概要
海女と大あわびとは、千葉県の房総半島にある御宿町岩和田に伝わる「大あわびの怪」「大あわびのいかり」などとして知られる民話およびその類話を参考にして書かれた辺見じゅん著の物語が原作の、アニメ『まんが日本昔ばなし』で放映された「海女と大あわび」のことを指す。
あらすじ
昔々ある漁村に若い海女が住んでいた。
その漁場にはとても大きなアワビがおり、海の守神として崇められ、傷を付けたりましてや触っただけでも、怒りをかって海が時化ると恐れられていた。
海女は愛しあっている漁師と、漁が終わると愛を確かめ合っていたが、男は貧しいためにすぐに漁の出かけていってしまっていた。
男に恋い焦がれた海女は、また時化のときに会えると聞いたことを思い出し、あろうことか大アワビに拾った貝をぶつけることで時化を意図的に起こし、漁に出られないために家に居るしかない漁師と過ごすようになった。
何度か時化を起こすことで、漁師と幸せな時間を過ごすことができたが、あまりに頻繁に時化が起きるので、村人たちはだれかが大あわびを怒らせているのではないかと訝しむようになっていった。
あるとき、ぶつけるための貝殻を用意できなかった海女は、思いあまって手にした小刀で傷をつけてしまう。
すると大あわびが吹きだした泡によって海女は浜まで吹き飛ばされ、さらに今までのものとは比べものにならない嵐が吹き荒れ始めた。
村人たちから、漁に出かけた男たちがまだ帰ってこないと聞いた海女は、必死で舟を漕ぎ沖へと探しに行ったところ、目の前に愛する漁師の姿が見えた。
しかし、あと少しというところで、海女は海から吹き上がった大きな竜巻に飲み込まれ、漁師も帰ってくることは無かったのだという。
余談
- 演出は小林治、文芸は沖島勲が担当。美術は千葉秀雄、作画は原博で1992年に放映された。
- 海女のキャラクターデザインは、現代の視点からすると美人とは言いがたい姿だが、今でいうところのヤンデレ気質で妙な可愛らしさがあると評判である。海女と恋仲の漁師の男との関係は直には全く描かれていないが、「その(時化の)日、2人は一緒に過ごした。夢のような1日じゃった」等といったナレーションや、朝になって半裸の姿で床から起きた男が、女の家から出ていくなど大人の視聴者には明白に解るように描写がされている。
- 時代考証により描写された、海女の上半身がはだけた姿は今では放映できないと思われる。(なお実際には昔の海女は海に潜る時は全裸であったもよう)
- ニコニコ動画では日ペ昔話として紹介されているが、残念なことに日ペ三大美人タグはつけられていない。なおホラー日ペタグは付いている。
- 元の伝承では、海女がぶつけるのは小石で、一線を超えた際にはたくさんぶつけたとされる。
- 茨城県北茨城市の花園神社にある七ツ滝の滝壺にも、ご神体である大アワビが棲んでおり、滝壺の水底を調べようとするものがいたり、かつては女人禁制であった奥の院へ女性が近づくと、浮かび上がってきて喰われると恐れられていた。