月読ジゼル
つくよみじぜる
「ゴルゴダの丘に咲く青い薔薇よ……何人も抜け出せないその檻の中に咲き誇る瑠璃色の不可能よ
願わくば教えておくれ薔薇十字の魔王 黒く塗られし薔薇に込めたる憎しみを」
「薔薇十字館殺人事件」に登場した容疑者の1人。
電波系美少女というキャラ付けに加えて後述の様々な事情からゲストキャラの中でも根強い人気がある様子。
pixivに投稿されている作品の多くは後述のネタバレ要素を含んでいるため注意。
「ローゼンクロイツ」と名乗る人物が主催する青薔薇の完成披露会に興味を持ち、薔薇十字館にやってきた花詠みの歌人。
年齢は20歳で、容疑者の中では最年少。
ウェーブがかったストレートロングの髪に、両端に薔薇のコサージュがついたヘッドドレスを飾っている。黒を基調とした等間隔にリボンが結びつけられた華美な洋服と、いわゆるゴスロリファッションに身を包んでいる(ドラマ版では姫袖でフリルのついたワインレッドのブラウスとリボンをあしらった黒いジャンパースカート、黒いヘッドドレスに黒いマニキュアと原作より甘さを抑えた装いになっている)。
突っ込み所満載な性格のキャラをしているが、女性キャラなので宿命の如く入浴シーンが描かれるといったお色気に貢献している(美雪と白樹先生のサービスカットも入っており、直後に、小さいコマで金田一が作中一の連続殺人鬼と一緒に男湯に入るというNGかつシュールなシーンが入った)。
背が低く、20歳より若く見えるうえ、衣装からでは分かりにくいが、その入浴シーンを見るとスタイルはかなり良いようで、隠れ巨乳で着痩せするタイプであるともいえる。ただし背中には大きな十字の火傷を追っている模様。
明後日の方向に視点を合わせているような様で、金田一にも「プッツン系」と称されて苦手意識を持たれている。
薔薇や西洋の知識を備えており、それに因んだ詩を所構わず詠う。目の前で殺人事件が起きながらも動揺しないどころか、思いついた詩を詠う異様な冷静さには周囲を困惑させている。
3人目の被害者が出た時は一応動揺している様子が見られたので完全に非常識人ではない様子。
容疑者全員に共通したことだが、火がトラウマになっているようで、火事と聞くと普通の女の子のように動揺している。
背中に独特の火傷の跡がある設定は、作中では黒河美穂と深山日影以来となる(不思議ちゃんであり同性を含めた他人に裸を見られるのが苦手であり、サービスカットのお尻が披露された点は前者と共通)。
元祖着痩せするタイプとして浅野遥子先生を忘れてはならない。火にトラウマを持つキャラは他に湖月レオナがいる。キャラデザが似ているキャラには常葉瑠璃子がいるが、彼女は金田一に苦手がられていなかった。
この事件の犯人である「ローゼンクロイツ」その人。
推理作品でありがちな明らかに怪しい様を演じたスケープゴートと見せかけて、そのまんま本当に犯人だったというパターン。
独特なその名前は花詠みの歌人としてのペンネームではなく本名。そして月詠性以前の名は美咲ジゼル。
2つの薔薇の名前を持つからという理由で容疑者の中で仲間外れと認識されてはいたが本人が言ってたようにただの偶然。これに関しては招待された客の中から条件に合わない人物が招待者(犯人)という推理の過程と言える。
電波のような詩には最初に殺した人物との関連性を焙り出す目的が含まれていたが、詩を作りたがるのは回想からすると素の性格のようだ。
一方冷静でどこか電波系な性格は若干作ったものであり、自白後は後述する動機や高遠へ恨みを吐く際にはかなり頭に血が昇っており(当たり前ではあるが)、口調も激しいものになっている。
最初はターゲットが分からずして犯行を計画しているが、どっかのマジキチジェイソンとは違ってあくまでターゲットの犯人を炙り出すことに専念している。(まあ、第2の殺人で上手いことターゲットだけがピンポイントで死んだのは完全に運だけど)
作中ではトリック自体の発想は認められているが、いくつかの失言から金田一や高遠から目をつけられることになり演者としての才能は欠けるという評価を受けている。
証拠を突きつけられた際も動揺している描写が多く犯行時も焦っているような表情が見られた。
また、ある証拠を隠していたため、高遠にスカートをめくられてしまった(スカートとペチコートの隙間から取り出された。彼女の挙動からスカートの中にあると確信していたためでもあるが)。その時のリアクションは非常に可愛い(さらにアニメだと悲鳴がスカートめくりそのものへの反応と解釈されたらしく顔を赤らめている)。
これらの様子から現在も感情は結構豊かな方らしい。
犯行の内容には死体の解体や杭を床に刺さるまで打ち続けるなどのハードな作業も見られ、作中でも指摘される大した力のない小柄な女性という中でよく頑張ったものである。
彼女の正体は薔薇ブリーダー・美咲蓮花と地獄の傀儡子・高遠遙一の実の父とされる謎の人物の間に生まれた娘であり、物語冒頭で存在が明かされた高遠の妹本人である。
母子家庭の中で育つが、母親が開発した完璧な青薔薇を盗もうと目論んだ人物らによる放火で母を喪い、自身も背中に大きな火傷を追ってしまう。親戚の家に引き取られてからもそのことが深いトラウマとなっており、火に対し強い苦手意識を持つようになってしまった。
