「来たです、魔国連邦!!」
概要
正式名称は『転生したらスライムだった件 異聞 ~魔国暮らしのトリニティ~』。
2019年6月26日発売の月刊少年シリウス8月号にて連載開始。既刊は2024年8月時点で、10巻。発行部数は5巻発行の2021年07月08日時点で、電子版を含め50万部を突破している。
獣王国ユーラザニアの狐の獣人族・フォスを主人公とし、忘れられた竜の都、天翼国フルブロジアからそれぞれに主の密命を受けてやってきたステラ、ネムの3人の少女達から見た魔国連邦やそこに集う様々な種族を描くストーリー。個性豊かな3人が魔国連邦での生活を面白おかしく過ごしていくが、3人の主の思惑が入り乱れる魔王覚醒編では思いがぶつかり合う場面も。卑劣な強者に打ちのめされながらも立ち向かう展開が多く、ファルムス王国による魔国連邦への襲撃ではダークな事情が描かれた。西方編に突入してからは一時的に魔国連邦を離れ、様々な国での本編の裏側の出来事を描いている。
第一話時点で本編4巻相当からの時系列で展開されている。
単行本第1巻発売記念として、『転スラ異聞~魔トリ~』にこの「転スラ」キャラを出して!リクエスト大募集!という企画が行われ、本編からディアブロ・ルミナス・ウルティマの3名の登場が決定。ウルティマの登場は時系列的にかなり先であるため、劇場版と絡めた新規ストーリーが展開された。
オリジナルの登場人物
主要人物
- フォス
「任せるですカリオン様!フォスはその使命、必ず果たしてみせるです!」
本作の主人公。狐の獣人族(ライカンスロープ)で獣王戦士団見習い。魔国連邦との交流を始めた魔王カリオンの命令で、獣王国ユーラザニアから魔国連邦の潜入調査にやってきた。街道の近くに現れた魔物への迅速な対処と戦闘能力を見込まれてゴブタに勧誘され、警備隊の一員になる。
見習いながらも、獣王戦士団の一員グルーシスから才能を買われている。面倒見の良い性格で、なりゆきで知り合ったステラやネムの相手をすることになった。行動力も凄まじく、困っている人を見ると助けずにはいられない。そのせいで面倒ごとに巻き込まれることもしばしば。
- ステラ
「あたし、ここで料理を覚える!!ミリム様に都でもこの料理を召し上がって頂かなければっ!!」
忘れられた竜の都からやってきた、竜を祀る民の少女。主である魔王ミリムが気に入っている魔国連邦を調査するよう、神官長ミッドレイに命令を受けている。ミッドレイと同じく料理は食材への冒涜であり、自然の恵みをそのまま頂く生食を至上と考えていたが、ミリムも絶賛したというカレーを口にし、その美味しさに感動。ミリムに都でも料理を食べてもらいたいと、料理を学ぶべくゴブイチに弟子入りする。
自信過剰で短絡的な行動が目立ち、当初は魔国連邦も馬鹿にしていた。フォスたちと共に魔国連邦について知っていくにつれてその態度を改め、成長していく。見た目は人間に見えるが非常に強く、初対面のフォスを軽々と投げ飛ばした。力に頼り切りで相手に攻撃を読まれやすいが、それを補うだけのスピードがあり、伸びしろのある人物。
- ネム
「うぇ、やなのぉ。ネムは働きたくないのぉ」
有翼族(ハーピィ)の少女。魔王フレイに魔国連邦の調査を命じられて天翼国フルブロジアからやってきたが、他の何よりも睡眠を重視する性格で調査はおざなり。織物工房で勝手に服にくるまって寝て商品を駄目にしてしまい、働いて弁償することになったが、その丁寧な手作業を見たシュナにスカウトされ、そのまま織物工房で働くことになった。
その睡眠好きから究極の寝床を作り出すことを夢見ており、スライムの身体で寝ることが夢の一つ。捕食のために体を溶かしてくる心配のない、意思あるスライムであるリムルに協力してもらうチャンスを得るため、働くことは嫌いだが魔国連邦の仕事を続けている。
危機感知能力が極めて高く、シオンの料理も前情報なしで逃げたほど。魔国連邦の指南役であるハクロウにも気闘法を扱うセンスがあると褒められており、優れた才能の持ち主。睡眠欲が絡まなければ頭も回り、フォスやステラの脳筋気味な面に対しては呆れている。
その他
- ワイチニーゴ、ワイーク
街道整備の仕事をしている猪人族(ハイオーク)。オークたちへの名付けは数字やアルファベットで管理されているため、名前の由来はおそらくY-125、Y-9と思われる。
ファルムス王国
- 先遣隊隊長
魔国連邦襲撃の先遣隊の隊長。任務はあくまで偵察であり、襲撃の作戦前であるにもかかわらず、魔国連邦の魔物たちを始末にかかる。「神の名のもとに魔物は殲滅すべき」という信念のもと動いているようだが、魔物の子供たちを嘲笑いながら傷つける様は外道のごとく。
魔物たちを虐殺したことでフォスの激怒に触れ、胸を貫かれる。ザカライアに助けを求めるも見捨てられ、惨めな最期を迎えた。
- ザカライア
先遣隊に大金を積まれ傭兵として雇われる。依頼主が死んでも依頼料を回収しきれなかったことだけを残念がっており、冷酷な人物。
気闘法も使う強者で、ルべリオスの法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)の城砦(ルーク)予備軍だった。自身が追い込まれると魔物の子供の遺体を人質にとるという最低の行為に出るが、ゴブエモンに背後をとられトドメを刺される。
