概要
『椿という名の それはそれはおとなしい娘じゃった』
椿は彼岸島の吸血鬼の里に暮らす少女。
おとなしいことだけが取り柄だった椿だったが、小間使いとして召抱えられた先の主人である雅様に片思いしてしまう。
しかし、宮本明以外にさして興味を持たない雅に小間使いの少女の恋心など伝わるはずもなく、恋愛感情を無視され続けて錯乱した椿は雅様の飲む茶に猛毒を入れてしまう。
当然ながら雅様は不老不死のため猛毒は通用しなかったが、普段飲む茶の味の異変に気づいた彼は激怒して犯人探しを行い、自身の犯した行為への後悔に苛まれた椿は自責の念から自らの両目をくり抜いてしまい、自身が彼の茶に毒を盛ったことを白状した。
「これがお詫びの気持ちです」
「もうあなた様に合わせる顔がありませぬ」
「あなたを見れない目などいりませぬ」
「これを おおさめください」
最後の47日間 最終決戦
両眼を自ら潰し、身をもって謝罪を行った彼女は死罪は免れることとなり、その代わり雅の住む邸宅の地下深くに存在する巨大な洞窟に放逐された。
そして、その広大な地下空間で彼女は遂に邪鬼と化し、生前の彼女の執念深い性格を反映したのか巨大な女郎蜘蛛の胴体と異常に鋭い嗅覚を獲得した。
生前の彼女の目のあった箇所には歯の生えた触手が付いており、しかもそれらは本体と分離して動かすことが可能である。
(暗闇の中で獲物の移動を封じたり、手の入らない閉所には触手を伸ばして攻撃したりもする。)
また、顔に無数の穴を出現させて周囲の匂いを詳細に嗅ぎ、障害物や壁を無視して精密に敵の位置を遠距離から探知することもできる。
また、邪鬼は基本的に無知性にもかかわらず彼女は獲物をすぐに殺すことはせず食事の時間まで手頃な岩棚に保存する。
(なんだか生前の几帳面さが見えるようなシーンでもある)
椿の最期
宮本明との戦闘では終盤にもかかわらず彼を追い詰め続け、一時は戦闘不能まで追い込むなど蹂躙の限りを尽くした。
当初、その戦闘力と殺意の高さから明達は彼女と戦闘せずにやり過ごそうとするも、亮介が椿の注意を引いて襲われてしまう。
明は彼を椿の襲撃から助けようとするも彼女に捕まり、彼女が食料を保存するための食卓に拉致されてしまうのだった。
なんとか亮介の護身用の短刀を使い食卓の崖を降りるも捕まったままの亮介本人の奪還に四苦八苦した明は彼を連れて洞窟の隅の小部屋へと逃げ込み、その先の小部屋に放棄されていた大量のギロチンを用いて椿の討伐を試みる。
最終的に明は隊長との必死の連携でそのギロチンを武器として加工、そしてクソ重いギロチンの刃を竜巻のように猛烈に回転させ、ようやく椿の顔を切断する事に成功した。
しかし一度切断されても、椿は攻撃の手を休めることなく明たちに襲いかかり、その後に続く2回目、3回目、そして4回目のギロチントルネードにより頭部を完全に切断されてようやく彼女は死亡することとなる。
しかし宮本明に頭部に止めを刺されてもなお首を失った椿の胴体はタダでは死ぬことはなかった。
死の間際、椿は執念で明を捕らえて相討ちに持ち込もうとしたが、決死の覚悟で突き飛ばした亮介が明の身代わりとなり椿の容赦ない連続攻撃を受けてしまう。
そして、椿は頭部がすでに死亡しているにもかかわらず亮介を殺害したのだった
「余談をおおさめください」
椿一体との戦闘に時間を使いすぎたため明たちは雅の計画を阻止することができず、結果として「彼岸島 最後の47日間」のラストは雅率いる吸血鬼軍の勝利という結果に終わっている。
雅が計画の最後に右腕である金剛ではなく、あくまで邪鬼である彼女を明たちへの足止めへ使ったのは雅なりに椿の忠誠心とその執念を買っていたからだったのかもしれない。