ジゼルは母親が残したダイイングメッセージを元に犯人の1人である皇を薔薇十字館に呼び寄せて接触、そして逆上した皇から身を守るために彼を殺害してしまう。
その直後に高遠を目撃し、その高遠が兄の証である薔薇を持っているのを見て腹違いの兄であることを知り、殺人鬼に覚醒。母の仇をあぶり出しつつ、彼をスケープゴートに利用することで復讐劇を決行した。
しかし高遠が呼んだ金田一の存在がジョーカーとなり、計画は失敗。捨て身の覚悟で薔薇十字館の爆破を図るも、先を読んだ高遠により阻止され、そのまま気絶。
恒例となる事件解決後の金田一と犯人の面会もないまま、事件は高遠のルーツという謎を残して幕を閉じた。
高遠自身は自分の存在はあくまできっかけであり彼女が語るような実の兄が殺人鬼であったから自身も殺人鬼として目覚めたという解釈には否定的。
実際、復讐という動機は共通していたが「魔術列車殺人事件」時点で殺人そのものへの躊躇いがなかった高遠と高遠の存在から復讐の悪魔の導きとして運命と結びつけたジゼルでは対応が異なる。高遠が語るように彼女を突き動かしていたのは復讐心であり、犯罪芸術家としての思想をジゼルが見せた様子もなかった。
皇の殺害は原作では逆上した彼を殺害しての「正当防衛」であったが、アニメやドラマでは逃げ出した彼を引き留めようとして階段から落下させてしまった事による「事故」に変わっている。
また、その皇の死体が登場する際の演出は、原作では「バラバラにされたものが料理の代わりにそれぞれの皿に乗せられている」という何ともおぞましい演出だったが、アニメ版では「巻き上げられた大量の黒薔薇に紛れて予め隠してあっただけの刻まれていない死体を出現させる」という手品のような演出、ドラマ版では遺体自体は登場せず箱の中身がデスマスクになっているとそれぞれ変わっている。
「薔薇十字館殺人事件」は、高遠の妹が容疑者の中にいるという設定だったが、高遠の年齢が23歳であることを知っていれば、それより下なのは彼女だけなので、必然的に正解が分かるようになっている(高遠の年齢が示されたわけでもなく高遠の妹=犯人と結びつくわけではなかったが)。
このためか、ドラマ版では異母兄弟(男か女かもわからない)と変更され高遠より見た目年下の人物として候補が4名に増やされた。その中には彼女よりも年下の容疑者として真壁誠も追加されている。
あの高遠の妹ということで、読者からは事件後にタッグを組むのではないかと危惧されていたが、ある点で落ち度を見せてしまい早い段階で一にも高遠にも犯人であることに気づかれ、さらにはそれに自分自身では全く気づいておらず、高遠が呆れ半分で指摘してようやく気付いたというドジっ子属性持ちである。
上記に加え悪あがきを続けたこともあり、高遠からは「犯罪芸術家として失格」「彼女は私に少しも似ていませんよ」と断言されてしまっている。
ただし、アニメやドラマでは多少情を感じさせる発言や行動を見せている。
作中で披露した詩は前述のようにターゲットの特定や見立てを狙った意図的なものが含まれている。それ以外の詩はカモフラージュや彼女自身の癖と思われる。しかし、2014年ドラマ(4代目)版では彼女自身の策に詩は関係なくなったことで無駄に詩を読んで失言した。
2015年版のアニメ『金田一少年の事件簿R』にてようやく「薔薇十字館殺人事件」が放送されたのだが、3話目の「被害者に見せかけた悲鳴」を上げるシーンにて、副音声での悲鳴の字幕に被害者の名前でなくジゼルの名前が記載されている。
字幕にて半ば犯人をバラしてしまうという、推理ものとしてはあるまじきミスである。スタッフは疑問に思わなかったのだろうか。
こうしてドジっ子属性を他媒体でも深めることになった。
犯人の中でも人気が高い方と思われるが、概要で述べた電波系美少女という点よりもやはり「高遠の妹」という点は大きいだろう(というか詩を読み上げる点以外は演技のようだし詩そのものは才能があることから電波系という前提自体覆される)。
ジゼルが高遠を見て殺人犯として行動を決意し高遠の側からアニメやドラマで情を見せた以外は兄妹関係は最悪ではあったが、そのような曖昧な描写が関係性を妄想やすくさせているのかもしれない。
また、余談内で述べているドジっ子要素も語られることがあり、特に『犯人たちの事件簿』で度々犯人たちの演技力が取り上げられたことで作中でその点を指摘されたジゼルと絡められるネタ方面の人気もある。
2年前の18歳の頃はウェーブのかかったセミロングで、虚ろな目は母親譲りであり、生まれつきなのが判明した(満面の笑顔でもこの目である)。
ニットベスト制服を着ていたが、通っていた高校のものだろうか?(普通の私服姿も描かれている)
担当声優の沢城氏は、本作と同様に薔薇が重要な意味を持つローゼンメイデンのアニメ版で真紅役を担当した人物でもある。ローゼンクロイツの名前からもある意味適任であったと思われる。
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