もっと
演:菜葉菜
概要
2006年に公開されたオムニバスホラー映画『コワイ女』の第2話「鋼-はがね-」の登場人物。
また監督井口昇、特殊効果西村喜廣による、鋼ちゃんの不思議な日常を描く、別な魅力がたっぷり詰まった携帯用ショートムービー『鋼ちゃん』も公開された。
活躍
自動車整備工場社長・高橋鉄(演:香川照之)の妹で、この工場で真面目に働く工員の関口幹夫(演:柄本佑)は、社長直々に彼女とデートしてほしいと頼まれる。
社長の持ってきた写真には、笑顔がまぶしい美女が写っていた。
約束の日になり関口が社長宅に訪れると、そこには足踏み式ミシンを一心不乱に踏む一人の女性が待っていたのであった。
※以下ネタバレ
関口はいろいろと思うところはあったが、しかたなく社長が用意した自動車に鋼を乗せ、デートに出発した。
話しかけても鋼は無言であったり、鳥を思わせる声で鳴くばかりで(まれに可愛い声も出す)意思の疎通ができそうもなく、車から降りたかと思うと走り回ったり、スキップしてはしゃいだりするばかりか、自転車に引っかけられて土手から転げ落ちたり、川に落ちて流されたりと、関口は鋼の自由奔放すぎる行動に翻弄され疲れ切ってしまう。
その後、関口はびしょびしょになってしまった鋼を自宅に連れ帰り、着替えてもらおうとした。
しかし、機嫌を損ねたのか蹴られて鼻血を出してしまったが、鋼の誘うような美脚の動きによって妙な気分になってしまう…
関口がズタ袋の紐をほどこうとしたところ、鋼の見えてはいけない部分が見えてしまったために、恥じらいからなのか怒りからなのか、滅茶苦茶に暴れまわって逃げ去っていった。
社長は鋼が「関口のことを気にいった」といい、また合わせようとするが、関口は居留守を使うなどして逃げ回る。
そんな努力もむなしく、鋼は鋼で関口を見つけだしては追いかけてきて、吹き矢や複数の刃物をズタ袋から出して傷つけてくる。
関口もやられてばかりではなく、角材や岩、鉄パイプなどで反撃するなど攻防は続いていく。
そんな殺伐とした関係の中において、徐々に情がわいてきたのか、「もっと もっと」と鋼の持つ女性的で可愛らしい部分に惹かれていってしまう関口。
ついには美しい腕でも誘われるままに、ズタ袋の中に引き込まれて身体を重ねてしまう。
そしてズタ袋の中で関口の悲鳴と咀嚼音が響き渡り…
社長は関口の持ち物を焼却処分し、直前まで悲しんでいた鋼も眼鏡を踏み割ると吹っ切れたようで、ミシンで新しく作った青いスカートを穿いて踊りまわるのだった。
余談
- 演じるのは「インディーズの女王」とも呼ばれる女優・菜葉菜。
- オファーが来た際に顔が一切出ない役であると聞いて一瞬躊躇したが、脚本が好みであったことと、脚での演技でエロスなどの感情表現できることに面白みを感じ、すぐにOKを出した。
- 走り回って足技を繰り出すなどアクティブな役だったので、撮影前3週間はアスリート並みの基礎体力作りを行った。
- 袋の中ではヘルメットを被って腕を組み、ダウンを着た状態でくるまれていたので、体力的にきつかったそうである。
- 自転車に引っかけられるところと、川ぽちゃシーンはさすがにスタントを使ったが、その他は彼女自身が演じている。
- 社長が持ってきた顔写真は、作中設定では町に張ってあったポスターの切り抜きだったが、演じた菜葉菜本人のものである。またショートムービー第1回の通行人役でも顔出し出演している。
- 兄の鉄は自宅では鋼に手押しポンプで食事をさせたり、風呂で体を洗ってあげるなど甲斐甲斐しく世話をしているように見えるが、負担にも感じており本音が漏れる場面も。
- 結局鋼とは何なのか、中身はどのようになっているのか、全く分からないままに物語は終わる。