目が冴える蛇
めがさえるへび
以下、「メカクシティレコーズ初回盤ブックレット」及び、
「カゲロウデイズⅣ-the_missing_children-」のネタバレあり
『 ようこそ。 ようこそ、我が主よ。 』
『 どんな主、どんな願いだとしても それを叶えるための私なのですから、どうぞご安心を。 』
『 では、また次のよき夢でお会いしましょう。 』
自身が不死である為に寿命の違いからくるツキヒコとの別れに恐怖していたアザミに、「終わらない世界」であるカゲロウデイズを創り出すよう提言した張本人。
小説4巻においては、ツキヒコと恋に落ち娘であるシオンを授かり幸せに暮らす中、頭でどれだけ納得しようとしてもぬぐい切れないツキヒコとの死別の不安に泣き疲れたアザミに『夢』という形で初めて現れて干渉した。
具体的にどういった能力であるかは上述の通り不明だが、アザミが能力について記した日記を読んだキドとシンタローによれば、他の能力の蛇とはあまりに異質で、そもそも能力と呼べるものかどうかさえ疑問と取られていた。
アザミ本人ですらコレを『能力』とは認識していなかったらしい。
上述の夢に関しても、「目が覚める」蛇の能力も持っていたアザミには睡眠を必要とせず眠気自体感じないはずの為、この時の“夢を見る”という事自体この蛇による何かしらの影響だったのではないかという推測もある。
カゲロウデイズが創造され、8月15日に死んだ者たちが能力を得て現実世界に戻っていくのを見届けていた中、妻と共に土砂崩れに巻き込まれて死亡したケンジロウに取り付いたと思われる。
ブックレットではアザミにカゲロウデイズ創造を助言した事自体がこの蛇の「謀略」と書かれており、カゲロウデイズに関わる全ての根本的な元凶であると考えられている。
この事に気付いているアヤノと、彼女から事情を知らされていたエネからも、カゲロウデイズを攻略するにあたり絶対に倒さなければならない存在として認識されている。
つまりこのカゲロウプロジェクトの黒幕である可能性が高い。
以下、更にカゲロウデイズⅤ-the_deceiving-のネタバレあり
「……はぁ、まさかこんなことになるとはなぁ。つくづく、こいつらには呆れてものも言えん」
「……とはいえ、あいつのおかげで計画は失敗だなぁ。こっちに全ての蛇を集められなくなった以上、こいつの嫁を連れ戻すことは出来ん、一体どうしたものか……。」
「アホか。失敗したならやり直せばいいんだよ。最初から。」
実はケンジロウ自身が『目が冴える蛇』本人とも呼べる存在になっている。
その本質はかつてアザミに語ったように「どんな願いでも叶える」というもので、アヤカがカゲロウデイズに閉じ込められた時、ケンジロウが「アヤカにもう一度会いたい」と願ったことが悲劇の始まりだった。
冴える蛇はケンジロウの身体を完全に乗っ取り、ケンジロウの願いを成就させるために暗躍し始める。ケンジロウとして数々の悪事に手を染め、巨額の資金を得て街のあらゆる組織や公共機関を自分の支配下に置いていた。
カゲロウデイズにいるアヤカを会わせるためには、10の蛇を現実世界に出して『目を合体させる能力』を持つ女王(マリー)に取り込ませ、完全なメデューサを作りだす必要があった。貴音と遥の実験も、二人に残りの蛇を宿させて現実世界に出すのが目的だった。
蛇によって生かされている能力者は、蛇を抜かれると死んでしまう運命にあった。その事実を知ったケンジロウの娘アヤノは、自殺することでカゲロウデイズに接触し『目をかける蛇』を宿したままカゲロウデイズに留まった。これにより『目をかける蛇』だけが現実世界に出せなくなり、『目が冴える蛇』の計画は失敗に終わった。
しかしこれで諦めるだろうと思っていたアヤノの思惑から外れ、冴える蛇は上記のように「最初からやり直せばいい」と語り……。
二重人格のような状態であり、普段はケンジロウの人格が表に出ているが、既に「目が冴える蛇」が殆ど主導権を握っている。
