イタリア版クルセイダー?
制式呼称は『Celere Sahariano』(訳:サハラ快速戦車)だが、これは日本語読みの表記揺れが激しく、『セレラ・サハリアノ』『チェーレレ・サハリアノ』などといったものがある。
最もイタリア語の発音に近いのは『チェーレレ・サーリアノ』かもしれない。
イタリア軍は従来の自軍戦車よりも砂漠戦に適したイギリスの巡航戦車に対抗すべく、1941年5月ごろからサハラ砂漠向けの新型としてサハラ快速戦車の開発を開始。
1942年に完成した試作車はイギリス巡航戦車とは異なり装甲の傾斜配置が本格的で、それでいて車重13.5トンで路上最高速度70km/hを発揮する正真正銘の快速戦車として完成された。
しかし、戦況の逼迫により既存の戦車生産ラインを割く余裕のない当時のイタリアでこれの量産は叶わず、最終的にお蔵入りとなってしまう...。
『クルセイダーのパクリ』というデマ
M16/43 | クルセイダー巡航戦車 |
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M16/43の開発はクルセイダー巡航戦車の実戦投入よりも早くから本格化している。
つまり、俗に言われる『サハリアノはクルセイダーの模造品』などという逸話は全くのデマで、実際のところ、両者の外見・性能はまるで似通っていない。唯一の共通点は低車高くらいなものである。
ただし、想定された運用法や立ち位置がクルセイダーに近いというのは妥当な評価で、この視点からすれば『両者が似通っている』という論も誤ったものとは言えないだろう。