幼く純粋な「エジル」の心は、瞬く間に黒き憎悪で埋め尽くされた。
図らずもコスモクロアの死によって、その身は次代の「氷水帝」として急激に覚醒を促されていく……。
――ザ・ヴァリュアブル・ブックEX3より
概要
『PHOTON HYPERNOVA』で登場した水属性・水族のシンクロモンスター。
氷水に属するが、効果自体は水属性チューナーを採用するデッキ全般で採用可能な汎用性の高いものとなっている。
ザ・ヴァリュアブル・ブックEX3によると、家族を根絶やしにし、母のように慕っていた存在を死なせる切っ掛けを生み出した龍淵への憎悪によって急激に氷水帝としての力を覚醒させた氷水のエジルであるとのこと。その為、幼い少女の姿から外見年齢は大きく成長しており、頭部の王冠も大きくなっている。
背景ストーリーでは
アルバスの落胤を中心とした背景ストーリー『烙印世界』で物語終盤に登場。
アルバス・トライブリゲード連合軍とデスピアの最終決戦において、同胞たちの仇である龍淵と覇蛇大公ゴルゴンダが融合した深淵の相剣龍を追って氷水艇エーギロカシスと共に参戦。深淵の相剣龍と激しい死闘を演じる。
最終決戦後は倒した深淵の相剣龍を氷の中に封じ込め、新たな氷の女帝として氷水底イニオン・クレイドルを孤独に守護している様子。
カードテキスト
水属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手ターンに発動できる。
このターン中、自分フィールドの表側表示モンスターは相手の効果では破壊されず、
相手の効果では除外できない。
相手の効果の発動にチェーンしてこの効果を発動し、
その同名カードが相手のフィールド・墓地に存在する場合、
さらにその同名カードを全て除外できる。
(2):このカードが墓地に存在し、相手の効果でカードが除外された場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
解説
(1)は自分フィールドのモンスターに効果破壊と除外への耐性を付与する効果。
自身にも付与できるうえ、この効果の処理後に場に出た味方にも適用されるので味方全体の場持ちを良くすることが可能。
加えて相手の効果にチェーンして発動した場合、そのカードおよび同名カードをフィールド・墓地から全て除外するという連鎖空穴に似た効果を持つ。
これにより耐性を獲得するついでに除去も可能となっており、【ワイト】や【サイバー・ドラゴン】など同じカード名が複数存在するデッキには極めて有効。カードの種類の指定も無いので除去手段に乏しい【氷水】では特に魔法・罠カードの除去に重宝する。
優秀な効果である一方でいくつか穴があり、バウンスや墓地送り、コントロール奪取は防御出来ないので注意が必要。
(2)は相手の除外をトリガーに自身を蘇生する効果。
相手依存のため能動的に狙うのは難しいが昨今のデッキは何かしらの形で除外が絡むことが多いので発動は意外と狙いやすい。
とは言え、反応するのは効果による除外のみであり、墓地コストとしての除外にも反応しない。加えて、このモンスター自体を除外されてしまうと無力な点も注意が必要となる。
また、(1)の効果もあってこのカードが墓地にいる状態では相手が除外を躊躇う事もあるが、【氷水】にとって苦手な除外を牽制しているだけでも仕事はしていると言える。
総じて耐性付与とそれに伴う除去効果により【氷水】のみならず水属性チューナーを採用するデッキでも活用でき、自身が水属性チューナーである瑚之龍を用いればシンクロ召喚を主軸とするデッキ全体で活躍が見込める。
余談
名前の「啼」は「動物などが鳴く」「涙を流して声に出して泣く」といった意味を持ち、この漢字自体も「啼(な)く」と読む。
「氷水にしてはよく泣く」というエジルの設定を意識したのかもしれない。
カード名にある「ギュミル」とは、北欧神話に登場する霜の巨人の一人でその名前は「海」を意味する。
エジルの元ネタであるエジル輝石は同じ神話の海神エーギルに由来し、上記のギュミルと同一視されることもある。
(1)(2)の効果は憎き仇である相剣大邪-七星龍淵及び彼が変貌した深淵の相剣龍とは、あちらの除外を無効化しつつ逆に除去することが可能な上に戦闘で破壊されてもあちらの効果に反応して蘇生するとあちらに対するメタとなっている。