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第8回香港ヴァーズ

らすとらんをみごとにかざったすていごーるど

2001年に香港の沙田競馬場で開催された香港国際競走の一つ。競走馬ステイゴールドのラストランにして最初で最後のGⅠ制覇となった。
目次 [非表示]

「ステイゴールド!差し切れ!!」_ラジオ日本・加藤雄介アナウンサー


「あの時のステイゴールドは『背中に羽が生えている』ようでした」_武豊騎手


データ編集

開催日2001年(平成13年)12月16日
開催地香港沙田競馬場
コース2,400m
馬場

概要編集

日本からの出走はステイゴールドのみ。

複数のGⅠ馬が出走していたが、ドバイシーマクラシックでの勝利を受けてかステイゴールドがGⅠで初の一番人気、前年度覇者ダリアプールが二番人気、三番人気にジンダバド、そして四番人気にエクラールという状況であった。


試合は、ドバイシーマクラシックにてステイゴールドに敗れたファンタスティックライトの鞍上ランフランコ・デットーリと、ファンタスティックライトと同じゴドルフィンに所属する馬エクラールが3コーナーから先頭を走り、それをステイゴールドと武豊が追走。

それでも残り300mで5馬身差突き放しステイ鞍上の武騎手すら半ば諦めるような展開となったが、残り200mほどでステイゴールドが突然(いつもとは逆に)右方向へ斜行。あわや内ラチにぶつかるかというところで落蹄と同時に急加速し見事に差し切り勝ち、引退の花道を飾った。


その凄まじさたるや、序盤冷静だった実況の加藤アナは最後にはただ応援するだけとなり、2ちゃんねるの競馬版はサーバーが落ちたほど。

英語版実況でも「Stay Gold's lifting! Ekraar is stopping!(ステイゴールドが飛んで来る!エクラールは止まっている!)」と興奮しながら言葉を紡いでいた。


武豊はのちに、この時のステイゴールドの走りをこう述べている。

「前を走るエクラールが止まって見えるほど、ステイゴールドの脚が強烈で。この後に登場してきた無敗の三冠馬ディープインパクトの走りを『飛ぶ』と表現しましたが、あのときのステイゴールドは『背中に羽が生えている』ようでした」


他の関係者も「これほど見事な幕切れは他にない」「絵に描いたような大団円だ」などとコメント。

ステイゴールドに2度敗れたデットーリ騎手は、「ステイゴールドと僕は相性が悪いみたいだ」「彼が引退して豊は寂しいだろうけど、僕にとっては朗報だ」と語った。


これによりステイゴールドは念願のGⅠ制覇。

そして日本競馬全体で見ても「日本調教馬による海外の国際GⅠ初制覇」、「日本産・日本調教馬による初の海外GⅠ制覇」を達成したこととなった。


出走馬編集

枠番馬番馬名香港表記騎手人気所属国
17オリエンタルエクスプレス奔騰F・コーツィー12香港
211ホワイトハート三人樂隊G・スティーヴンス5アメリカ
38レインボーアンドゴールド神彩金剛G・モッセ6香港
410サーベイジェネラル関心名駒E・セント=マーチン14香港
54ヘレンヴァイタリティ喜蓮精神B・マーカス9香港
612ジンダバド萬歳K・ダーレー3イギリス
75インディジェナス原住民D・ホワイト7香港
82ダリアプール大利多J・ムルタ2イギリス
91カイタノ西單路O・ペリエ8ドイツ
1014ファウンデーションスピリット基金精神T・テュリエ9フランス
116リディガド李達A・マーカス11フランス
123エクラール藝高強L・デットーリ4UAE
1313タピルド特別多E・ウェルキンソン13シンガポール
149ステイゴールド黄金旅程武豊1日本


レース展開編集

ラジオ日本版

実況:加藤裕介


さあどうでしょうか。

外の方から出てきました、六番のリディガドです。香港の馬

リディガドが出てまいりまして、ポールまで200m付近です

その直後に2番のダリアプール 更に外からドバイからの参戦エクラールです これは2番手集団

最内からオリエンタルエクスプレスです 差のない態勢で11番のホワイトハート

このグループに12番のジンダバドも加わりました

あとは後方ですがファウンデーションスピリット その内にいるのはヘレンバイタリティです

1コーナーカーブを切っていきます右回り


その直後にインディジェナスが付けている インディジェナスから先頭まで10馬身くらいです

その後ろにいましたステイゴールド ステイゴールドは後ろから5,6手目を追走しています武豊

先頭までは12,3馬身という位置です その内にレインボーアンドゴールド香港

あとは1馬身から2馬身切れまして、後方三頭です

内の方から上がっていくのは4番のヘレンバイタリティです これが後ろから3頭目を追走しています

その外に1番カイタノドイツ、ペリエが乗っています

向こう正面、2コーナー 向いて直線コースにつきました

そして現在最後方にいるのが、これが13番のタピルド シンガポールの馬です

前から後ろまでちょっと詰まりました 中団固まる展開で 13,4馬身です

向こう正面中ほどに差し掛かるというところ

さあステイゴールドは中団よりもやや後ろ 前から数えて十番手ぐらいの位置につけています

今先頭までは10馬身くらいの位置まで詰めていきます


さあ、前の争いですが 逃げているのが6番のリディガド香港

今3コーナーに差し掛かりました リディガド先頭

外の、外の方から上がってエクラールが、今単独で2番手から先頭をうかがう!

