「では、最後の課題を表示する。投票の用意を」
試験史上最も容易で、最も残酷な試験
※本記事にはアニメ未公開のネタバレ情報を含みます。閲覧の際にはご注意ください。 |
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概要
『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編5巻』で行われた特別試験。
なお、存在そのものがネタバレのような試験なので原作未読者はブラウザバック推奨
2年生編2学期直後に開催された特別試験。
今までの試験とは違って、クラス全員の意見が一致するまで投票を繰り返すという一見容易な試験内容である。
しかし、過去に高度育成高等学校の卒業生で、綾小路のクラスの担任である茶柱佐枝に大きなトラウマを残し、彼女がAクラスを目指すことに執着する最大の要因にもなっている。
また茶柱の同僚の星之宮知恵と真嶋智也も学生時代に受けたことがある試験で、特に星之宮に至ってはこの試験がキッカケで茶柱との因縁が続いている。
ルール
・学校側が出題する課題に対し、クラスメイト全員で用意された選択肢に投票する(出題される課題は全部で5問・選択肢は最大4つ)
・いずれかの選択先が満場一致にならない限り、同じ課題が繰り返される
・課題の途中で時間切れになった場合、その課題の進行具合は問わず一切承認されない
・満場一致でクリアとなった課題は特別試験の成否にかかわらず実際に承認される
・出題される全課題をクリアするとクラスポイントが50得られる
・5時間以内に全課題をクリアできなかった場合はクラスポイントを300失う
特別試験の流れ
①課題が出題され1回目の投票(60秒以内)を行う
②満場一致であれば次の課題へ進み①へ。不一致であれば③に進む
③10分間のインターバル(この間は教室内に限り自由に移動、話し合いが出来る)
④60秒の投票タイム(話し合いが出来ず、投票することしか出来ない)
(60秒以内に投票が終わらなかった生徒は累積ペナルティを受ける)
(累積ペナルティ90秒を超過してしまった場合、その段階で退学処分を受ける)
⑤投票結果が発表され、満場一致の場合は次の課題へ進み①へ。満場一致に至らなかった場合は③へ戻る。
これを繰り返し、5問の課題を終了させた時点で特別試験クリア。万が一失敗すればペナルティが発生する。
注意事項
・誰が『賛成』に入れたか、『反対』に入れたか等は全て匿名方式となる。今後の学校生活で生徒たちの遺恨を残さないように配慮されており、あくまでどちらの意見に何票入っているかが分かるだけである。
・この試験では一時的に『プロテクトポイント』の効力が無効となる。ただし、個人あるいはクラス全体で2000万プライベートポイントを支払う場合のみ退学を免れることが出来る。
・特別試験中は携帯など通信機器の類は全て回収する。この試験は外部と連絡を取ることで、不文律を生む可能性があるのでそれを阻止するためである。
・この試験で他の生徒に対し、特定の選択先に投票先を縛ったりするような契約等を行うことは禁止。これは他クラスだけでなく自クラスにも同等の効力を持つモノとする。
・上二つの事柄を破ると容赦なく退学措置が下される。
要点
・一つの課題に対して、クラス全員が『賛成』か『反対』かのどちらかを選び、満場一致となれば次の課題に進む。簡単に言えば、◯か×かを選ぶゲームを行い、全員がどちらか同じ答えを一致させるだけで良い。
・課題で賛成になったものはその後の学校生活で反映される。(例えばクラスポイントを5失うがクラスメイト全員が1万プライベートポイントを得るという課題で、賛成で満場一致になれば本当にそれが実行される)
・この試験の時の作中の月日は2年生編の9月で、3年間の学校生活で見ると折り返しの段階に来ている。つまり、ここでペナルティを受けて300クラスポイントを失うということは、Aクラスに上がることが非常に難しくなる。
難易度
恐らく今までの特別試験の中で最も低い。
その理由はクラス全員で意見を合わせるだけで、すぐに試験がクリアになるという点に尽きる。他のクラスと競い合うタイプの試験じゃないので、特に知恵や策略を練ることもなく、あくまでクラスがどれだけ一致団結出来るかがメインの試験となっている。
