概要
『魔術士オーフェン』の魔術士(魔術「師」ではない)とは、「天人種族」ウィールド・ドラゴン=ノルニルの血を引く人間のみを差す。
オーフェン世界における「魔術」とは、万能の力である「魔法」の模倣であり(非魔術士はそこらへんのことを理解しておらず魔術を魔法呼ばわりすることがある)、いずれも何らかの「媒介」を利用する。魔術士の場合は音声を媒介とする。よって音声魔術は「声が届く範囲」が原則として射程距離となる。
あくまで媒介が音声となるだけであり、攻撃速度が全て音速というわけではないのは留意が必要。原作小説においては光速や亜光速の魔術(光熱波、空間転移、球雷など)も登場している。
媒介として音声、すなわち「詠唱」を用いるわけであるが、本来魔術士が魔術を使う上で大事なのはそれ以前の構成と呼ばれる段階である。音声魔術のみならず全ての魔術は使用者の意志で「世界を改変する」という行動に及んでおり、その改変プランが構成と言える。したがって、詠唱は本人が呼びやすければ何でもよく、ただの叫び声や鼻歌でも可。一応、使用者の意志に従って
- 「我は○○する××の△△」(オーフェン、コルゴン他)
- 「△△よ」(チャイルドマン、アザリー、レティシャ、ハーティア他。短くて使いやすいので最も多い)
- 「××の△△」(ハイドラント、イールギット、ラシィ・クルティ他)
など、法則性はある。
訓練を受けた魔術士は他人の構成も近距離であれば「読む」事が可能で、自身に対し強烈な殺意を込めた構成が向けられた場合には感覚的に反応することが可能らしい。(『我が聖都を濡らせ血涙』よりオーフェンの発言)
構成を編む際には集中が必要の為、その瞬間を狙って肉弾戦や弓矢・銃による遠距離攻撃を行うのが対魔術士戦闘の基本とされているため、魔術士の側も独自に発展した格闘術でそれらのパリィ行為から保身を行うのが常とされる(牙の塔、十三使徒など)。
アニメ版においては、この「構成」の扱いは作品によって異なっている。
平成アニメ版初作の『魔術士オーフェン』では、この構成は「目には見えない概念」として割り切られてしまい映像としては表現されなかった(つまり事実上、無視された)。
平成アニメ版2期の『魔術士オーフェンRevenge』ではオーフェンが魔術を放つ直前などに一瞬だけ幾何学模様の意味不明な止め絵がワンカット入る時があるが、これが「構成」の表現とされている。ただし、物語や戦闘シーンが佳境に入ると、この構成表現は物語や画像の流れをブッた切ってしまうために省略される(表現するのをやめる)ようになった。
令和アニメ版においては絵的な面白さを追求しているのか、発動の際に魔方陣のようなエフェクトが登場している。アニメ版においても構成を編んでいるだけであれば、このようなエフェクトは生じていない。
黒魔術と白魔術
黒魔術
オーフェン世界における魔術士の大部分はグロ魔術士殿…もとい黒魔術士である。基本的に、特に示されずに「魔術士」と紹介された場合には原則黒魔術士と思っても差し支えない。
これは別に『スレイヤーズ』のような呪術や闇属性の魔術を使用するというわけではなく、一般的な攻撃・防御・回復・高機動などに使用される「物理的干渉型」魔術を差す。
白魔術
白魔術士とは、基本的に「精神干渉型」魔術を差す。
これは暗示や幻覚を見せるといった一般的な精神制御に加え、時間や空間などにも干渉できる。オーフェンによれば「紙を燃やすのが黒魔術で、紙を別のものに変えるのが白魔術」とのことらしい。
キエサルヒマ大陸においては白魔術士は極めて希少であり、「霧の滝」と呼ばれる施設のみが白魔術士の育成が行われているらしい。ただし、画像のアザリーのように黒魔術士でありながら白魔術を使える者もごく稀に存在する。
白魔術士は大きく分けて肉体を持ったままの肉体士と、肉体を捨て精神体のみとなった精神士に大別される。精神士は物理法則に囚われない活動が可能となるが、そのぶん寿命は短く、ダミアン・ルーウのように数十年自我を維持し続けられるのは滅多に無いとされる。