わしを誰やと思うとる!極道兵器やど~!!
ゲッターロボ等のダイナミックな作風に定評のある故石川賢先生が生み出したバイオレンスアクション漫画。石川賢作品の中でも異色の作品であり、最高傑作であるとするファンも少なくない怪作である。
作品の基本コンセプトはズバリ「ヤクザが仮面ライダーになったらどうなんの?」
本作の大きな特徴に、主人公が完全に狂ってる事が挙げられる。殺人が大好きな主人公・岩鬼将造の過激な言動と度を超したバイオレンスが本作の魅力で、その凄惨さは陰鬱を通り越して清々しい程。当初、石川先生はエネルギッシュながらもペーソス漂う「仁義なき戦い」的な作品を描こうとしていたらしいのだが、何を間違ったかエネルギッシュになり過ぎてこんなドワォ系な作品に…。まあ彼の作風上、当然の帰結であったような気がしなくもない。
そしてこれも石川先生の宿命なのか、打ち切りによって「でたなゲッタードラゴン」という所で終わってしまった。全3巻。
改造人間物というジャンルではほぼ同時期に某誌で連載されていた「最終兵器彼女」があるが、本作の作風はそれとはまったくの正反対であり、同じ時期に同じアイデアを与えても作者によってここまで違う物ができることの証明である。「最終兵器彼女を読んで鬱になった後に極道兵器を読むと一気に躁状態になる」とは漫画ファンの口癖である。サイカノは「残酷な世界に蹂躙される人間」を描いたが、極道兵器は「世界を蹂躙する残酷な人間」を描いたとも言えよう。
長らく知る人ぞ知る名作の名をほしいままにしていたが、2011年、まさかの実写映画化決定。日本もまだまだ捨てたもんじゃねぇな!!
ストーリーじゃあ!
あまりの過激さから組を追い出された御曹司・岩鬼将造は傭兵になり、世界の紛争地帯で大暴れし破壊と殺戮の限りを尽くしていた。そんなある日、先輩の傭兵・神竜から親父である組長が殺されたこと、そしてその背後に世界を牛耳ろうとする犯罪組織デス・ドロップ・マフィアが絡んでいることを知らされた将造は日本に帰国。
かくして将造とデス・ドロップ・マフィアとの空前絶後の大戦争が始まった!!
登場人物じゃあ!
岩鬼将造
本作の主人公にしてドワォの化身。あだ名はショーちゃん。性格は気が狂ってるの一言で、破壊と殺戮が趣味のサイコさんである。一応、それなりに優しい所や義理堅い所もあるのだが・・・・。常人離れした怪力と射撃の腕前、そして剛胆というか無神経というか、とにかく超合金Zのように丈夫な精神力の持ち主で、どんな敵にも構わず突撃をかましては無関係の人諸共ブチ殺していく狂犬のような男。ページをめくるたびに誰か殺していると言っても過言ではない。物語中盤、左腕と右足を使い物にならないほどに損傷してしまったが、内閣特務捜査官・赤尾虎彦に本人の意志ガン無視で改造手術を施され、左手は機関銃、右足はロケットランチャーにされ文字通り極道兵器にされてしまった。しかしそんな哀れな状況も、ショーちゃんったら「よくもこんなスバラシイ身体にしてくれたのう!最高じゃあ!」の一言で嬉々として受け入れますます破壊の限りを尽くすようになってしまった。改造人間の悲哀なんてなんのそのである。
物語が続いていたらサイボーグ化が進んでいき、最終的にはタイトル通りの100%サイボーグ兵器になって大暴れする予定であった。
余りにも無茶苦茶だがこんなキャラを動かしやすくてお気に入りという辺りは流石はケン=イシカワである。
ちなみにOVA「真ゲッターロボVSネオゲッターロボ」ではネタとして内閣官房長官として彼の名前が挙げられている。こんなのが政界入りするとは世紀末もいいところだが、ある意味納得の人選と言えよう。ゲッターロボのアニメ最新作ゲッターロボアークでもお遊びでショーちゃんの名前が使われているが、なんと流竜馬が残した空手道場の高弟に名を連ねている。「コイツをゲッターに乗せればいいんじゃね?」と思ったそこの君、ショーちゃんにこんな危ない玩具を与えたらどんな大災害を引き起こすことになるか、よく考えようね?
