概要
その名の通り首が無い馬の姿をしており、単独で出現する場合もあれば、神様や妖怪、亡霊の乗り物として出現する場合もあったり等々、その伝承は多岐に渡っており、馬の首だけで出現する話も伝わっている。
単独の妖怪や神々の乗り物とされる以外にも、殺された馬の亡霊がその正体とも考えられている。
また、これに遭遇すると凶事が起こる=不吉な象徴とされている以外にも、愛媛県の玉川町等では逆に縁起が良いとされる地域もある。
珍しい話では以下の伝承がある。
ある郷の長の娘が病に苦しんでいた為、長は「娘の病を治す薬草を見つけた者には娘との結婚を認める」との御触れを出したら、長が所有していた馬が薬草を見つけた。
娘は無事に完治したが、その日から馬は異様に娘に懐き出した……まるで「娘は自分の嫁」だとばかりに。
馬の真意に気付き始めた長と娘は、娘を馬から離すべく馬の処分を決めつつ、娘は郷から離れた別の集落に嫁がせようとしたが、馬がそれを察するや否や自分を売ろうとする郷の人間の包囲を掻い潜って脱走した。
そして、馬は嫁ぎに行く娘の下へ現れた為、娘は馬から逃れるべく無我夢中で駆け出したが、考えなしに駆けたせいで何時しか断崖絶壁にたどり着き、馬に追い付かれてしまう。
追い詰められた娘は「誰がお前なんかと結婚するか。お前と結婚するぐらいならば……!!」と吐き捨てるや否や、そのまま断崖絶壁に身投げし、驚いた馬も娘の後を追うように我が身を断崖絶壁に落とした。
それから暫くして娘の命日が近付くと、夕暮れの空に首切れ馬が駆けるようになった……
関連項目
さがり:首だけの妖馬
デュラハン:アイルランドの妖精。首無し馬コシュタ・バワーが牽く馬車を駆る
南米妖怪:ブラジルに神父の内縁となった女が神罰で変えられた「首なしラバ(Mula sem cabeça)」の伝承がある。