作品解説
1961年~1977年までにNET、九州朝日放送、毎日放送→朝日放送などで全801話放映された日本初の連続1時間ドラマ(それ以前は五社協定で45分以上のテレビドラマ制作は禁止されていた)。話にリアリティを持たせるために警視庁から実際に起きた事件の資料を提供してもらい、それをフィクション化するという手法が取られている(実際に、オープニングのクレジットには「協力:警視庁」と表記されている)。
毎回物語のメインは刑事ではなく、事件に関わった人物にスポットをあてた構成になっている。
捜査に当たる捜査隊のメンバーも変動制になっており、彼らが中心とした物語が描かれることはない。
また現代の放送コードの基準に引っかかるようなエピソードも数多く製作された。
明らかに何者かわからないような歌手や当時は全くの無名だった有名俳優が特別出演として扱われたり、オープニングでのレギュラーの紹介順序が滅茶苦茶だったりと他のドラマでは決して見られないケースも多い。
他の刑事ドラマでは犯人役ばかりだったりモブ役ばかりだったりするゲスト俳優が、善良な刑事役やメインどころの役を与えられたりして芸域の幅を広げさせていた側面もあるようで、作品全体がマイナー俳優の練習場やお試しの場になっていたと言っても過言ではない。
主なメンバー
- 立石主任(演:波島進)※メイン画像
立石班班長。番組開始から10年近くにわたり出演。昭和30年代の刑事らしくソフト帽をかぶりながら捜査に赴く紳士的な刑事。
番組降板後に準レギュラーとしての再登板案があったそうだが、波島が引退したため実現せず。
- 藤島主任(演:中山昭二)
藤島班班長。1964年から7年近くにわたり出演。キリヤマ隊長ばりの統率力でチームをまとめた。一時期「捜一係長」という肩書きになっていた。
- 三船主任(演:青木義朗)
三船班班長。1969年から登場。保安二課からの転属。立石・藤島とは全く異なり、キツイ言動が多く、年長の部下に対しても容赦ない。
高倉班班長。1971年から3年弱の出演。特捜隊配属前は西ドイツに留学していた。科学と理論に基づいた捜査を展開。時代劇スターの刑事ドラマ進出の先駆けとなった。
- 矢崎主任(演:亀石征一郎)
矢崎班班長。空手が得意。1974年から3年出演。
- 日高主任(演:葉山良二)
日高班班長。1976年から出演。西多摩署から本庁に配属。人情味あるたたき上げの刑事だが、初登場エピソードはインパクト大。
- 妹尾部長刑事(演:佐原広二)
立石班初代部長刑事。
- 橘部長刑事(演:南川直)
実直かつ堅物。初期の三船班にも居たが、主任との相性が良くなかったのかわずか2回に留まっている。
- 桃井刑事(演:轟謙二)
気さくな刑事。なぜか三船班には一度も所属していない。立石・藤島と共に降板後高倉班で数回出演。
- 内藤刑事(演:巽秀太郎)
初期は二枚目然としていたが、藤島班で再登場してからは容姿が変化。しかも出演末期では関西弁を捲し立てるようになる。
- 荒牧刑事(演:岩上瑛)
厳つい雰囲気の刑事。三船班では主任にどやされた部下をフォローしたりした。立石・藤島と共に降板後高倉班で数回出演。
- 岩井田刑事(演:滝川潤)
内藤と入れ替わるように立石班に参加。初期は丸坊主頭だったらしい。放送500回前後の人員整理後も三船・高倉班で活躍。
- 村上刑事(演:小嶋一郎)
内藤の中の人とは以前役を譲ってもらった間柄。藤島班初期のメンバー。
- 南川部長刑事(演:菅沼正)
藤島班メインに活動。
- 久保田刑事(演:亀石征一郎)
中の人は映画版で別の刑事役で出演。
- 笠原刑事(演:伊達正三郎)
作品に登場した全ての主任と共演した数少ないメンバー。激情型の一面があり、三船や高倉に対して反発していた。「宇宙鉄人キョーダイン」にレギュラーで出ていたため番組終了まで出演せず。
- 大村刑事(演:森山周一郎)
藤島班。中の人は本役降板後も役を変えながらゲスト出演を繰り返した。
- 森田刑事(演:北原隆)
二枚目然とした刑事。藤島班の所属だったが途中から立石班に移り、両主任降板後は三船、高倉班を行き来し最終的に高倉班専属に。
- 松山刑事(演:松原光二)
立石班6人目の男。1968年の正月回では一応主人公的な扱い。中の人が別のドラマにレギュラー出演することになった関係で一時降板、その後イレギュラーな形で復帰。
- 山崎刑事(演:高島英志郎→高島弘行→高島新太郎)
藤島班6人目の男。中の人は途中別の刑事役で1回出演、改名後に本役に復帰。出演末期では三船主任に散髪させられ、以来三船班にも所属するようになるが、大人員整理の対象となる。
- 関根部長刑事(演:伊沢一郎)
