より迅く、より高く!
概要
エア・トレック(AIR・TRECK)とは、正式名称「Active Industrial Revolution Technology Repair Earth Carbon Knock-off」。通称「A.T」。
構造
コンピュータ制御で4kWの出力が出せる超小型モーターをホイールに組み込み、高性能のサスペンションとエアクッションシステム(油圧クッションタイプもある)で武装した自走シューズ。(平均的な原付バイクが3 - 5kWの出力である)
基本構造
・ホイールモーター
・エアクッションシステム
・バッテリー&制動エネルギー回収システム
の三つのパーツで構成されている。
ブレーキシステムは、底面についているスイッチで全ロックするタイプが殆ど。(メーカー、機種によって違いはあるが)走行中はスピンターンという技術で停止するのが普通。
A.Tが「飛ぶ」のを可能にしたのは、クッションシステムである。(ノーマルA.Tでも5~6m程飛ぶことが可能らしい)
インラインスケートと同様で、ホイール数が多い方がハイスピードタイプとなるが、パーツの組み合わせやバランスによっても変わるので必ずしもその限りではない。
走り出す基本は、装着者の脚力、地面を蹴る力にアシストモーターが反応しホイールが回転・加速する。なお、ノーマルのA.Tは時速80キロ程でるらしい。
(単行本一巻、二巻より)
別名"自由への道具(エア・ギア)"
A.Tを使って決める(魅せる)技のことを「技(トリック)」と呼ぶ。
スポーツ用品店などで市販もされており、分類は「スポーツ遊具」。基本はシューズ型。形状は通常のローラースケートのような二輪の"ウィール式"、その派生で片方につきタイヤが一つしかない"ワンウィール式"、扱いは難しいが独特の走行感と機動性が魅力の、球体型のタイヤを持つ"ボゥローラー式"などがある。
しかしA.Tは非常に高価で、単行本一巻のあとがきによると、イッキのA.Tの値段は12万8500円。ちょっとした原付バイク並の値段である。
A.Tのメインユーザーはお金に余裕のない若年層が殆どで、パーツも高価。そういうライダーの為にメカニックチームトゥール・トゥール・トゥが、公園などで無償メンテナンスを行ったり、「アヘン窟(グラン・スラム)」という「ジャ婆」とコロ爺が営んでいるレアショップがあり、それらを利用しているライダーが殆どである。
また、「NHA」、「NFA」(National Foot Air-League)というA.Tを使ったプロリーグまで存在している。
「NFA」はA.Tを使ったラグビーに似たスポーツで、十巻でイッキの先輩で喧嘩の師匠であった、咲真琴(さくら まこと)という選手が出ている。これらは今や国民的なスポーツとして認知されており、海外でも盛んらしい。
A・Tの踵の部分にはメモリースティックが内蔵されており、走行距離やエアの記録、これまで使用した技などの"走りの記憶"が常に保存されていく。メモリースティックは電脳空間ロン・ホーツ・ボーン・街を通じて世界中とリンクしており、メモリーデータに詰まった"ライダーの魂"が厳重に保管されている。
だが物語が進むに連れて、シューズ型以外のA.Tアーマー、A.Tギブスなどの走る以外の目的で作られた兵器等も登場する。
本来の姿
元々A.Tは「ロストエネルギー問題」の対策としてエネルギー発生時に生まれる無駄になっている「損失エネルギー」回収技術「コジェネーション」思想に基づき作られた、超高能率エネルギー回路とロストエネルギー回収機構である。
その機構を最大限に効果的に活用出来る特殊能力者が重力子。
つまりA.Tは重力子とセットになって初めて本来の目的である「コジェネーション」をはたせるのである。
しかしそれには莫大な費用とコストがかかり、更に重力子の逃亡等で、研究が行われていた「塔」からA.T技術が世界中に広まり、今やA.T機構は自走シューズだけではなく、軍需、通信産業の根幹に使われている。
暴風族(ストームライダー)
A.Tを使って飛ぶ者たちのことを「暴風族(ストームライダー)」(ライダーとも略される)と呼び、複数のメンバーが集まった暴走族のようなチームを結成している。
この物語の主人公の南樹率いる「小烏丸」も暴風族である。
近年、暴風族同士の抗争等で死傷者が後を絶たなく、社会問題にまで発展。そして「暴飛靴新法」が施行。警察に「特殊飛行靴暴走対策室」通称マル風Gメンが設立される。室長は鰐島海人。
「レガリア」と「王」
ライダーの中でもA.T技術がずば抜けており、更に「レガリア」(漢字で書くと玉璽)と呼ばれるこの世に一つしかない特別な部品(パーツ)、またはA.Tを所有している者は「王」と呼ばれる。
また、レガリアを持っていなくとも、戦レベルが80を越えると「王」と認知される。
もともと玉璽(レガリア)は、第一世代の“重力子”の内、旧・眠りの森に集まった者が、「塔」から出たときに持っていた本人たちに合わせて作られたA.Tのことを指す。
つまり第一世代の“重力子”が持っていた28個のA.T全てが同等の力を持つ玉璽とも考えられる。
レガリアは第一世代の重力子分の28個あったが、その内の20個は武内空が自身の「風のレガリア」の「バグラム」に取り込んだ(南博士曰く「食べちゃった」)ので、現存するオリジナルレガリアは8個しかない。
このせいで、【8本の道と8個のレガリアが集いし時、天空の塔に伝説の「空の王」が降臨する】という伝説が生まれた。(正確には、空と南博士が意図的に流布した)
残りの8個のレガリア(正確にはレガリアの量子暗号)を手に入れ、28個全てのレガリアの暗号を手に入れた時、塔の最奥部に眠っている空のレガリアが完全起動し、世界中のあらゆる軍需・通信・産業などに使われているA.Tを”強制接続”、”強制管理”でき、武内空は「空の王」として君臨する。
それを阻止するために「眠りの森」のキリク達は8本のレガリアの量子暗号と空のレガリアを管理し、守ってきた。
現存する8個のオリジナルの玉璽は以外は「擬似玉璽(サブレガリア)」と呼ばれる本物の劣化コピー版である。
"眠りの森"の王が用いている玉璽は全てこの「擬似玉璽」のため、玉璽の方が林檎たち重力子の能力に完璧にはついて行けない。そのため“眠りの森”に限らずレガリアを使う「王」には「調律者(リンクチューナー)」は必要不可欠な存在である。
8つの役目
本来、A.T機構は上記の様に損失エネルギー回収の為に造られたが、レガリアは、「CERN」に所属していた南博士が重力の法則に逆らい無効化、制御し「重力から解き放たれ自由になるため」(南博士は「神に喧嘩を売る」と表現)造られた。
その為、それぞれの8個のレガリアには重力に抗う役目が設定されている。
- 轟のレガリア=遠心力
- 炎のレガリア=振動
- 牙のレガリア=推力
- 石のレガリア=自由落下
- 雷のレガリア=電磁力
- 風のレガリア=揚力
- 棘のレガリア=逆流重力、つまり重力の方向性
- 契のレガリア=上記7つの能力を連結する接続回路
これらが揃うと「空のレガリア」が発動し、重力を完全に制御できるようになる。
王が走る道や使うレガリアは、この8つのうちのどれかに必ず分類される。
この8本の道(暗号)が揃うことで空のレガリアは完成するはず・・・だったが、そこにイッキの持つ「嵐のレガリア」、即ち「9本目」の道が現れる。
そしてシムカは言う。
「9本の道がなければ、”空のレガリア”は完成しない」と……
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