「今までの考え方は一度捨てるつもりだ。オレはこの先出し惜しみするつもりはない」
概要
『ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編1巻』で行われた特別試験。
即ち、2年生に進級して初めての特別試験である。内容は、綾小路たち2年生と新たに入学して来た1年生が二人組のペアになって挑む筆記試験である。
また、1・2年合同ペア筆記試験は作中の正式名称ではなく、公式では『1、2年生がペアを組んで挑むパートナー筆記試験』という名称である。ソースはこちらの動画の概要欄にて。
新1年生たちが登場してくる最初の巻でもあり、今回の試験は主に1、2年の Dクラスのリーダー同士である堀北と宝泉の交渉とその結末がメインとして描かれている。一方で駆け引き面に関しては今回は坂柳と龍園が担当しており、Dクラス同士の交渉の裏で熾烈なマネーゲームを繰り広げている。
ルール
- 1年生と2年生が試験通達開始から二週間以内に二人一組のペアを組んで、二週間後の筆記試験でペアの合計点を全体で競う。
学年別におけるクラスの勝敗
- クラス全員の点数とパートナー全員の点数から導き出す平均点で競う。
報酬
- 平均点が高い順に、1位50ポイント、2位30ポイント、3位10ポイント、4位0ポイントのクラスポイント報酬を得る。
個人の勝敗
- パートナーと合わせた点数で採点される。
報酬
- 上位5組のペアに特別報酬として各10万PPtが支給される。
- 上位3割のペアに対して各1万PPtが支給される。
ペナルティ
- 合計得点が500点以下の場合2年生は退学、1年生は保持しているクラスポイントに関係なく、プライベートポイントの振り込みが3ヶ月間行われない。
- また意図的に問題を間違えるなどして点数を操作、下げたと判断された生徒は学年に関係なく退学とする。同じく低い点数を第三者が強要した場合も同様にその者を退学とする。
要点
- 今回は綾小路のみに対し、難易度で言えば過去最高のものとなっている。その理由は、綾小路の退学を狙うホワイトルーム生が新1年生の中に紛れているからである。
- ペナルティの条件がペアの合計点の500点未満ではなく、500点以下である為、仮に綾小路が5教科で満点を取ったとしても、ペアの1年生が手を抜いて0点を取った場合、綾小路は退学になってしまう。
- 一応、意図的に手を抜いた生徒はルール違反で退学というペナルティはあるものの、月城がルールに手を加えている以上、自分の退学を強行するだろうと綾小路は推測している。
- その為、今回の綾小路の目的は新1年生の中でホワイトルーム生以外の生徒と如何にしてペアを組むか、という問題が焦点に当てられる。
動向
他クラスの動向
試験通達してから直ぐに、OAAで学力が高い人間は1年生、2年生共にすぐに引き抜かれ始めた。そして一之瀬は1年生たちと関わりを持つため交流会を開き、学力に自信の無い生徒を引き込み信頼から積み重ねていくという手法を取った。
その裏では、坂柳と龍園が学力の高い1年生をプライベートポイントで引き抜くマネーゲームを行なっており、坂柳はAクラスのブランドで寄ってくる1年生を集め、一方で龍園は先を見て自分に協力する1年生を見定める方針を取っていた。
堀北クラスの動向
堀北の今回の目的は「学年別のクラス勝敗で3位以上に入ること」「マネーゲームを行わない」ことを目標に行動を開始し、他の1年生と違って統率が取れている宝泉和臣が率いる1年Dクラスに目を付けた。
そして1年Dクラスの七瀬翼と宝泉たちも行動を始め、2年Dクラスに接触。宝泉は上から目線で堀北に協力を強制するも、1年Bクラスの八神拓也の介入もあって一時撤退する。
後に七瀬と接触した綾小路と堀北は、宝泉との間を取り持ってくれないかと計らった。
一方で学力に不安の残る須藤のペアを探している最中に、学力A判定を受けている1年Aクラスの天沢一夏が綾小路たちに接触。天沢は「料理上手な男の人が好き」と発し、綾小路が天沢からの条件を引き受け彼女に料理を振る舞ったことで、天沢は須藤とペアを組んだ。
パートナー決め終盤
試験開始から6日間が経過してもパートナーが決まっていなかった綾小路は、1年Cクラスの椿桜子と宇都宮陸に声を掛けられるが、自分に声を掛けてくる1年生を警戒していた綾小路はパートナーの申し込みを一度保留にした。
そして一週間が経過し、2年Dクラスからは綾小路・堀北・須藤が、1年Dクラスからは宝泉・七瀬が相対し、改めてクラス間の協力を結ぼうとするも、宝泉がクラス同士の条件として多額のポイントを要求。あくまで対等な取引を望む堀北は却下し、交渉の席から去った。
