概要
日本の小説家(1919年3月8日〜2004年9月8日)。福井県生まれ。
社会派推理小説『飢餓海峡』、少年時代の禅寺での修行体験を元にした『雁の寺』、伝記小説『一休』などで知られる。禅寺を出奔して様々な職業を経ながら宇野浩二に師事、社会派推理小説で好評を博し、次第に純文学的色彩を深め、自伝的小説や女性の宿命的な悲しさを描いた作品で多くの読者を獲得。
その後は歴史小説や劇作にも取り組む一方、伝記物に秀作を残した。作品の映像化も多い。日本芸術院会員、文化功労者。位階は正四位。
人物
- 娘の直子は身体障がいを抱えており、日本パラリンピックの父・中村裕の世話になった。中村との関わりは親密となり、水上は社会福祉法人太陽の家の命名者となり、中村裕の伝記を執筆した。
- 晩年(70歳を過ぎてから)は病気による体力低下により、原稿の執筆にはワープロやパソコンを用いていた。この時代の純文学系大御所クラスの作家としては安部公房などと並ぶ数少ない、先進電脳化(?)例の一人。
- google等で「水上勉」を検索すると、「イケメン」のワードがサジェスト上位にくることで地味に有名。作家専業になるまで数多くの職業経験を有することなどから話題話術にも優れ、奥様観衆達の涙を常に誘う講演名人作家のひとりとしても知られていた。
- 文芸雑誌編集者だった戦後間もない若い頃、太宰治の弟子だった田中英光らと飲み友達だった。太宰作品を担当したこともあるが、肝心の本人には行き違い等もあって結局一度も会えなかった思い出を「新潮社日本文学アルバム『太宰治』」内のエッセイで振り返っている。
作品
- 『雁の寺』
- 『金閣寺炎上』
- 『飢餓海峡』
- 『土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―』