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風が吹くとき

かぜがふくとき

『風が吹くとき』(原題:When the Wind Blows)は、イギリスの作家レイモンド・ブリッグズが1982年に発表した絵本。後にアニメ化された。
目次 [非表示]

風が吹いたら

揺りかごがゆれる。

枝が折れたら

揺りかごが落ちる。

坊やも

揺りかごも

みな落ちる。


概要編集

核戦争に巻き込まれたイギリスの片田舎に住む老夫婦を描いた絵本。

著者は『スノーマン』(邦題『ゆきだるま』)のレイモンド・ブリッグズ。


1986年にはアニメ化され、2008年にはデジタルリマスター版DVDが発売された。



あらすじ編集

イギリスの片田舎に住むジムとヒルダは、2人で平和な老後を過ごしていた。しかし、それと裏腹に世界情勢は悪化の一途を辿り、遂に世界的な戦争が始まってしまう。

そこでジムは、政府が発行したパンフレットを頼りに粗末なシェルターを造り、保存食を蓄え、窓ガラスにペンキを塗るなど対策を練る。

そんなこんなしていたある日、ジム達が住む片田舎から離れた都市に核ミサイルが撃ち込まれ………。




登場人物編集

ジム編集

ヒルダの夫。ヒルダと平和な老後を過ごしている。新聞やラジオで世界情勢について知るのが日課。戦争のニュースを知り、攻撃に備えてシェルター造りに勤しむ。政府の言う事に疑問を持たず盲信している。


ヒルダ編集

ジムの妻。ジムと違って政治やニュースにほとんど興味を示さない。また、潔癖症らしく、戦争のことになると身の安全よりも家が汚れることを心配していた。


ロン編集

電話の声でのみ登場したジムとヒルダの息子。妻と生後間もない子供がいる。父ジムにシェルターを作れと言われてたが「やられた時はやられた時さ」と作らなかったらしい。(私見だが)核攻撃を受けたらどのみち助かりっこないと諦めてたのかもしれない。


余談編集

  • 夫婦のファミリーネームはブロッグズ。(原作者ブリッグズは両親をモデルにジムとヒルダを描いた。実は本作品の前にジムとヒルダを主人公にした絵本『ジェントルマンジム』(1980年)が出版されている。)
  • シェルターの作り方等が書いてあったパンフレットは実際に1980年に英国政府が出版した小冊子『Protect and Survive(防備と生存)』がモデルで、内容も大体本作品で描写されてる通りだった。地方自治体も同じ様な冊子を発行してたが中央政府の物と内容に食い違いがあるなどいい加減なものもあった。この描写にはブリッグズの、国民を本気で守らない政府に対する怒りが込められていた。

アニメ映画版編集

1986年イギリス公開。

翌年日本で日本語吹替版が制作され公開。

スタッフ編集

監督:ジミー・T・ムラカミ

音楽:ロジャー・ウォーターズ(元ピンク・フロイド)

主題歌:デヴィッド・ボウイ「When The Wind Blow」

日本語吹替版監督・演出:大島渚

出演者編集

ジム:ジョン・ミルズ/森繁久彌

ヒルダ:ペギー・アシュクロフト/加藤治子(『寺内貫太郎一家』、『ハウルの動く城』等)

ロン:田中秀幸

ラジオのアナウンサー:高井正憲

余談編集

  • ムラカミ監督(1933-2014)は第二次世界大戦勃発後8歳の時にアメリカの日系人収容所に家族と共に入れられた。姉は収容所で病死し、長崎にいた親戚は原子爆弾の犠牲になった事から戦争への憎悪は終生変わらなかった。
  • 大島渚監督が本作の吹替版制作に参加したのは本作に感銘を受けたのもあるが『戦場のメリークリスマス』以来親交を深めたデヴィッド・ボウイが主題歌を担当していたのも大きな理由の一つだという。
  • 日本公開当時、雑誌アニメージュの編集長をしていた鈴木敏夫は、同年8月号で“緊急特集”として本作を大々的に取り上げた。鈴木「原発の記事も書き、当時としては大冒険だったが、その号は3日で完売した。」
  • 2024年8月に日本全国各地のミニシアターでリバイバル上映。「100年後も残したい歴史的名作」 「37年の時を経てあのときの風はまだ吹いている」同年アカデミー賞を受賞した映画『オッペンハイマー』のクリストファー・ノーラン監督も少年時代に本作品から影響を受けた事を述べてた。(ノーラン監督は絵本出版時は12歳、映画公開時は16歳。)




関連作品編集

はだしのゲン …核の恐怖を描いた作品繋がり。ブリッグズも『はだしのゲン』を読んでいたらしい。


関連タグ編集

レイモンド・ブリッグズ 核戦争










































この先、ネタバレ及び鬱展開注意!





























核ミサイルの攻撃から、ジムとヒルダはなんとか身を守ることはできたものの、家の中は爆風でめちゃくちゃになり、都市部は核ミサイルによって壊滅したことで、電気や水道、ラジオに至るまで全てのライフラインはストップしてしまう。

「いつか救助が来る」と互いに励まし合うものの、

既に2人の身体は放射線に蝕まれており、日に日に衰弱していき、遂には立って歩くことすらままならなくなる

そして2人は、次の核攻撃に備え、麻袋を被って粗末なシェルターに潜りこむ。


主は我を緑の野にふさせ、いこいの水際にともない給もう。

たとえ我死の影の谷を歩むとも禍害をおそれなじ、

なんじわれとともに存せばなり、

なんじの鞭なんじの杖わが日々を慰む。


聖書の一節を力なく唱え、祈りを捧げるジム。


『600の兵士は進む。』__この一文で物語は幕を下ろす。

その後2人がどうなったのか…………。それを知る者はいないが、

たぶん、きっと………。



関連タグ(続き)

どうあがいても絶望 みんなのトラウマ 検索してはいけない言葉 全滅エンド

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