概要
てんとう虫コミックス41巻及び、藤子・F・不二雄大全集16巻に収録「左、直、右、右、左...」に登場。
困っていることをこの道具に言うと、「右」「左」「直」などと印刷された紙テープが出力され、その通りに歩くと(「直」は直進の意)、困っていることの解決する場所へたどり着くことができる。
ストーリー
野球の試合中に大ホームランが打たれ、のび太は今のは自分のせいじゃないと大喜びしたが、ピッチャーをしていたジャイアンはかなり機嫌が悪くなっていて、試合の結果も惨敗。チラノルズのキャプテン寺野は「たっぷり打たせてくれてありがとう」と礼を言って帰った。帰宅したのび太はこのことをドラえもんに話し、毎日3時間の自主トレーニングを命じられたことも話し、これじゃしずかと遊んだり昼寝をしたりすることもできないと訴え、助けを求めた。
するとドラえもんは「進路アドバイザー」を出してくれ、これに今ののび太の進むべき道を聞いたところ、「右、直、左、右...」と書かれた紙が出て来た。これが示す通り家を出てから曲がり角を直進し、次を左に曲がったところ、トンカツを咥えたネコが走って来た。更にこのトンカツを取り戻すためこれを追いかけてきた少年も現れ、石を投げつけトンカツを取り戻したものの地面に落ちてしまった。
だが少年には、木についた葉っぱを打ち落とすほどの優れたコントロール力があったため、ドラえもんとのび太はジャイアンにこの少年をピッチャーとしてスカウトすることを持ちかけた。しかし本人はジャイアンズのピッチャーの座を譲るつもりはなく、「ジャイアンズのエースは俺だ!!」と怒鳴られ引き返すしかなかった。
諦めて自主トレーニングするしかないかと思われたが、その時ジャイアンが来ているとママが知らせにやって来た。ジャイアンは先ほど怒鳴ったことを謝り、話を聞いてみると、ジャイアンは最近の自分にはエースの資格がないので、辛いがチームのためにマウンドを降りることを言い出し、ぜひその名投手をスカウトしてくれと言ったため、2人もこれに感動してその頼みを引き受けた。
だがその少年がどこのだれか分からなかったため、またこの道具を使ってみると「左、直、直、直、右、左...」と出て来た。するとチラノルズのキャプテン寺野とすれ違った後、一軒家に到着し、家を覗いていると少年が出て来たため話を切り出したが、既にチラノルズにスカウトされた後で、更に契約金代わりに面白い漫画を3冊ももらっていた。
その後ジャイアンとスネ夫からその少年の腕前を見たいと言われ、既にチラノルズにスカウトされていたことを説明すると、のび太はこれ以上チラノルズが強くなったらどうするのか文句を言われたが、ジャイアンがスネ夫の漫画を5冊少年に渡すことを提案。だが少年は漫画を楽しんだもののすぐには答えは出さず、チラノルズからお菓子ももらっていたため、のび太は自分とドラえもんの今日のおやつだったメロンも差し出すことに。
しかし今度は、自分は頭が悪いので宿題が夕方までかかりゲームに出られないかもと言い出したので、出木杉に宿題を見てもらってと頼みに行くこととなった。これに困ってしまう出木杉だったが、そこの通りかかったしずかがそんなの断ればいいと言い出し、一方少年はのび太が来た頃には寺野の兄に宿題をやってもらうことになっていた。これにしずかは「そんなのずるい」と意見するも、少年にかわいいねと言われ、彼は挙句の果てには、しずかが自分の友達になるならジャイアンズに入るとまで言い出した。
これにはさすがにのび太も堪忍袋の緒が切れ、こっちからお断りだとしずかを連れて帰って行った。少年は「後で後悔するなよ」と憎まれ口をたたいていたが、のび太は既にジャイアンに怒られる覚悟ができていて怒って興奮しながら先を進んだ。その後、途中で興奮が冷めてしまいおじけづいたが、やって来たジャイアンがさっきの話はなかったことにしてくれと言って来て、「どう考えてもエースの座を譲るなんて嫌だ!!マウンドは俺の生きがいなんだ!!」と泣きながら言い出した。
そして数日後、実は少年は2〜3日親戚へ遊びに来ていただけで、寺野の方も少年にからかわれていたため怒っており、本人から話を聞いたジャイアンとスネ夫は腹を抑えながら大笑いしていた。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1990年6月8日に、水田版2020年7月18日にそれぞれ放送している。
1990年版
- サブタイトルが「進路アドバイザー」に変更
- のび太達が野球を行っていたのは河川敷のグラウンドだった。また、ジャイアンズが惨敗するまでの様子が描かれて、ジャイアンはのび太に「お前がライトを持っていると思うと気になってしょうがない」と言いがかりを付けていた。
- のび太が自主トレーニングをすることに対してドラえもんは、のび太がジャイアンズのお荷物になっていることは確かだから、この際徹底的にやったらと言っていた。
- 道具から出て来た答えは「左、直、直、左、右...」だった。
- 寺野はのび太とすれ違った時、練習しているか聞いている。
- 怒ったのび太がしずかを連れて去った際の少年セリフはカットされている。また、ジャイアンがエースの座を譲れないと言いに来る下りもカットされていて、ラストは結局自主トレしなくてならなくなったことに対し、のび太がうなだれる場面となっている。
2020年版
- 原作の扉絵をオマージュしたサブタイトルには、スネ夫は映っていなかった。
- 1990年版と同じく、のび太達は河川敷のグラウンドで野球をしていた。
- ドラえもん達は道具が示した場所に向かう途中、空地に通りかかっていて、そこでジャイアンがピッチングのトレーニングをしていたため、見つからないよう先を急いだ。このため2人は再びここにやってきて、ジャイアンにメイ投手が見つかったことを知らせている。また2人が逃げていった後、ジャイアンは壁に向かって投げたボールが自分の頭に跳ね返って来て転んでしまい、自分にピッチャーの資格がないことを実感した。
- 少年は初めに、トラックに引かれのび太達の方へ飛んできてジュースの空き缶に石ころを投げていて、その後公園にて木の葉を石ころで落として見せた。
- 少年に後で後悔すると言われた際、のび太はこっちにだって名投手がいるんだと言って反論していて、この様子をジャイアンは後ろの物陰から見ていた。
- 寺野はのび太達が公園で野球の練習をしようとしていた時にやって来た。
余談
少年の声は1990年版では鈴木富子が担当し、2020年版では愛河里花子がそれぞれ担当した。
2020年版で寺野の声を担当した鈴木清信は、過去に『パーマン』にてジャイアンポジションのキャラ、カバ夫を演じていた。