ブルムンド王国
- 戦争孤児の少年
ファルムス王国からの流民。ファルムスと魔国連邦の戦争で父を失った上に働き口を得られず、すべてはリムルが悪いと憤っている。
奴隷として売られそうになったところをフォスたちに助けられたが依然として魔物に怯えており、その様子は魔物と人間の間にある溝を感じさせる。
- コックル男爵
奴隷商会オルトロスの幹部。奴隷を粗雑に扱い、フォスたちのことも良い値がつきそうだと商品として見ていた。火炎球(ファイア)、土石防魔壁(ストーン・ウォール)の魔法を使用し、上位悪魔を召喚できる実力者。
フォスの報告を受けたディアブロに目を付けられ、お仕置きと称した凄惨な目にあわされてしまう。その後はディアブロにこき使われてファルムス王国で難民の受け入れをしているが、彼にひどく怯えて精神は憔悴し切っている様子。
- ラーハン
コックルに雇われたAランク冒険者。その実力で奴隷売買を邪魔しに来たフォスたちを全滅寸前まで追い込むが、助太刀に入ったトーカのスピードに翻弄され、クナイで気絶させられる。
奴隷売買に協力した国際的犯罪者としてブルムンド王国の牢屋に入れられていたが、フォスたちを狙うジャックスに協力か死かを迫られ、協力を選び解放されることになる。
神聖法皇国ルべリオス
- ペイン
ザカライアの相棒。魔国連邦のファルムス反撃作戦時にザカライアの仇であるフォスの前に現れ、尋常でない強さで圧倒。しかし、ルベリオスの真の主ルミナスがペインの出過ぎた真似をよく思わず、昏倒させてその場から撤収。その後、法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)筆頭騎士であるヒナタから謹慎処分を受けていた。
ジャックスの部下であり、彼の威圧的な態度には頭が上がらない様子。
- ジャックス
法皇より城砦(ルーク)の称号を与えられた、法皇直属近衛師団(ルークジーニアス)の一人。弟であるザカライアが殺されたことに激怒、仇討ちに燃えている。ユニークスキル「尊大者(タケルモノ)」を持ち、その権能の一つ「優位戦場」で自分にとって有利な戦場を生み出し戦うことができる。
- ヤコブ
ジャックスの部下。フードを目深にかぶり、無口でミステリアスな振る舞いから強者に見えたが……
本編からの登場人物
基本的には本編と同じであるため、詳細は転生したらスライムだった件の登場キャラクター一覧を参照。ここでは魔国暮らしのトリニティでの主要人物の立ち位置・活躍について記載する。
魔国連邦
- ゴブエモン
人鬼族(ホブゴブリン)の青年。警備隊に配属されたフォスの先輩であり、よく面倒を見ている。
百人長となり自分だけの部隊を作ることになったが、フォスは面倒ごとを背負い込みそうだと誘わなかった。代わりに、魔国連邦の指南役ハクロウの個別指導の受けられるように話をつける。
警備隊隊長の人鬼族(ホブゴブリン)で、フォスたちの頼もしい上司。
ファルムスとの戦争後、人間社会のルールの勉強や完成した街道の確認のためフォスたちに西方諸国の調査を命じたが、ただの日記のような報告書をよこされたり、とんでもない騒動を巻き起こされたりとその自由な振る舞いに頭を悩ませている。
- 東華(トーカ)
ソーカに仕える隠密部隊の龍人族(ドラゴニュート)。ソーカに命じられ、西方諸国の調査に向かうフォスたちを陰で見守る。度々面倒ごとに首を突っ込むフォスたちを戦闘面で強くサポートした。
悪魔族
劇場版の一件でディアブロに名持ちになったことを散々自慢され、その名付け主であるリムルに興味を持ち、物質世界に遊びにきた。しかし力を消耗していたため、猫の姿で受肉している。ネムのリュックに潜り込んでフォス一行の西側諸国の調査についていく。フォスたちのことは「下僕(オモチャ)」と思っている様子。
- ヴィオレの料理人
後のゾンダ。イングラシア王国に向かうフォスたちの前に正体を隠して現れ、「悩みを解消してくれる薬」と称して飲んだ者を夢の中で精神世界に招待する薬を手渡す。フォスとステラは「変わった猫好きのお兄さん」と認識しているが、ネムだけはその正体に勘づいたようで恐れていた。
- ヴィオレの執事
後のヴェイロン。ヴィオレの命令の下、フォスたちの夢の中に現れて修行をつける。
ヴィオレの召喚に応じて登場。ヴィオレの頼みごとを引き受ける代わりに、ヴィオレに取材をさせてもらうという約束を取り付けた(この取材が「インタビュー・ウィズ・ヴィオレ」)。フォスたちにそれぞれブローチや腕輪、指輪をプレゼントして帰っていく。
他スピンオフ作品からの登場人物
クレイマンrevenge
- アルヴァロ、ジョイス、サイラス
クレイマン軍の後方部隊に配属されているダークエルフたち。元魔王カザリームの配下である時代からクレイマンのことを知っている古株であり、身内への思いやりのあったクレイマンが変わってしまったことを案じている。後方部隊に配属されたのは信用されていないからであると考えていたが、クレイマンが頼りたくないと思っているだけかもしれない、とステラに励まされ立ち直ったようだった。