開発
イタリアが戦間期のスペイン内戦で投入した主力のCV33豆戦車は相対したソ連製のT-26中戦車やBT快速戦車と比べて非力だった。
この戦訓を取り入れ、より強力な戦車を必要としたイタリア陸軍は、中戦車戦力の拡充に取り組むこととなる。
このような経緯のもと開発され、1939年に制式化したM11/39中戦車は、同時期の他国中戦車とは一風変わった形態の車輌として完成した。
特徴
車体右側に旋回範囲の限定された40口径37mm砲を、車体上部の全周旋回銃塔に機関銃2挺を搭載するという形態の車輌だった。
似たように車体に主砲を備える車輌はM3中戦車やB1bisでも見られるが、それらも含めて同時期の戦車のほとんどが砲塔を備えていた中、本車の銃塔は明らかに特異だった。
なお、後継のM13/40は砲塔を備えている。
搭載エンジンは被弾時に発火しづらく燃費も良いディーゼルだった。
ディーゼルエンジンの採用は、当時の西欧諸国では珍しい事例となっており、以後のイタリア戦車のほとんどにもディーゼルエンジンが搭載されることとなる。
運用と実戦・評価
約100輌が生産され、1940年に北アフリカ戦線で初陣を迎えたが、戦車砲相手には不足していた装甲のために大きな損害を受け、大半の車両が戦闘で失われてしまった。
かろうじて生き残った車両も、旧式化のために翌41年中には退役した。