立石班が2班体制の時代にB班側で参入。特捜隊の刑事では一番の古株。藤島主任の復帰後は藤島班の主力メンバーとなり、やがて三船・高倉班でも活躍。三船班のレギュラーメンバーとして定着していったが、末期では日高班に異動した。
- 佐久間刑事(演:生井健夫)
立石班が2班体制の時代にB班側で参入。レギュラーとしての期間は短かったが、忘れた頃に三船班・高倉班のゲストメンバーとして再登場した。
- 香取刑事(演:綾川香)
立石班が2班体制の時代にB班側で参入。藤島主任の復帰後は藤島班の主力メンバーに。三船班にはイレギュラーで参加。
- 石原刑事(演:吉田豊明)
丸坊主頭の実直な若手格で、岩井田とコンビを組むことも多かった。三船班のレギュラーメンバーのひとりだが、後期では某人気刑事ドラマを意識したのか、長髪にラフな服装で時として三船主任から鉄拳制裁をくらうほど型破りな雰囲気の刑事に変貌した。
- 畑野刑事(演:宗方勝巳)
北海道出身。立石班の準レギュラー的な位置づけで参加。その後三船班のレギュラーメンバーとして定着した。高倉主任とは大学の先輩後輩の間柄。
- 山口刑事(演:山口暁)
佐賀での出張捜査では私情に走ったため三船主任から自分だけ東京への強制帰還を命ぜられた。
大人員整理の対象となる。
- 水木刑事(演:水木襄)
インテリ然とした刑事。中の人が「緊急指令10-4・10-10」→「魔人ハンターミツルギ」と立て続けに出演のため一時降板。復帰後は三船班のレギュラーメンバーとして定着。末期では中の人の新曲をひっさげたギター流しに扮するエピソードがあったが、この話の後に降板。
- 荒木部長刑事(演:細川俊夫→金井大)
細川版は1回きりの出演で、それ以降は金井版に統一されているが、同一人物か否かは不明。
- 白石刑事(演:白石鈴雄)
- 村井刑事(演:北村晃一)
- 鷲見刑事(演:柴田昌宏)
途中からメガネをかけるようになる。
- 松木部長刑事(演:早川雄三)
荒木に代わる部長刑事ポジション。高倉班の専属だが三船班にも参加するようになり、高倉主任の降板後は三船班のレギュラーメンバーとして定着。
- 浜田刑事(演:矢吹渡)
- 椿刑事(演:山口嘉三)
- 片桐刑事(演:笠達也)
岩井田の後任の高倉班専属だったが、高倉班の降板からしばらくして日高班の専属で再登場。
- 倉岡刑事(演:倉岡伸太朗)
- 日高刑事(演:日高吾郎)
森田の後任の高倉班専属。
三船班には畑野刑事の代役として参加。日高班では笠原、片桐の後釜ポジションで参加。
- 桂刑事(演:佐竹一男)
- 岩下刑事(演:岩下健)
- 保田刑事(演:船水進→船水俊宏)
- 神谷刑事(演:山口暁→山口あきら)
岩下の後任。山口刑事と同一人物か否かは不明。
- 岩本刑事(演:荻原信二→荻原伸二)
保田の後任。
- 田代刑事(演:日高晤郎)
日高刑事と同一人物か否かは不明。
- 木塚刑事(演:藤山律子)※下画像
もともと所轄の婦警として準レギュラー的な形で出演していた。
- 戸川刑事(演:一の瀬玲奈)
関根の後釜として配属された三船班の紅一点。
- 御木本刑事(演:森哲夫)
日高班の若手格。
- 佐田刑事(演:立花直樹)
水木の後釜として配属された三船班の若手格。
その他のレギュラー
- 金子捜一主任(演:神田隆)
- 西本捜一係長(演:鈴木志郎)
- 田中係長(演:山田禅二)
- 仲原鑑察医(演:仲原新二)
- 科研員(演:北峰有二)
- 上田鑑識課員(演:上田侑嗣)
- 新田鑑識課員(演:新田五郎)
- 水野鑑識課員(演:田川勝雄)
- 西田鑑識課員(演:西郷隆)
- 佐藤事務員(演:佐藤敏子)
- 森事務員(演:森るみ子)
- 高田事務員(演:田中正吾)
- 村上記者(演:村上不二夫)
逸話
- 1~2回しか出ていない刑事もおり、その中には科学要塞研究所所長の声の人や地球防衛軍参謀や太陽電池で動く人造人間や根性ロボットの居候先の主や警視庁未確認生命体関連事件合同捜査本部の本部長などがいた。
- 当時の警視総監がこの作品の大ファンで、当時捜査一課にあった「初動捜査班」を機動捜査隊として刑事部直轄の部隊とした。
- 因みに放送回数801話は国内連続1時間刑事ドラマとしては最長記録で、2023年現在でも破られていない(因みに刑事ドラマの金字塔とされる太陽にほえろ!は718話)
- それほどまでの長寿ドラマでありながら、前期のレギュラーメンバーは後期では全く出てこなくなるという現象がある。第1回出演のメンバーも立石主任、橘部長刑事、内藤刑事は500話前に降板、桃井刑事も13年目で降板した。
関連作品
七人の刑事 同年にTBSで始まった刑事ドラマ。
関連イラスト
特別機動捜査隊に関するイラストを紹介してください。