しかし裏を返せば、試験の性質上、クラスの総意に背く生徒が一人でも現れると難易度は過去最高レベルにまで上昇する。
何故なら、この試験の最大の肝はクラスメイト全員の意見を満場一致にする事なので、誰か一人でも他のクラスメイト全員と違う意見を投票していると課題がいつまで経っても終わらないからである。
そして時間切れになれば、300クラスポイントを失うので坂柳以外のクラスはAクラスに上がる可能性がほぼ絶たれる。
つまり、この試験の難易度を決めるのはあくまで生徒たち自身であって学校側ではない。
今まで培ってきたクラスのチームワークと、それを率いるリーダー達の手腕やカリスマ性が何よりも問われる試験内容となっている。
課題の一覧
※これらの課題5問全て、C(堀北)クラスで出された課題である。
課題①
・3学期に行われる学年末試験でどのクラスと対決するかを選択せよ(クラス階級の変動があった場合でも、今回の選択が優先される)
※( )内の数字は対戦時に勝利することで得られる追加クラスポイント
選択肢1 | Aクラス(100) |
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選択肢2 | Bクラス(50) |
選択肢3 | Dクラス(0) |
・分かりやすく言えば、他クラスの坂柳、一之瀬、龍園の誰と戦うかという選択肢である。ここで選んだ対戦相手が変更されることは無い。
課題②
・11月下旬予定の修学旅行に望む旅行先を選択せよ
選択肢1 | 北海道 |
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選択肢2 | 京都 |
選択肢3 | 沖縄 |
・あくまでCクラスだけの結果で確定する訳ではなく、残り3クラスの状況に応じて旅行先が変わる可能性もある。
課題③
・以下の中から選ぶ。
※どの選択肢が選ばれても、プライベートポイント没収期間は半年間続く。
選択肢1 | 毎月クラスポイントに応じて支給されるプライベートポイントが0になる代わりにクラス内のランダムな生徒3名にプロテクトポイントを与える。 |
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選択肢2 | 支給されるプライベートポイントが半分になり任意の1名にプロテクトポイントを与える。 |
選択肢3 | 次回筆記試験成績下位5名のプライベートポイントが0になる。 |
・プロテクトポイントを優先すれば、半年間貰えるプライベートポイントが消滅、もしくは減少する。
・プロテクトポイントを優先しなければ、次のテストの成績下位5人のみがプライベートポイントを貰えなくなり、それ以外の生徒は今まで通り貰える。
課題④
・2学期末筆記試験において、以下の選択したルールがクラスに適用される。
選択肢1 | 難易度上昇 |
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選択肢2 | ペナルティの増加 |
選択肢3 | 報酬の減少 |
・どれもクラスにとってはデメリットにしかならない意地悪な選択肢となっている。
課題⑤
・クラスメイトが1人退学になる代わりに、クラスポイント100を得る
(賛成が満場一致になった場合、退学になる生徒の特定、及び投票を行う)
選択肢1 | 賛成 |
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選択肢2 | 反対 |
・読んで字の如く、退学者を出さずに50クラスポイントで試験を終了するか、退学者を出して追加の100ポイントを得て計150クラスポイントで終了するかのどちらかである。
・クラスメイトよりクラスポイントを優先するなら賛成に票を入れるが、そうなった場合真っ先に賛成に入れた生徒が批判されるのは当然のことなので、普通なら全員で『反対』に入れて終わらせるべき課題である。
動向
・上記の課題④までは全てのクラスが難なく辿り着くが、最後の課題⑤のみに関しては坂柳以外のクラスが長時間議論している。
・綾小路たちCクラスの第1回投票結果では賛成2票、反対37票となっており、賛成の内1票が仲間よりもポイントを優先する高円寺だと発覚。
