概要
清初期の褚人獲によって作られた通俗歴史小説。20巻100回。
羅貫中編と言われる『隋唐両朝志伝演義』を元に、褚人穫が『隋煬帝艶史』『隋史遺文』などの野史、唐・宋の伝奇小説や筆記、民間の伝承文芸から材料を集めて作られたと言われる。
魯迅は『中国小説史略』第十四篇で、以下のように述べ、かなり低い評価を下している。
「『隋唐演義』は、隋文帝(楊堅)が陳を滅亡させたところから始まり、安史の乱の後、唐玄宗が長安に戻るところで終わる。その間に秦瓊・単雄信・程咬金・羅成・木蘭などの話が挿入されている。しかしながらその文章は明代末期の軽佻浮薄な空気を反映してしまっており、深みに乏しい。羅貫中の『三国志演義』のような深刻さがなく、出来栄えも『三国志演義』に比べると数段落ちる。バカバカしい話もあり、読んでいて虚しい気持ちになる」
日本では、安能務、田中芳樹によるリライト本が出版されているが、学問的な日本語訳は2024年時点で存在していない。
主な登場人物
李密五虎大将軍
❶秦叔宝⋯姓は秦、名は瓊。叔宝は字。名よりも字をもって知られる。前半における主人公で、120斤の簡(鞭の一種)を振り回す豪傑。賊に襲われている李淵を義気から救出する場面が初登場。後に帰順することになる唐と縁を得ることになる。もともと隋の臣下で、高麗との戦争で大功を立てている。のち、李密や王世充と主君を変えながらも最終的には唐に帰順。尉遅敬徳との対決は見せ場。後世において、尉遅敬徳とともに門神となっており、中国本土では関羽に並ぶ人気を誇る。
❷単雄信⋯雄信は字。二賢荘に住む員外(富豪で秦叔宝親友)。叔宝を主に財政面でサポート。過失によるとはいえ、兄が李淵に殺害されたことから李淵を激しく恨む。後にコレが原因になって唐への帰順を拒否し斬首された。
❸王伯当⋯もとは盗賊。数々の戦で武功を上げる
❹程知節⋯秦叔宝の幼馴染で弟分。戦闘はさほど強いわけではない。トリックスター的な役割を担当し、話を大いに盛り上げる。もともと李密に使えていたが秦叔宝とともに唐に帰順した。
❺羅士信⋯盧明月との戦いで秦叔宝と行動を共にする。
- 李密⋯隋末に割拠した群雄の一人。煬帝が宇文化及に殺害され、王世充らによって恭帝侗が擁立されると恭帝侗に恭順して禅譲による新国家建国を目指したが、王世充との会戦に敗れ、長安による李淵のもとに降った。
- 李勣⋯もとの名前は徐世勣だったが、李淵から「李」の国姓を賜り、また太宗・李世民に避諱して李勣と改名。秦叔宝や程知節らの武将タイプに対し知将タイプ。もと李密臣下であったが唐に帰順。
隋
唐
- 李淵
- 李世民
- 李靖
- 尉遅敬徳⋯秦叔宝の宿敵。姓は尉遅、名は恭。敬徳は字。もともと劉武周に使えており、そのころに秦叔宝と一騎討ちもしている。劉武周が唐に敗れた後、唐に帰順。以降は唐の武将として天下統一に尽力。玄武門の変でも功績を挙げている。彼も120斤の鞭を使う豪傑であり、その前線で活躍しながらその生涯において、戦場において全く負傷しなかったという。
- 則天武后
- 太宗
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テレビドラマ
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- 三国志演義⋯モチーフとなった作品