超人学園ゴウカイザー
ちょうじんがくえんごうかいざー
『餓狼伝説』のアニメ版『バトルファイターズ餓狼伝説』を手がけたアニメーターの大張正己がキャラクターデザインを担当した事で大きな話題を呼び、アーケード専門誌『ゲーメスト』やメディアワークスの『電撃ネオジオ』といった雑誌では大きく扱われ、コミックゲーメストでは漫画版も展開されるなどメディアミックス的な展開も模索された。
しかしテクノスジャパンがそういった手法には長けてないというところもあってか、効果的な相互作用を及ぼさないままアーケード版及びネオジオ・ネオジオCDでの展開を終えた。
テクノスジャパンの倒産後、ゲーム版に必ずしも納得がいっていなかったという大張の意を汲む形でアニメ化が決定。テクノスジャパンから版権を引き継いだアーバンプラントがゲームのプレイステーションへの移植を決めた事もあり、「プロジェクトG」なるメディアミックス展開が行われる事となった。
アニメ版のタイトルは『超人学園ゴウカイザー THE VOLTAGE FIGHTERS』。広告代理店にはアニラジ番組に強いビックウエストが決まり、アニメに先行して、ヒロイン役を演じる櫻井智がパーソナリティーを務めるアニラジ番組でラジオドラマも発表された。アニメーション制作はJ.C.STAFFが担当。タキコーポレーションからビデオ/VHSで全3巻がリリースされ、先述のラジオドラマを収録したCDやアニメ版のサウンドトラックはエアーズからの発売となった。また徳間書店の『少年キャプテン』では村正帝によるアニメ版をベースとしたコミック版も連載された。
アニメ版は大張が当時率いていたスタジオG-1を中心に、大張の人脈が最大限に活かされた作画陣が集結。キャラクターデザインもアニメ用に改めて見直され、結果ゲームとは一味異なるイメージとなったキャラクターも多い。
脚本は、ゲームのデザインを手がけ大張と共に『ゴウカイザー』の世界観を構築した浅井健吾が担当した。浅井は、この直後に当時大張の妻だった石田敦子と組んでゲーム『マネーアイドルエクスチェンジャー』を発表。こちらも小説(ライトノベル)やドラマCD、コミック化が実現している。また大張と浅井は、後に『銀装騎攻オーディアン』でもタッグを組んだ。
アニメ版を中心としたメディアミックス展開は、大張の人気が非常に高い時期だった事やアニラジ番組でのサウンドドラマ放送からOVAのリリースに繋がる形が取られた事からまずまずの結果を残し、後にアニメは海外でもソフト化された。但しプレイステーション版の発売はアニメの最終巻発売から半年後となるなど、ゲームとの連動はまたも効果を及ぼさずに終わっている。
登場キャラクター
- ゴウカイザー(凱座勇人) 声:檜山修之
- 斉天大聖かりん(孫華鈴) 声:櫻井智
- ヘルスティンガー(カッシュ・ギュースタン) 声:緑川光
- キャプテン・アトランティス(ランディ・リッグス) 声:石川英郎 (OVA版声:石川大介)
- 不動丸(不動鸞峰) 声:置鮎龍太郎 (OVA版声:堀秀行)
- 菱崎シャイア(シャイア・シュー・シルヴィアーヌ) 声:冬馬由美
- ボールボーイ 声:幸野善之
- マリオン 声:幸野善之
- 紫紅京介 声:置鮎龍太郎
- バトルマスター神龍(凱座轟一郎) 声:屋良有作
- ブライダー(立花一輝) 声:大張正己 (OVA版声:石川英郎)
- プラトニックツインズ(朝比奈亮、朝比奈鈴) 声:大張正己 OVA版声:石川英郎(亮)、永島由子(鈴)
- 絶対神王牙(王崎冰) 声:速水奨
- ネクロカイザー(エルフィ・エルフマン) 声:桑島法子 ※ドラマCD及びDVD『インターナショナルバージョン』のみ登場。
- オムニイグジスト 声:折笠愛
トレース技
本作は、倒した相手から特定の必殺技を一つ伝授して貰える『トレースシステム』なる、格ゲーの中でもかなり珍しいシステムを採用している。
好きな必殺技があったら迷わずトレースしてみるのも良いだろう。
- トリックスターキック(ゴウカイザー)
残像を残しながら相手の反対側に飛び込み、キックをお見舞いする。
- ボルテージクラック(ヘルスティンガー)
青白い炎のバリヤーを張る。
- 炎舞筒(不動丸)
炎の筒を投げる。
- スリーウェイビーマー(シャイア)
ボールボーイにビームを三方向に撃って貰う。
- キャプテンスマッシャー(キャプテンアトランティス)
垂直に飛びながら相手に攻撃をする。
- 百歩神撃(バトルマスター神龍)
気弾を放ち、ヒットした相手をロックして念力で持ち上げ、地面に叩きつける。
- アンブッシュリフター(マリオン)
斜め上に回転しながらジャンプ攻撃をする。
- ダブルブライダーキック(ブライダー)
ブライダー2号を召喚し、飛び蹴りをかますが、全体的にモーションを読まれやすく、最後の決めポーズが災いする等、隙が甚大。はっきり言って縛りプレイ以外、使いどころはない死に技。
- 影走り(紫紅京介)
足元に闇のオーラを発生させ、相手を燃やす。
- 化身転髪(孫華鈴)
チビ分身を出す。
- グラビトンサンダー(プラトニックツインズ)
稲妻を発生させる。
「倒した相手の必殺技を貰って自分の物にする」というシステムを初めて採用した格闘ゲームは、実は本作ではない。
本作よりも一年前、アメリカのアーケードで稼働していた2D格闘ゲームブラッドストームが既に採用していた。
因みにブラッドストームは、相手の首や腕等がポンポンぶっ飛ぶ、いわばグロゲーであるが、倒した相手の必殺技や能力を自分の物にする事ができ、パスワードによる保存もできた。
また、1994年当時、東京の御茶ノ水にあったゲームセンター「コナン」(テクモ系列店)ではブラッドストームのロケテストが行われていた他、積極的に海外のアーケードゲームを取り入れていた日本のゲームセンターでも稼働していた。
その為、ゴウカイザーのトレースシステムに関しては、ブラッドストームを知るゲーマーから苦笑いされていたとかいなかったとか。