概要
鉄道車両の寿命について、税制上の耐用年数として「減価償却期間」というのが法律で定められており、その期間というのは「電車が13年」「電気機関車と蒸気機関車が18年」「ディーゼル機関車やディーゼルカーが11年」となっている。が、実際は鉄道車両は何年使えるのかという明確な基準はなく、用途終了でたった数年で早期廃車になった車両がいれば、デビューから80年・90年・あるいは1世紀超えを果たしてもなお現役で活躍している車両もいる。
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JRや大手私鉄などで第一線で活躍している車両は、基本的に製造から20年を超えると機器トラブルなどの故障や車体の劣化が進んでしまうが、「新車を製造するコスト」よりも「既存車をリニューアル(更新)するコスト」のほうが安くつくことが多いため、特殊な事情が無い限り後者を選択することになる。
多くの場合、製造されてから12年~25年が経過した間で行われることが多く、最低でも製造から10年以上使用されてから行われる。
また、2000年以前に製造された車両は、更新する際にはバリアフリー対応が義務付けられているが、編成中の1両でも対応していれば問題ないとされる。
逆に、ハイデッカー車などの特殊構造車はその構造故に更新が難しく、これゆえに更新を受けた旧車より早く引退してしまうということもあり、その結果寿命が20年前後と比較的短命に終わってしまう。
リニューアル工事を受けた鉄道車両はリニューアル工事を受けていないそれと区別をつけるため、「更新車」の呼称を使って区別している。
一例
基本的にリニューアル(更新)工事は1回が基本であるが、まれに複数回行われることも。
東京メトロの場合
東京メトロの場合、「製造後12年で小規模改造(A修工事)」、「製造後24年でリニューアル(更新)改造(B修工事)」、「製造後36年で小規模改造(C修工事)」、「製造後48年で廃車」という独自の改造工事のサイクルを形成している。しかし諸般の都合から01系のようにB修工事を行わず廃車にするケースが存在する。
近畿日本鉄道の場合
近畿日本鉄道(近鉄)の場合は2度リニューアル(更新)工事をするのが基本となっている。「製造後15年~20年の時点で行われるリニューアル工事」を「A更新」、「製造後35年~40年の時点で行われるリニューアル工事」を「B更新」と呼ぶ。結果的に新車投入費用を抑えて車両の長寿命化が成功している。