概要
外伝『亡国の吸血姫(ヴァンパイアプリンセス)』にて登場した、アンデッドの魔法詠唱者(マジック・キャスター)で構成された組織。
『八本指』の1人、デイバーノックが巡り会えなかったという『秘密結社』を指していると思われる。
外伝では悟によって組織の情報や研究資料、資金を奪われ、徐々に壊滅へと追い込まれた。しかし本編では現存している事が、書籍版15巻の幕間で明かされている。
成り立ち
アンデッドは寿命が存在しないため、場合によっては別の存在と衝突する場合がある。
その中で魔法詠唱者のアンデッドは知識欲が強くなる傾向があり、1つの知識を巡って殲滅戦になる場合や、漁夫の利を狙った第三者にどちらも滅ぼされてしまう事があった。
そういった事から、奪い合うよりも協力や取引した方が良いと判断する者達が現れ、互いの利害が衝突しない様に調整する目的でこの組織が作られた。
幾つかルールが有り、最初はそれを破ると他のメンバーから叩かれるだけの緩い結びつきであったが、200年程経過するとそれなりのルールが出来上がった組織になった。
初期は4人のナイトリッチと3人のエルダーリッチのみだったのが、(外伝の段階で)内陣の7人と外陣の48人の合計55人となった。ちなみに、内陣の7人は難度150の強さに至っている(本編で言うところの、プレアデスやイビルアイに匹敵する)。
名簿の石碑がいつの間にか魔力を持ち、『グラニエッゾ碑文』と後に呼ばれる様になる。
傾向
世界の裏で気付かれぬよう、目的のために活動するメンバーが非常に多い。
より強大な力を得る研究をしている者ばかりだが、メンバー同士でも自分の研究を秘匿している事が多い。
生者の世界で活動する者はいたが、アンデッドは生者の敵であるため、必然的に多くの敵を作り滅ぼされている。しかし極一部の優秀な者は、生者の世界の闇で活動している。
これらの事が重なった結果、この組織は噂レベルの存在となった。なお目立つ事を避けるため、著名なナイトリッチ3名は勧誘をしていない。
軍事力
詳細は不明だが強大な個の集団であり、転移後の世界では最上位の存在である。
第六位階魔法を扱えるナイトリッチが、記述にあるだけでも4体いる。その内の1体、グラズン・ロッカーは第八位階まで到達している。
支配者
15巻の幕間で明かされた、『深淵なる躯』を支配している強大な存在(外伝では登場していない)。現在のところ、「アレ」とだけ呼ばれている。姿に関しては「巨大で、傲慢だが臆病の具現」との事。
どこからか組織の存在を知り、内陣メンバーの前に突然現れ圧倒的な力を見せつけて支配した。
数年に一度、組織の者を呼び出し研究結果を得て己の強化に充てているが、奪うだけで大した利益を返そうとしない。
将来的に大陸中央に騒乱を引き起こすつもりらしい。また、「あいつら」の協定に『深淵なる躯』を貸し出し出来る戦力とも考えている模様。
内陣メンバー達が大人しく従っているのは、この世界における最強の存在達に対する抑止力になりえると考えただけで、決して忠誠を誓った訳ではない。
むしろ内陣メンバーの1人であるバネジエリからはその傲慢な態度を酷評されており、密かに謀反を企てられている。また、「もし構成員の謀反に気が付けば研究結果を得るメリットのほうが大きかったとしても、警戒心の強い「アレ」は間違いなく自分達を滅ぼそうと行動する」だろうとも思われている。
強さに関しては、以下の様に書かれている。
- 組織全員で反旗を翻しても勝算は無い
- 位階魔法を汚れていると言いつつ、『深淵なる躯』の研究結果を己の強化に充てている
- 相当な時間をかけて巨大な洞窟を掘りぬいた。床だけは魔法的手段で磨かれて1枚の板の様になっているが、「アレ」が行ったかは不明
- アンデッドを支配する能力に欠けている。もし特化していれば、『深淵なる躯』を支配出来ていたらしい
その正体については位階魔法を汚れていると言っている事から、竜王(ドラゴンロード)の中の誰かではないかと読者から予想されている。
候補としてはアンデッドの竜王であるキュアイーリム=ロスマルヴァー、同じくアンデッドの“吸血の竜王(ヴァンピリック・ドラゴンロード)”、巨大地下洞窟に引きこもっている“常闇の竜王(ディープダークネス・ドラゴンロード)”が挙げられている。
メンバー
- (名称不明)
廃墟となったインベリアの王城に住み着いていた。作中では既に死亡している。
- クネヴィラ
ナイトリッチ。廃都の屋敷の地下に拠点を持つ。
- バネジエリ・アンシャス
内陣メンバー。二つ名は“深淵”。最古参のナイトリッチ。6本の腕と2つの頭を持ち、第六位階の魔力系・その他系魔法を使える。
- グラズン・ロッカー
内陣メンバー。二つ名は“白の聖女”。二つ名の通り性別は女性だが、一人称は「ボク」。
誰よりも早く第八位階まで到達したナイトリッチで、幕間では九位階を目指している。研究者としても高い才能を持っているため、「アレ」から重用されている。なお、外伝では消息不明となっている。
- クルーヌイ・ログ・エンテシ・ナ
内陣メンバー。二つ名は“紅眼公”。元は人間種。
- 魔法剣士
魂喰らい(ソウル・イーター)に騎乗していたアンデッド。名称は不明。
- “死の乗り手”、“腐敗の王”、“賢狼”、“万軍の枯老”、“喰らう者”、“黄色の幽鬼”
作中では名前だけで、未登場となっている。