「氷水底」の更に奥に眠る母なる獣(ゾア)は、「エジル」の心のように、「大霊峰」の全てを冷たい氷に閉ざしていく。
固く、固く、二度と崩れないように……。
――ザ・ヴァリュアブル・ブックEX3より
概要
『CYBERSTORM ACCESS』で登場した水属性・水族の最上級モンスターのチューナーモンスター。
氷水に属しているが、効果自体は水属性シンクロモンスターを採用するデッキ全般で扱える汎用性の高いものとなっている。
背景ストーリーでは
アルバスの落胤を中心とした背景ストーリー烙印世界において、物語終盤に登場。
同胞である氷水を根絶やしにした龍淵への復讐を終え、新たな氷水帝となった氷水のエジルであるとのこと。
カードテキスト
星7/水属性/水族/攻1500/守2500
このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):手札から他の、「氷水」カード1枚か水属性モンスター1体を捨てて発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
その後、自分フィールドに「氷水トークン」(水族・水・星3・攻/守0)1体を特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したトークンが存在する限り、自分は水属性モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
(2):このカードは装備カードを装備している限り、カード名を「氷水底イニオン・クレイドル」として扱う。
解説
(1)は自身を手札から特殊召喚し、その後氷水トークンを生成する起動効果。
コストとして手札の「氷水」カードまたは水属性モンスターを捨てる必要があり、同テーマではレベル4・5の氷水モンスターが、別テーマでは海皇なども相性が良い。
生成されるトークンはレベル3でこのモンスターはレベル7のチューナーモンスターなのでこのカードとコスト1枚で氷水啼エジル・ギュミルか相剣大公-承影のシンクロ召喚が狙える。
ただし、氷水トークンには水属性モンスターしかEXデッキから特殊召喚出来ない制限が付くのでフルール・ド・バロネスのような汎用シンクロモンスターはシンクロ召喚出来ない(ちなみに、水属性・レベル10のシンクロモンスターは上記の2体のみ)。とは言え水属性のリンクモンスターは層が厚いので覚えておいて損はない。
(2)はこのモンスターに装備カードが装備されている限り、自身を「氷水底イニオン・クレイドル」として扱う永続効果。
この効果により氷水帝コスモクロアや氷水呪縛によるロックを成立させやすくすることが可能になっている。
同テーマ内では氷水艇キングフィッシャーと氷水艇エーギロカシスが自身を装備魔法化する効果を持ち、特に氷水艇エーギロカシスはレベル7で装備状態から分離できるためランク7エクシーズも狙える。
余談
カード名の「ラーン」とは北欧神話に登場する霜の巨人の1人で、海神エーギルの妻。
難破した人間を網で海中に引き込むとされており、夫エーギルとの間に「波の乙女」と呼ばれる9人の娘がいるという。
カードイラストでは氷の中に封じられた深淵の相剣龍の前でボロボロになったイニオン・クレイドルの玉座に一人坐しており、その周囲には砕け散った氷水たちの残骸が転がっている。
かつて「氷水にしてはよく泣く」と言われていた彼女はどこか寂し気な無表情であり、その胸中をうかがい知ることはできない。
彼女がこのままたった一人の氷水として生きるのか、それとも新たな氷水の誕生を待つのかは不明だが、氷水のモンスターたちはたとえ死んでもイニオン・クレイドルに還り、新たな氷水として生まれ変わる存在。彼女が孤独でいる期間は意外に短いのかもしれない。
なお、ピンときた人もいるかもしれないが「同カテゴリまたは同種族のカードを捨てて自身を特殊召喚する」「特殊召喚制限が付くトークンを生成する」という効果は皮肉にも背景ストーリーにおいて氷水が壊滅状態になるきっかけとなった裏切り者とほぼ同じ。激しく憎悪した敵と同質の力を使う彼女の心境は如何に。