口調もかつてアザミと会話していた時と変わっており、カノと「ケンジロウ」ではなく「目が冴える蛇」として会話した時も口調はケンジロウのままであった。一人称は「俺」。
アザミにカゲロウデイズを作るよう誘導し、ケンジロウに能力を集めさせようとしてる彼だが、そこから一体何をしようとしてるのか。真の目的は不明のままである。
「てめぇらは俺の手の平の上で生きてんだ。忘れんなよ? 糞ガキ」
「 まさか、彼女らを此処に引きずり込むとは……貴女も人が悪い 」
「 いやいや黙りませんともぉ……利己的で安直な欲望に従い、この世界を創ったのは貴女ではありませんか! 」
「 素晴らしい、実に愚かだッ! そう…そう、そうでなくては!!そのエゴこそ、私たちにとって何よりもの喜びなのだから!! 」
CV:宮野真守
アニメ版であるメカクシティアクターズにおいて劇中幾度かその存在を示す描写がされてきたが、第10話にてついに直接登場。
8月15日に起ったマリーの襲撃事件によって死亡したシオンとマリーを自身のカゲロウデイズに引き込んだアザミの前に、心臓のような赤い岩に巻き付いた一匹の黒い蛇として現れる。
口調こそ小説4巻での丁寧な敬語だったものの、あからさまにアザミを見下し、嘲笑するかのような言葉を矢継ぎ早に投げかけるなど、悪意を一切隠さない慇懃無礼な態度を終始とっていた。
アニメ11話にて、願いを叶える能力だという事が示唆される。蛇は誰かの願いによって存在する事ができ、自己の存続の為であれば、人の心・命・理想をいっさい考慮せず、手段も選ばず願いを叶えようとする。
また、ケンジロウに宿った当初は夜ケンジロウが眠った時のみ「目が冴える蛇」の人格が出ていたが、時間が経つにつれて眠るような時間でなくても蛇の人格が表に出ており、本性を露わにした状態でアヤノやカノと対峙していた。
以下アニメ12話ネタバレ
楽曲「アウターサイエンス」は、メカクシ団はおろかアザミさえも見下し嘲笑する歌詞の内容からこの蛇の視点による話ではないかと推測され、楽曲の中心人物として描かれている「黒コノハ」の正体こそがこの蛇ではないかと最近は仮定されていた。
その推測通り、黒コノハの正体はケンジロウの身体から離れ、コノハの身体を乗っ取った「目が冴える蛇」の人間体であった。
目的は自分の存在を維持し続ける事。願いがなければ自我を存在させる事ができないが、願いを叶えるという存在意義も無視できず、彼は「ケンジロウのアヤカに会いたいという願いを叶える」範囲でしか行動できなかった。そのためアヤノを自殺を図らせ「目をかける蛇」をカゲロウデイズに閉じ込め、ケンジロウの願いを叶わないものにさせて、それでも願いを成就させるという名目でマリーに「最初からやり直し」を実行させるように誘導していた。こうして終わらない悲劇を繰り返し、ケンジロウの願いを永遠に叶えられないようにすることで、自分の存在を維持してきた。
アニメ12話でも自我が消えかけていたコノハの身体を乗っ取り、その優れた身体能力でメカクシ団を追い詰め、マリーに7つの蛇を使わせて再びループを引き起こそうとした。しかし幾多の悲劇の記憶を受け継いだ「目に焼き付ける能力」を持つシンタローと、彼にカゲロウデイズから連れ戻されたアヤノによって10の蛇全てが揃い、アヤノの「目をかける能力」でシンタローの記憶と情報を引き継いだマリーが蛇たちを完全に制御し、カゲロウデイズを開けることに成功。その結果ケンジロウがカゲロウデイズにいたアヤカに再会する事ができ、ケンジロウの願いは成就されて彼はカゲロウデイズに留まり、「目が冴える蛇」は完全にケンジロウから引き離された。
そしてコノハに宿っていた事が災いし、新たな宿主であるコノハの願い「ヒヨリを助ける」という願いを成就させる事になり、自由の効かない命代わりになることへの絶望を抱きながら、ヒヨリの命として彼女に宿るという末路で完全消滅した。
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