しかし、交渉を粘る宝泉は場所を変えるように綾小路たち3人を寮の裏へと誘い込むと、堀北と須藤に襲い掛かり、暴力で無理やり堀北クラスに不利な条件を突き付けようと強硬手段に出た。瞬く間に堀北と須藤を制圧した宝泉は、懐からペティナイフを突き付けて今度は綾小路を狙った。
結末(ネタバレ注意)
ナイフを向けられたことで、宝泉の狙いを全て悟った綾小路は、宝泉がペティナイフを自分の身体に刺そうとする前に、彼のナイフを左手で受け止めた。
実は宝泉が持っていたペティナイフは、前に綾小路が天沢に料理を振る舞った際に購入したものであり、天沢に部屋から持ち出されたものだった。そして宝泉が自分の足に突き刺してから「綾小路に刺された」と騒ぎを起こし、物証と共に綾小路を退学にさせようとしたというのが一連の結末だった。
綾小路は部屋にあった筈のペティナイフが天沢によって持ち出されている事に気付き、軽井沢を使ってナイフを購入した店でナイフの購入者が綾小路だけで、更に宝泉が購入しようとし、天沢が返品を促したという情報を予め掴んでおいたのだ。この為、宝泉と天沢が繋がっている事を確信した綾小路は確実に宝泉の策を封じる為、彼の持つナイフを左手で受けた事で今度は宝泉を加害者として追い詰める事に成功する。
綾小路は宝泉を退学に追い込める状態を咄嗟に作り上げた事で、一気に優位となり、今回の件を学校側に報告しない代わりに「Dクラス同士が無条件でパートナーを組む事」「そして宝泉は自分のパートナーになること」を条件として出した。
元々、綾小路は宝泉はホワイトルーム生候補では限りなく白に近いと判断しており、坂柳にペアの打診を受けた際には宝泉と組むつもりでいた模様。宝泉のOAAの学力はB+で意図的に手を抜いたら退学となり、仮に共倒れ覚悟で0点を取ったとしてもナイフで刺された件を持ち出せば、学校側も綾小路と宝泉の間に事件性があったと見て、月城も即退学には追い込めないという計算の元、宝泉を徹底的に追い詰めたのだった。
試験結果
成立したペア(メインキャラのみ)
順位
- これにより、龍園たちCクラスは一之瀬たちBクラスのクラスポイントを上回り、来月からBクラスに昇格する事になる。
試験の余波
綾小路は堀北と、1年生修了時に次の筆記試験で一科目のみにおいて勝負をしており、堀北が勝てば綾小路は全面的にクラスに協力する事、綾小路が勝てば堀北は生徒会に入る事を条件に出していた。
堀北が指定した科目は数学で、綾小路は見事に満点を取った。しかし、学校側が100点を阻止する為に大学レベルの問題を数問入れており、堀北はもちろん、幸村や坂柳ですら満点が取れなかった超難問だった為、綾小路が満点を取ったことで彼の本当の実力を知らないクラスメイトからは一気に「不正をしたのか」と疑惑を持たれることになる。綾小路が本気を出して何らかの科目で満点を取った際に周囲から不自然な目に映るように、恐らく月城辺りがテストに手を加えて難問を数カ所入れてた可能性が高く、現に堀北がクラスに事情を説明しなければ、クラスで浮いていた可能性は非常に高い。
実際に綾小路が満点を取ったことで周囲からの評価は良くも悪くも大きく変化し、中でも須藤は先日の宝泉の一件もあって、綾小路の実力が疑いようのない本物であることを確信し、堀北と同様に綾小路を庇う動きを見せている。一方で他クラスからは神崎から執拗に警戒され、他学年からは鬼龍院に興味を持たれ接触を受けている。
もう一つの特別試験
そして、宝泉たち1年生が綾小路の退学を狙ったのは大きな理由があり、それが数名の1年生の間だけに通達された特別試験である。
内容やルールは具体的に明記されていないが、宝泉が行動を起こした理由について、後に七瀬と八神が掻い摘んでそれぞれ綾小路たちに説明している。
ルール
- 参加者は数名の1年生
- 綾小路清隆を退学させた生徒には2000万プライベートポイントが支払われる
- 期限は2学期が始まるまで
参加者
・この場には居ないが、天沢一夏と椿桜子も試験の詳細を知っているとそれぞれ綾小路本人に明かした。
つまり、綾小路には2000万の賞金首を掛けられたのと同義で、正体不明のホワイトルーム生や月城の他に、試験の参加者である1年生たちからも身を守らなければならない状況となったのだ。
読者からの評価
2年生編開幕の試験として、読者からは大きな反響を寄せており、各所に散りばめられた伏線や綾小路がついに本領発揮した事で評価は非常に高い。
また新1年生たちが初登場する事もあって、発売当初は「ホワイトルーム生は誰か」という議論がSNS、動画サイトなど数多くの場所で様々な意見・考察が飛び交う事となった。