語意
現代では主に対等以下の相手に対して用いられる二人称で、それも「お前」や「あんた」と違い親しみを込められることはなく、敵対的な相手に発せられる罵倒語の意味合いが強い。
語義の変遷
元々は文字通り、目上の人に対する敬称である(「貴方」や「貴公」・「貴殿」と同様に「貴」の文字が付くことからも分かる。「お前」なども同様の意味変化をしている)。
のちに武士たちの間で同輩への親しみを込めた表現として用いられるようになるが、江戸時代後期には既に罵倒語として使われるようになっていたようである。
大日本帝国海軍の軍人は、同期同士は「貴様、俺」と呼び合うよう指導されたといい(陸軍は「お前」も可だが、「君、僕」は「地方人」めいた言い方だから絶対ダメ)、軍歌『同期の桜』の歌詞「貴様と俺とは同期の桜」はこの意味である。
軍隊用語としての「貴様」が廃れた現代では、蔑称としてしか受け止められない。しかし、日本語に不慣れな中国人は文字面から敬称と誤解して使ってしまうことがあるという。
余談
ゲーム『アクトレイザー』では、プレイ開始時に決めた主人公の名前にガイドキャラが敬称をつけて呼んでくれるのだが、この時に『き』とつけると『きさま』と呼ばれてしまう。リメイク版では漢字対応になっており、別の意味でグレードアップ。