堀北が高円寺を説得するも、残りの賛成1票を入れたクラスの裏切り者が誰か分からないまま試験が続いていき、第11回投票結果まで賛成の1票が動くことはなかった。
・一之瀬のクラスでは神崎が、龍園のクラスでは時任が各々の目的と思惑があって賛成に票を入れ続け試験を続行させたが、最終的に双方ともリーダーに心を折られ反対に満場一致させている。
・坂柳のクラスは彼女一人の支配で統制が取れているため、すぐに反対に満場一致させ課題⑤を全クラス中で最も早く終了させた。
結末(ネタバレ注意)
綾小路たち以外の全てのクラスが課題⑤を反対で満場一致にし試験を終了させる中、未だに賛成1票に入れているのが誰か特定出来なかった。
業を煮やした綾小路はとうとう2票目の賛成を入れた。実は綾小路と堀北には、賛成に入れ続けている生徒に心当たりがあるらしく、このまま時間切れで300クラスポイントがマイナスになるよりも、賛成に入れ続けた一人を退学にさせる方向での考えで動くことにした。平田と堀北の両方を説得し、クラス全員で課題⑤を賛成で満場一致にする。
これによって、全クラスで唯一退学者を出さなければならなくなり、こんな状況になってしまったことで櫛田は、リーダーの堀北か賛成に満場一致するように誘導した綾小路のどちらかが責任を取って退学するべきだと涙ながらに訴えた。
しかし、軽井沢はそんな櫛田の意見に反対。そして綾小路と堀北に責任を押し付けようとする他のクラスメイトも真っ向から非難する。須藤も軽井沢の意見に同調し、最終的に匿名に胡座を掻いて賛成に入れ続けた一人が悪いという判断になり、綾小路がとうとうその生徒の名前を口にする。
「──櫛田、おまえだ」
今まで賛成に入れ続け、綾小路から名指しされた人物は櫛田桔梗だった。読者もほぼ分かっている状態で読み進めていたが、綾小路が名指ししたことにより櫛田は泣きながら言いがかりだと反論。
そして普段から櫛田と親しくしている友人たちは綾小路の主張を口から出まかせだとバッシングするが、綾小路は櫛田が中学時代に起こした過去、そして同じ中学出身だった堀北の退学をずっと狙っていたこと、更にクラス内投票に続き、現在進行形で綾小路の退学を狙っていることなど、あくまで合理的に説明していく。
最終的に櫛田を信じるクラスメイトたちからは証拠の提示を求められたが、綾小路は坂柳の一之瀬潰し以降から櫛田に狙われないようにする為に、自分が入手してきたプライベートの半分を櫛田に渡し続ける契約をしてきたことをクラス全体に暴露。証拠として携帯にその時の音声もあることで櫛田に後がなくなる。
櫛田は苦し紛れに入学当初に綾小路に胸を触られたことを彼の彼女である軽井沢に訴えるが、1年半もの月日が流れている現在では櫛田の制服に指紋も残っておらず確実な証拠とは言えなかった。
櫛田が用意してきた手札を完璧に潰す綾小路。ついに堪忍袋の尾が切れた櫛田は綾小路の胸倉を掴んで絶叫。クラスメイトたちも綾小路の完璧な証拠の提示を目の当たりにし、櫛田の本性を受け入れざるを得ない状況になった。
そして堪えるものが無くなった彼女は中学時代の再現の如く、今まで隠し持っていたクラスメイトたちの秘密を暴露し暴走。一気に櫛田退学の流れに傾くが‥‥。
──ああ、そうなのね。
やがて私は、1つだけ確実な答えに辿り着いた。
櫛田さんが今ここで退学になること。
それが『正解ではない』ということ。
そして今ここで櫛田さんを救える人物は、きっと私しか存在しないということ。
止まりかけていた刻が解凍し、秒針が再び動き出す。
なんと、そんな櫛田の退学に反対したのは彼女がずっと憎んでいたはずの堀北だった。
櫛田はクラスを裏切り続けていたが、備え持っている実力や人脈、有用性は確かな為、堀北はあくまで彼女を残す選択を取る。
試験終了までの制限時間が迫る中、堀北が櫛田を退学にしない方針を立てたことでクラスは更に混乱。
裏切り者を退学にしない以上、他のクラスメイトが犠牲になるしかない状況に誰もが納得が出来ないでいたが、その状況を見かねた綾小路が櫛田の代わりとしてクラスで最も能力値と貢献度が低い生徒を切ることを提案。そしてその基準になるのがOAAだとクラス全体に伝え、その上でこう発言した。
「このクラスで現在OAAが最下位の生徒は──佐倉愛里だ」