エクラールが一気に上がってエクラール、先頭に入れ替わる!

先頭エクラール1馬身のリード!リディガド2番手に下がりました

あとは最内の方でインディジェナスも上がっている

インディジェナス今度は2番手の位置に上がっている!リディガドは3番手に下がった

ダリアプール、さらにはファウンデーションスピリットという態勢です

さあ日本のステイゴールドはまだ中団 まだ中団

いま武豊は中団。先頭までは……今、10馬身くらいの位置につけています

ステイゴールドは外を回っている 今5番手から4番手の位置に上がってきた!


先頭はエクラールドバイ!エクラール先頭3馬身のリード!

さあステイゴールドが外から上がってきた!3番手から2番手!

その内リディガド、ダリアプールにファウンデーションスピリット等の態勢だ!

さあ一気にステイゴールドが2番手まで上がってきた!

残り300m!しかし前までは5馬身ある!!

先頭はエクラールドバイ!200を切った!

さあステイ頑張れ!ステイゴールド追ってくる!ステイゴールド追ってくる!

単独で2番手だが!前まではまだ3馬身ある!

ステイゴールド!ステイゴールド追ってくる!

ステイゴールド!差し切れ!!

ステイゴールド!ステイゴールド!エクラール!

ステイゴールド!ステイゴールド!ステイゴールド!

ステイゴールドォォォォォ!!!差し切ったぁぁぁぁぁ!!!


ラストランを見事に飾ったステイゴールド!最終戦でGⅠ取ったか!?



大きな歓声~! 早め先頭逃げまくるエクラールをゴール前きっちりと、武豊が捉えました!

しかし態勢は微妙!


ゴールまで残り200mで3馬身から4馬身のリードを許していたステイゴールド、今、ビジョンに映し出されていますが、ステイゴールドがきっちりと捉えています!

見事なステイゴールドラストラン!引退花道、勝利で飾った!GⅠ制覇!!

レース結果編集

着順枠番馬番馬名人気着差
1149ステイゴールド12:27.8
2123エクラール4アタマ
375インディジェナス76 3/4
41014ファウンデーションスピリット91 1/4
554ヘレンヴァイタリティ9アタマ

余談編集

日本勢大暴れ編集

この年の香港国際競走は香港スプリントこそ敗れたものの、香港マイルエイシンプレストン香港カップアグネスデジタルが勝利し、日本勢大暴れとなった。ちなみにデジタルの調教師である白井寿昭氏は、「デジタルが一番強い勝ち方をしたのにステイゴールドのドラマ性とエイシンプレストンの派手な勝ち方でそれが霞んだ!」と憤慨していたそう。(香港スプリントは残念ながら、出走したダイタクヤマトメジロダーリング両馬とも惨敗している)


「引退レースでG1初勝利」編集

上記の通りステイゴールドはこのレースが引退レースにして初めてのG1制覇となったが、他に引退レース(この場合「予め引退を表明して臨んだレース」を指す)でG1制覇(八大競走時代を含む)を果たした日本馬はシンコウラブリイ1頭しかいない。

そもそも引退レースでG1を勝利した馬自体が少ない上に、引退は大抵の場合「もう十分力を見せつけたのでさっさと繁殖に入る」(ディープインパクトなど)か「そろそろ勝てなくなってきたので退く」(オグリキャップなど)の二通りであり、前者は繁殖入りのために実力を示す、つまりG1制覇をすでに果たしており、逆に後者は既に衰えてG1を勝つことが期待できない状況にあることが大抵である。シンコウラブリイの場合は牝馬ゆえ繁殖入りのハードルの低く、GⅡを複数勝利して既に実績十分だったのでまだ若い4歳で引退を選べたところが大きい(90年代前半の短距離路線が魔境として名高い面もあるかもしれない)。ステイゴールドのように高齢になるまで勝利に恵まれなかった馬が最後の最後で一花咲かせるのはやはりレアケースなのである(近いところだと8歳の引退前最後の2レースでG1初制覇と連勝を成し遂げだカンパニーだろうか)。



最古の動画編集

ニコニコ動画の「競馬」タグのついた最古の動画はこのレースのもの。

ちなみに、現状pixivにある「香港ヴァーズ」のタグが付いた作品は全て同レースに関するものである。


対戦相手のその後編集

2着に敗れたエクラールはこののちGⅠに何度も出走しつつも勝ちきれず、ラストランのGⅠジョッキークラブ大賞で有終の美を飾るというステイゴールドをなぞったような競走生活を送ることになった。


関連項目編集

香港ヴァーズ 競馬 香港国際競走

ステイゴールド 黄金旅程


サトノクラウン

2016年、ステイゴールドから15年振りに日本馬として香港ヴァーズを勝利した。

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