概要
少年画報社発刊の月刊漫画雑誌『ヤングコミック』で連載されていたグルメ漫画。全4巻。
キャッチコピーは「愛より職より肉愛でる者…其れ即ち『肉女(にくじょ)』と呼ぶ」。
構成
とあるデザイン事務所に務めるOLにスポットを当て、それぞれ人生の葛藤を抱えつつも「肉が大好き」という素直な感情に従い、その時々の心境を胸に秘めて肉料理を口に運ぶ姿を描く。
ごく日常的な食事風景とそれに対する素朴な感情の機微を押し出す点は『孤独のグルメ』に連なる作風ではあるが、エピソードに登場する料理の主役は作品のテーマである「肉女」が示す通り肉料理、または肉入り料理に限定され、食事中の表情が極めて官能的に描かれる特徴を持つ。
また、姓名が明確な登場人物に限っては名字の一字に動物を表す漢字が含まれる共通点を持つ。
登場人物
主要人物
- 狼谷花子(かみや はなこ)
仕事に対してきっちりしていないと気が済まない性分の上、地味で感情表現が乏しく目付きの鋭い三白眼のために愛想にも色気にも欠ける。
結婚式まで3週間を控えたある日、婚約者から唐突に「肉ばかり食べるから」「食べ方が汚いから」と半ば理不尽な理由を突き付けられて破談となる。その後しばらくは肉食を遠ざけていたが、仕事の都合で担当上司の鷹木と立ち寄ったファミレスでとうとうハンバーグの誘惑に負けたものの、「好きなものを食べる快感」を再認識して以降は肉食を解禁する。
- 犬塚まりあ(いぬづか まりあ)
事務所の受付嬢。24歳。
表向きは麗しい笑顔を絶やさない事務所屈指の美人だが、その本性は平気でゴミを溜め込むほどのガサツで下衆な隠れオタク女子。
「仕事場で陰口を叩くのは当人に悪口を聞いてくれと言っているに等しい馬鹿げた行為」という持論があり、帰宅後に心の中でその日の不満を呟きながらほくそ笑んではオンラインゲームやアニメ鑑賞に耽るのが日課。湧き上がる食欲に極めて忠実であるため、時には深夜であろうと平然と重い肉料理を頬張って幸せを噛み締める。
- 熊代奈津美(くましろ なつみ)
事務所企画部主任。30歳。
日常でこそ婚期の遅れや独身の寂しさ、体型管理など年頃の悩みに追い回される反面、仕事に対しては段取りの良さを求める非常に厳しいキャリアウーマン。
仕事にかまけてカロリーバーやコンビニ弁当など、いわゆる「冷たい食事」を摂りがちな食生活を送り、体型と体力維持を目的とした週末の水泳以外はこれと言った目標も無く漫然と忙殺の日々を過ごす。30歳の誕生日に立ち寄った食堂の唐揚げ定食の温かさに触れて思う所があり、営業部の差し入れでもらった餃子の一件を機に時間を見つけては狼谷と犬塚を誘って3人で会食を楽しむようになった。
その他
- 鷹木誠(たかぎ まこと)
事務所企画部正社員。24歳。
熊代をして「仕事は出来る子」と認められている一方、「軽い所が残念」とも評されるマイペース第一のチャラ男。
数年前から何らかの理由でインポテンツを患っているものの、セックスレスを前提に女性が多い職場にあって同年代の男性社員と共に女性社員の品定め、まりあへの熱烈なナンパを楽しんでいる。ある日、仕事の都合で渋々ながら反りの合わない狼谷と残業を終えた帰り道、何気無く立ち寄ったファミレスで直面した悩殺的な食いっぷりに図らずも痛みにうろたえるほど勃起する珍事(本人曰く「久し振りの完勃ち」)に陥り、以後も感情を曝け出す狼谷の食いっぷりに遭遇する度に意思とは裏腹に満々と膨れ上がる己の股間の反応に「自分はアブノーマルなのか?」と苦悶する日々を送る。
- 犬塚学(いぬづか まなぶ)
まりあの弟。16歳。
まりあとは対照的に、細かい所まで気配りが行き届く高校2年生。
まりあのズボラ癖を知り抜く母親に頼まれ、折を見ては自家製の手料理を持参する。少なからず料理の心得があり、まりあの頼みを断りきれないシスコンの傾向があるためか、ついついあれこれと出される注文に応えてしまう。