隊長(彼岸島)
ひがんじまのたいちょう
「私は雅様の護衛隊長だ 雅様は先程 私に行き先を告げて出かけられた」
「いや 君たち 明はそんな嫌な奴じゃないぞ 俺の友達じゃ」
「頑張れ明ァ ふんばれェ」やんややんや
初登場話:無印二百九十一話「権蔵」
雅様の護衛隊の隊長を務める、老人の吸血鬼。
護衛隊は隊長曰く「かなりの精鋭部隊」とのことだが、要塞寺に侵入した明を倒さんとするも全く歯が立たず、彼が雅様の側近であると聞いた明に雅様の隠れ家への道案内役を強いられた。
彼と行動を共にする中で邪鬼のチワワ様、まり子様といった死線を潜り抜けたことで、明と友情・親子愛にも似た感情を抱いてゆく。隊長本人曰く、「ちょうど孫が生きていたら明ぐらい」とのことでもある。
エリートの出自だけあって吸血鬼陣営の情報に明るく、施設や邪鬼等の情報に通ずる。己の知識を披露して明を助けて得意になるも、明から塩対応されるのがお約束。ちなみに泳ぎが得意で、「カッパの隊長」と呼ばれてたらしい。
また意外にというか異常なほどに手先が器用(垣間見えた部分だけでももはやその道の職人レベル)であり、後に「48日後…」で明が最も頼みとして使い続けているメインの武器を製作したのも、実は彼である。
<無印>
山寺を改造した駐屯地・要塞寺にて明を迎撃するも、10人の隊員は明に瞬殺され、雅なら明を倒してくれると信じ、保身のために雅の根城たる五重塔までの案内人をさせられることに。
しかし雅のペットである邪鬼・チワワ様のいる五重塔に明と閉じ込められてしまったため、生きのびるべく雅のいる最上階まで明と手を組むことになった。その道中、チワワ様の口からの火炎放射によりカッパのごときハゲ頭にされたり、水没ステージで死にかけたり、まり子の拷問で下半身を喪失したりと結構散々な目に遭う。
その際発言した
「ああ嫌だよ ペニスが… 俺のチンコがなくなっちまった」
は名言。なぜ言い換えた。
まり子戦後、吸血鬼の再生力があれば切断された下半身がくっつくかもしれないということから明に探すよう頼んだが、明はさっさと先に進んでしまった。(また、彼の大怪我も"雅様なら治せる"とのこと。)
下半身喪失後はリュックサックに入り、明に背負われて移動することに。
その後、熾烈を極めた五重塔の戦いで明は雅に敗北するが、明の執念を気に入られた雅が彼を生かし、「最後のチャンス」を与えることを決意されたため、彼と共にチワワ様の背に乗って五重塔から撤退していった。
<47日間>
明の悪口大会で盛り上がっていた同族のキモ傘吸血鬼たちに「いやアイツは俺の友達だ」と反駁したことが甚だしく不興を買い、蚊の第一育成所の牢屋に入れられた状態で登場。
育成所の道案内の為明に助け出され、邪鬼・大糞赤子の部屋にて明と共闘し、通路の配置を知り尽くした隊長の事前知識と明のパワーの連携で見事この邪鬼を撃破した。(その際、隊長は邪鬼とはいえ赤ん坊を殺すことを嘆いていた。)
その後、改めて吸血鬼と人間が相容れないことを嘆き涙を流し、明とは一旦別れる。その後、501ワクチンの管理を雅から任され、これを聞きつけた明が三度彼のもとを訪ね、その保管庫のある洞窟で牛乳女と死闘を繰り広げることとなった。
人間と吸血鬼が相容れないことを嘆きながら去る隊長の背中は、どこか悲しみに満ちていた……____
そして最終決戦の日、雅様の最終アジトの存在する彼岸島の辺境:離れ小島で二人はあっけなく再会。
「隊長がいるならアジトもこの辺のすぐ近くだろ」と推理を働かせた明さんは隊長を(強引に)道案内のお供とし、雅の待つ最後のアジトへと潜っていった。
そしてその後、なんやかんや雅様との戦いの果てに地下の穴へ落下した明、隊長、亮介の三人は雅様お気にいりの邪鬼:椿から生き延びるべく共闘する羽目となる。
そして椿に勝利したのち、隊長は明が満身創痍でなお垂直すぎる地下道を登って雅に挑み、戦いの行く末を見届けた。
<48日後>
雅に敗北した日からおよそ半年程度隊長は明とともに生活していたが、ある日明は蚊が消えた冬が差しかかってきたため雅へ復讐を果たすべく本土へ立つことを決意する。
「今まで楽しかったじゃねェか」「島を出るならワシを斬って行け」と必死に止めるも、最期は明に斬首され死亡した。彼岸島に散る____。
なお上でも触れているが、「47日間」の雅との最終決戦で片腕を失った明に、この共同生活の中で非常に精巧かつ「実用的な」義手(生身の腕のように指先まで細かく動かせるわけではないが、少なくとも外見は生身のそれと遜色ない出来で、内部には非常に切れ味良くそこらの普通の日本刀よりも遥かに頑丈な、先端が鉤爪のように前方へ曲がった刀が仕込まれている)をこしらえて授けている(普通の刀匠や義肢職人が五体満足でも製作作業に難儀しそうなシロモノを、吸血鬼とはいえ下半身丸ごと喪失した体でよくも作り上げたものである)。
彼の死に多くのキモ笠は涙し、明さんの話を聞いたケンちゃん(※本土)は「コイツの言ってることはよくわからんな 話半分で聞いておこう」とほざくのであった。ちくしょう。
作者のみならず、読者からも非常に愛されたキャラクターであり、その知名度は高い。
余談だが、無印最初期からの明の仲間が作中で次々と残酷な運命に翻弄され非業の死を遂げていっても、その彼岸島独特の作風ゆえか特に騒がなかった読者たちが、『隊長が明の手で葬られた』と知ったときには仰天し、その時の彼岸島スレが炎上レベルの大騒ぎになったという逸話が存在する。それだけ隊長の明への情の深さ・献身が人々に愛されたという傍証のひとつともいえるだろう(ある意味下手な女性キャラよりも隊長のほうがヒロインしているという言説も…)
なお、彼の本名は不明(初登場から死亡後回想に至るまで、人間側で彼と行動を共にした明や亮介どころか、吸血鬼軍ボスの雅にさえも一貫して「隊長」呼ばわりで通されており、誰も彼の名前を呼んでいない)
公式スピンオフ漫画『彼、岸島』によると、隊長直属の部下十人には「十盾(ディエス・エスクードス)」という格好良ェチーム名が付けられている。
ちなみに、隊長の名前で活動していた公式twitterがあり、全体的にほのぼのとしている。