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概要編集

谷崎潤一郎(1886-1965)とは、近代日本を代表する文豪である。弟の作家・谷崎精二と区別するため「大谷崎」と呼ばれることも。


明治大正昭和の三時代に渡って旺盛な創作活動を続けた小説家。その豊潤かつ論理的な文体は、森鴎外の簡勁な表現と共に日本語文の理想ともいわれる。作品の特徴としては、芥川龍之介との論争でも語られた物語性の重視、マゾヒズムフェティシズム女性崇拝のテーマ等が挙げられる。


また、純文学作家でありながら娯楽的な小説も多く手がけ、映画推理小説など日本の現代的なエンターテインメントの成立に多大な寄与をした。


端的に言うと、異常に芸術性の高い「萌え小説」を発表することで、平安朝的な日本の古典文化と、現代日本のHENTAI文化への橋渡しをした作家である(こういう立ち位置の作家には他に川端康成がいる)。


略歴編集

東京帝大在学中に小山内薫和辻哲郎等と第二次「新思潮」を創刊、同誌に発表した『刺青』等が永井荷風の絶賛を受ける。続けて、耽美派・悪魔主義・モダニズムの諸作を発表し、文壇に地歩を固めた。

関東大震災後、関西へ移住(谷崎は大の地震嫌いであった)。その前後から、日本の古典・伝統文化に傾倒し、作風を大きく転換していく。この時期の代表作である『吉野葛』『蘆刈』『春琴抄』は、日本の伝統的美意識と近代的な小説手法を両立一致させた優れた近代文学となっている。日中戦争後は戦争に向かう時流に背を向け、『源氏物語』の現代語訳や、大作『細雪』の執筆を行った(「軟弱」として発禁になり、戦後公刊)。

戦後も、老いや病と闘い、途中からは右手の麻痺により口述筆記を余儀なくされながらも、名作佳作問題作を発表し、盛んな創作欲は衰えなかった。


代表作編集


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