当然この言葉を聞いた長谷部は激怒。佐倉も想い人からの突然の裏切りに怯えるも、櫛田を退学させずにクラスポイントを維持すると犠牲が出てしまう以上、能力が最下位の生徒を切ることが最善の方法だと訴えクラスメイトたちも時間制限が迫り追い詰められた思考で、佐倉の退学に賛成の意を示す生徒も出始めた。
唯一、長谷部だけは最後まで佐倉を犠牲にすることを許せないでいたが、佐倉は綾小路に直々にリストラ候補として指名されたことで追い詰められ、自分の退学の賛成に投票して欲しいとクラスメイトに訴え自ら退学する道を選んだ。
最後は長谷部も佐倉の叱責に負け、賛成に票を入れて試験は終了した。
こうしてCクラスは佐倉愛里の退学に賛成で満場一致し、150クラスポイントを獲得して試験を終了させた。
試験の余波
上述の佐倉の退学で綾小路たちCクラスは150クラスポイントを獲得したことでBクラスに昇格。
一方で誰も退学者を出さない決断をした一之瀬たちBクラスは50クラスポイントしか獲得できなかった為、クラスポイントに差が生まれCクラスに降格した。
綾小路が佐倉を指名し退学させたことで、長谷部との関係は修復不可能にまでに亀裂が入り事実上、綾小路グループは崩壊した。
一方で長谷部は今回の試験で親友の佐倉が理不尽に退学させられたことで、その原因となった綾小路と堀北に対し強い復讐心を抱くことになり、三宅が現在進行形でそんな彼女を見捨てられない状態でいる。
また裏切り者の櫛田を残し、何の罪もなくただOAAが低いという理由で佐倉が理不尽に退学させられたことでクラスの士気は大幅に低下する。
そして櫛田の退学に反対した堀北と櫛田ではなく最終的に佐倉に退学の的を立てた綾小路に対し、数名のクラスメイトたちが不信感を抱くようになる。
加えて件の櫛田と長谷部、そして櫛田に平田への恋心を暴露された王美雨の3人が試験後の1週間は不登校になる。
しかし今回の試験で生徒たちが自分なりの答えを示し試験に正面から挑んだ姿勢に、茶柱佐枝は大きな影響を受け、何としてもこのクラスをAクラスに上げるべく担任として彼らを支える決意をするなど、今までの彼女からは想像もつかない程に本当の意味で大人へと成長した。
そして今回の件で不運にも退学することになってしまった佐倉は、退学処分を受けた後で自身のプライベートポイントで何かを購入したみたいだったが‥‥?
読者からの評価
試験そのものに対する評価はクラス内投票と並んで非常に高いが、各クラスのリーダーたちの選択に対し評価の振れ幅が非常に大きい。
坂柳有栖はほとんど平常運転で試験を終わらせたので特に言及される事も話題に出されることもなかった。強いて言えば、全クラスで最も早く試験を終わらせたことに関しては彼女の支配力と統率力を改めて読者に見せつけた形になった。
一之瀬帆波は彼女含めて、神崎以外のBクラスの生徒全員が退学者を出さずクラスポイントを貪欲に取りにいかないという勝ちの姿勢を見せない態度に、現状への危機感の欠如や楽観的な姿勢から不満を抱いたり憤慨した読者は非常に多いという結果になった。
逆に龍園翔は自分に反抗心を抱く生徒の主張を折りつつ、尚且つ誰一人犠牲者を出さずに自分の支配力を強めて綺麗に試験を終了させたことで、この試験において、全クラスで読者から最も評価されたリーダーとなった。
そして綾小路と堀北が終盤にとった行動は賛否が非常に分かれ、未だに議論対象になっている程である。裏切り者の櫛田を残してまで何の罪もない佐倉を犠牲にする必要はあったのかと至極当然の主張する読者もいれば、この学校が生徒を実力で測る以上は佐倉の退学も仕方ない結果で最終的に最善の方法で試験を終了できたと合理的に評価する読者もいる。
とはいえクラス内投票の時と違って、後味の良い結果とは言えずに終了した試験である為、こちらも色々な意味で読者の記憶に強く残った試験と言える。
関連タグ
綾小路清隆 堀北鈴音 櫛田桔梗 軽井沢恵 平田洋介 佐倉愛里 長谷部波瑠加
クラス内投票‥‥生徒の退学がかかった試験で、こちらはほぼ確実に各クラス1名が退学するという超鬼畜ルールとなっている。
リストラ‥‥社会に出れば良くある事例の一つ。不景気下の日本企業で最も能力の低い社員、もしくは貢献度の低い社員が人件費の観点から切り捨てられてしまうのは企業側にとっては仕方のないことだと言える。