倉脇重介
デスドロップ・マフィアと手を組んだインテリヤクザ。元々は岩鬼組の三下であったが、御曹司である将造が勘当されたのを良いことに組長を暗殺し、岩鬼組を乗っ取る形で勢力を拡大した。
・・・が、これがショーちゃんの喧嘩魂に火を付ける結果となり、シマと本拠地を丸ごと潰された上に自身も瀕死の重傷を負わされる羽目になった。その後、デスドロップ・マフィアの手によって改造手術を受け、岩鬼将造に並ぶ極道兵器となり、ゴキブリ並みのしぶとさで将造を付け狙うことになった。
三太郎
モヒカン頭のチンピラ。将造の子分であり、傭兵時代からの腐れ縁である。将造と共に修羅場を潜っただけあって、かなり優秀な戦士である。・・・だが、正直な話ショーちゃんの無茶に毎話毎話付き合わされる弩級の苦労人である。
拓三
ショーちゃんの子分その二。爆破解体のプロフェッショナルであり、倉脇重介の本拠地である高層ビルを吹っ飛ばしたのもこの人。三太郎と同じく、ショーちゃん劇場に巻き込まれる苦労人。
なよ子
極道西日本連合に属する若き女組長。将造の許嫁であり、凄まじい肝っ玉の持ち主。
赤尾虎彦
内閣特務捜査官にして、岩鬼将造を極道兵器に改造した張本人。拳銃一丁で戦闘ヘリを撃墜する凄まじい腕前の戦士であり、デスドロップ・マフィアの日本侵略に対抗するために将造を半ば無理矢理仲間に引き込んだ。あの人に類するポジションの人物であり、ショーちゃんの虐殺戦争を影から支えている。こんなのを出世させる日本はどうかしてるんじゃなかろうか。でも石川先生だから(ry
山林のおじき
ショーちゃんの叔父にあたる人物。普段はスクラップ工場を営んでいるが、元々は落ちぶれた極道の組長であり、今も尚虎視眈々とヤクザの世界でのし上がろうと企んでいる。ショーちゃんが唯一苦手にしている難物であり、目的のためなら手段をサラサラ選ばない食えない輩。ロシアの科学者を抱え込んで極道の宇宙進出を目論んでいるが、計画のスケールがでかすぎて誰もついて来れていない模様。
竜二
極道兵器のパイロット版である読み切り作品「真・極道兵器」の主人公。世話になった組を裏切り、組長と恋人を殺した舎弟に引導を渡すべく立ち上がった漢・・・といえば聞こえは良いが、実際は仁義と狂気を履き違えている狂戦士。恋人を模したダッチワイフに兵器を満載し、虫けらのようにヤクザを殺しまくる勇姿は今なおファンの語りぐさである。
本編には彼によく似た傭兵:神竜が登場しており、岩鬼将造に極道兵器としての生き方をたたき込んだ先輩という役どころとなっている。
シャルロ
デスドロップ・マフィアの若き幹部。日本制圧のための尖兵として送り込まれたが、将造の度を超した暴力の前に何度も計画を阻止されている。当人も優れた戦士であり、将造とは幾度となく銃火を交えている。残酷非道ではあるが、ある意味極道としては真っ当な思考回路の持ち主である。
ショーちゃん名言録
- 「弾なんぞ、怖いと思うから、当たるんじゃ~~~!うわぉぉ・・わしがにらみつけりゃ、地雷だろうが逃げ出すわい!!」
- 「人が死ぬ時の悲鳴がわしの耳から身体中を駆け巡るんじゃ・・・」
- 「もっと青少年にとって、不健全で不健康な街を取り戻さねば!!オッサン!日本はダメになるぞっ!!社会の正しい姿とは、目に見える健全さと、目に見える不健全さとがちゃんと、ここにあることだ!不健全さがない社会は、健全さも目立たない!!」
- 「この夏一番の波が来るぜ~~~~!」
- 「わしは核爆発見たかったんじゃ!だのにあないな線香花火でごまかしおって!」
- 「目ん玉つぶしてくれてありがとうよ。極道としてまた箔がついたぜぇ~~~~!」