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戦場のメリークリスマス

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せんじょうのめりーくりすます

『戦場のメリークリスマス』(Merry Christmas, Mr. Lawrence)とは、1983年に公開された大島渚監督の戦争映画。そして、本編でも使用された同名楽曲。

あらすじ

1942年第二次世界大戦。日本統治下のインドネシアジャワ島レバクセンバタには日本軍の俘虜収容所があった。

ある夜、この収容所で前代未聞の不祥事が起こる。窃盗の罪で独房に入れられていた俘虜のオランダ兵デ・ヨンに朝鮮人軍属のカネモトが接触、性的に犯したというのだ。

日本軍のハラ軍曹は、日本語ができるという理由で英国陸軍中佐ロレンスを立ち会わせ、独自の判断でカネモトに切腹をさせようとする。そこへ収容所長のヨノイ大尉が現れ、処理は先延ばしになる。

同日、バダヴィアの軍律会議に出席したヨノイは、日本軍相手に果敢に立ち向かった英国陸軍少佐セリアズと出会い、その反抗的な態度に視線を奪われる。裁判とは名ばかりの一方的な取調べが終わった後、セリアズは処刑されるかと思いきや、レバクセンバタでヨノイの監視下に置かれることとなった。

ヨノイはヒックスリー俘虜長から兵士の情報を引き出そうとしていたが、ヒックスリーは国際法を盾にこれを拒否。ヨノイはセリアズの治療を急がせ、彼を新たな俘虜長に引き立てようとする。

後日、カネモトの切腹が執り行われるが、その現場に立ち会わされていたデ・ヨンはカネモトの後を追うように舌を噛み切って死んでしまう。ヨノイは「礼を尽くせ」と言うが、俘虜たちには自決という価値観が理解できない。激昂したヨノイは、俘虜たちの精神のたるみを治すという面目で、二日間の断食「行(ぎょう)」を命じる。

夜、病棟で断食を続ける俘虜たちのもとへセリアズがやってきて、彼らにまんじゅうを届ける。勇気づけられた彼らはクリスマスの讃美歌「ちとせの岩よ」を合唱するが、駆け付けた日本兵が病棟で無線ラジオを発見したことでロレンスが疑われ、両軍の緊張が一気に高まってしまう。

概要

大島渚の後期の代表作で、興行的には最大のヒット作(国内約10億円)。通称「戦メリ」。

戦争映画ながら重火器は登場せず、戦闘シーンもない。キャストは男性ばかりという異色作である。

統治軍と"俘虜"という立場の違いから描き出される人間ドラマであり、フランスなどの一部海外では『Furyo』というタイトルで公開された。

原作ローレンス・ヴァン・デル・ポストの手記『影の獄にて』。同作は『影さす牢格子』『種子と蒔く者』『剣と人形』の3編からなるが、『戦メリ』のストーリーはそのうち『影さす牢格子』『種子と蒔く者』の2編を再構築して作られた。『剣と人形』については劇中でロレンスが過去を振り返る台詞の中で語られている。

ロケはニュージーランドで行われた。

キャスティング

大島は元々、プロの俳優でない人間を役者として使うことが多かったが、今作にはネームバリューの高いキャストがメインに添えられたことで、当時大変な話題となった。

  • セリアズ役にはイギリスのロックスターであるデヴィッド・ボウイ。元々ボウイは大島映画のファンで、オファーの際にいつでもスケジュールを明けると約束した。他の候補にロバート・レッドフォードがいたが、シナリオを読んだ上で丁寧に断られた。
  • ヨノイ大尉役の候補には滝田栄、沢田研二がいたが、最終的に音楽家坂本龍一となった。坂本もかねてからの大島ファンであった。坂本は出演の条件として、映画の音楽も担当させてほしいと提示したところ、大島は即決し、坂本は今作で俳優と映画音楽を初経験することになった。坂本のテーマソングは世界的に高く評価され、YMO後の坂本龍一を代表する曲になった。
  • ハラ軍曹の候補には緒方拳勝新太郎がいたが、最終的には芸人ビートたけしで落ち着いた(クレジットはTAKESHI)。当時はまだお笑い芸人という印象が強かったたけしだが、今作での演技は業界内で注目を集めるきっかけとなった。しかしシリアスな映画にもかかわらず、たけしが出ただけで客席から笑いが漏れるという一幕もあり、失意のたけしは以後、犯罪者や悪徳警官といったハードな役をこなすようになる。その縁で映画監督に進出し、世界的巨匠にまでなったのは周知の通り。

