドロイドによって基地の場所が露呈。帝国軍の奇襲に遭い敗走する。
命からがら脱出したルークは、伝説のジェダイマスターであるヨーダにジェダイの修行を請うため、R2-D2と共に惑星ダゴバへ向かう。
そしてハン・ソロとレイア達は、雲の惑星ベスピンに逃亡する。
しかしそこにも、帝国の罠が張り巡らされていた。
前作公開時に配給元の20世紀FOXと「2年以内に続編を制作しなかった場合、STARWARSシリーズ関連の権利はすべて20世紀FOXに渡るものとする」という無茶な契約を結んでいたため、ルーカスは公開期限に追われながらバタバタと本作制作に取り掛かることになった。
しかし撮影は前作に負けず劣らずトラブル続きで、大幅アップしたはずの予算をさらに超過し、ルーカスの精神状態はだいぶギリギリだった。監督のアーヴィン・カーシュナー、プロデューサーのゲイリー・カーツとも衝突を繰り返し、映画が完成する頃には、もはや修復不可能なほど関係が悪化してしまったと言われる。
この反省を踏まえ、次作では、自身と衝突しなさそうな……嫌な言い方をすればイエスマンな人材を監督に据えたとされる。
なお今作の発表時にルーカスがぶち上げた全9部作構想だが、その後早々と全6部作構想へ修正されている。
実際のところ、この時点で具体的に構想が固まっていたのはルークエピソード三部作ぐらいで、残りは「子世代で三部作を作るんだから親世代と孫世代の物語でもそれぞれ三部作を作ろう!」ぐらいのノリで広げた風呂敷だったようだ。