それ以外にも日本のミュージシャンが幾人か配役されている。

キャスト

ジャック・セリアズ英軍少佐 - デヴィッド・ボウイ

ヨノイ大尉 - 坂本龍一

ハラ・ゲンゴ軍曹 - ビートたけし

ジョン・ロレンス英軍中佐 - トム・コンティ

ヒックスリー俘虜長 - ジャック・トンプソン

拘禁所長 - 内田裕也

イトウ憲兵中尉 - 三上寛

カネモト - ジョニー大倉

デ・ヨン - アリステア・ブラウニング

ウエキ伍長 - 飯島大介

ヤジマ一等兵 - 本間優二

ゴンドウ大尉 - 室田日出男

軍律会議通訳 - 戸浦六宏

フジムラ中佐 - 金田龍之介

イワタ法務中尉 - 内藤剛志

日本兵 - 三上博史

セリアズの弟 - ジェイムズ・マルコム

スタッフ

監督 - 大島渚

脚本 - 大島渚 / ポール・メイヤーズバーグ

原作 - ローレンス・ヴァン・デル・ポスト

製作 - ジェレミー・トーマス

音楽 - 坂本龍一

撮影 - 杉村博章 / 撮影監督 - 成島東一郎

編集 - 大島ともよ

日本語字幕 - 戸田奈津子

配給 - 松竹 / 松竹富士 / 日本ヘラルド

データ

公開 - 1983年5月28日(日本) / 2021年4月16日(4K修復版,日本) / 1983年8月25日(イギリス)

上映時間 - 123分

製作国 - 日本 / イギリス / オーストラリア / ニュージーランド

言語 - 日本語 / 英語

予告編

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映画 / 戦争映画 / 映画の一覧 / 音楽

第二次世界大戦 / 捕虜

深夜!天才バカボン:特殊エンディングで戦場のメリークリスマスが流れた。

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  • 蛇の道

    ◆戦メリの原作版を読んで、ハラ軍曹の映画版以上のアウトレイジっぷりに書きたくなりました。 ◆映画本編でローレンスとセリアズが独房で互いの過去を打ち明けていた頃、無線機を仕掛けた真犯人を捕まえ、追い詰めていたハラの話。真犯人の設定とハラの出自捏造、グロまでは行きませんが暴力殺戮描写注意。 ◆セリヨノ要素とロレハラ(ハラロレ?)っぽい要素有りです。若干モブ→ヨノっぽい描写も有。初めての戦メリ小説はセリヨノ話を書きたいはずだったのに、ハラの話になるとは思ってもなかったw
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    初めて戦メリを見たのは一年前の今日でした。心臓を持って行かれるような思いで泣いた映画は、後にも先にもこれだけです。タイトルは原作からお借りしました。問題あったら直します。
  • Merry Christmas,for 501sw

    無駄に長いですが、ストライクウィッチーズのクリスマス。501の乙女達がいる「戦場」はどんなところなのだろうか、そんなことを考えながら書きあげました。楽しんでいただけたら幸いです。 イメージ曲は坂本龍一の『Merry Christmas, Mr.Lawrence』
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    学パロセリヨノと、セリアズの髪の毛の話 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9853234←この話より前の出来事 題名思いつかない
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  • 戦場のメリークリスマス二次創作

    ふぁーぜる・くりすます

    戦場のメリークリスマスから、ハラ軍曹の暴力がある種の愛だったという話。解釈など違っていたらすみません。

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