概要
アイテム番号 SCP-1730
オブジェクトクラス 旧Euclid NEUTRALIZED
SCP-1730とは、怪奇創作サイトSCP_Foundationに登場する異常存在の1つである。
メタタイトルは、「サイト-13に何が起こったか?(What happened to Site-13?)」。
このSCPオブジェクトはアメリカ・テキサス州に位置する、財団のSCPオブジェクト収容施設「サイト-13」である。以後「サイト-13」と呼称する。
このサイトは地下が収容設備を兼ねた事務施設と、12基もの原子炉を備えた発電施設、この大きく2つの建物から構成されているのだが、
どうやら長い間放棄されていたらしく、非常に荒れ果てた廃墟となっている。
しかしこの「サイト-13」、本来であればSCP財団には存在しないはずの幻のサイトである。
建設計画はあったのだが、それよりも先に「サイト-19」の建設計画が始まったために計画は中止されていたのだ。
当然運用される事もなく、施設やスタッフも存在しないはずである。この「サイト-13」がそこにあった事実すら、本来はないのである。
手始めに「サイト-13」の周囲の植生を検証した結果、アラスカの固有種である事が判明。
まるでアラスカからテキサスに飛ばされたかのようにも見えるが、問題は「サイト-13」が、激しく荒廃しながらも収容サイトとして稼働し、運営されていた事実にあった。
要するに、この「サイト-13」の中には財団が把握していないオブジェクトが野放しになってしまっているのである。
無人機探査による調査では、施設内部の壁に
- 危険(danger)
- 死の恐れあり(death here)
- 自分の身体じゃない(not my body)
- 出血(bleed)
- サイト-13に何が起こったか?(What happened to Site-13?)
というメッセージが確認された。
この時点で不穏さマシマシである。
有人を含めた探査を繰り返し、三つの機動部隊と無人機1基を失った末、財団は「サイト-13」についていくつかの情報を入手した。
この「サイト-13」では、大規模な収容違反が発生していた。
そして「スレッシャー(Thresher)」なる装置が存在しており、プロトコル・スレッシャーなる収容プロトコルが発動された事が判明する。
サイト内部には謎の「猛毒の泥」が堆積しており、発見された職員は全員が死亡していた。そしてその中には、財団の問題児ことブライト博士の「残機」と見られる女性もおり、博士の本体であるSCP-963(不死の首飾り)が破壊されているのが発見された。
現況においてブライト博士も、SCP-963も存在しているのに、である。
その後の調査記録や発見された文書から、判明した事実。それは、
「サイト-13」は、gocに財団が併合されている世界に存在した収容サイトだった。
その世界において、アノマリーを使ったテロが発生。これを止められなかった財団の存在意義に対し、資金援助の立場にある人物が疑念を持った結果、財団に対する資金が打ち切られてしまった。
お財布を失った財団を世界オカルト連合と併合させる案が浮上し、可決される。当然財団は抵抗したが、後の祭りだった。
そして、GOC色に染められたSCP財団が運営する「サイト-13」で起きた事。
それはSCPオブジェクトの「確保・収容・保護」ではなく、「確保・収容・破壊」であった。
声なき無機物であるSCPオブジェクトであろうと、人格を持つヒューマノイド型SCPであろうと、例外なく。その為に財団職員には個を否定する番号まで割り振られていた。
能力を見極める「実験」の末、破壊されたSCPオブジェクトは「ボディ・ピット」と呼ばれる施設で焼却され、この世から抹消された。
その中には実験を拒否して終了処分されたもの、拷問に等しい実験の末に命を落としたものもあった。死亡するたびに別のSCPオブジェクトの作用によって蘇生され、何度も殺されたものもあった。
そこには、倫理の二文字など存在しない。倫理委員会はとうの昔に機能していなかった。
懐疑的な声を上げた者もいたが、声を上げた古参委員長ジェレマイア・シンメリアンが消されると、黙るものがほとんどだった。
「ヒトのカタチをした異常な存在」に対するこうした扱いに対し、現場責任者であるベラ・ハドレー博士は抗議の声を上げたが、GOC色に染められた財団上層部はこれを一蹴。ハドレー博士は降格され、公衆の面前で裸にされて検査された後、暴行を受けた事が明らかとなる。
だがしかし。
異常な存在を終了して燃やしたら異常性は消えるのだろうか?
そして「サイト-13」は、その管理官であるエリオット・エマーソンは、その浅はかな行動のツケを払わされることになった。
尊厳を破壊され尽くした、ハドレー博士の反逆によって。
発電施設で二つだけ稼働していた原子炉は「ボディ・ピット専用のコア」であり、補強によって半ば無理矢理機能を維持していた。
しかし送り込まれ続けるSCPオブジェクトの残骸の山を前に、遂に「ボディ・ピット」は故障し、バキューム現象で猛毒の水が流失した。サイト内で発見された泥の正体はこれである。
ハドレー博士は「エリヤ」(2歳未満の知能しか持たないヒルのように血をすする人型実体)と呼ばれた人型オブジェクトを匿い、「ボディ・ピット」の泥でもって「エリヤ」をパワーアップ。自らは「エリヤ」と融合し、多数のSCPオブジェクトの収容違反を引き起こした。
認識災害系のSCPの収容違反、大規模火災などが同時に起こった結果、生き残ったエマーソン管理官は最後の手段として能動的に現実改変をする機械「スレッシャー・デバイス」を起動。脱出して収容違反を上に報告する選択肢もあったが、失態がバレる事よりも自分ごと消え去った方が良いと思考するくらい、余程上層部が恐ろしかったらしい。
「スレッシャー・デバイス」によって現実性が薄れた「サイト-13」は、アラスカから別世界のテキサス、つまり「こちら側」に転移したのである。
都合三度の探査で甚大な損害を受けた財団は、その後の調査を見送っていた。
が、2016年2月1日、作者が一度目の大規模加筆を実行。
それは、「サイト-13」から届いた「通信」という形から始まった。
こんにちは。私はムハンマド・スコット博士。SCP財団サイト-13時間研究部門の研究員だ。
それは「サイト-13」の、「向こう側」の財団職員からの救援を求める通信だった。
彼は僅かに生き残った同僚と共に内部に立てこもっているが、弾薬も食料も尽きつつある絶望的な状況にある事が判明する。
スコット博士と同僚の救出は、そこから得られる情報による「サイト-13」の起源やその対処法の検討において最重要となる。
かくしてO5評議会は特別収容プロトコルを改定し、生存者を救出する部隊の選定と編成を開始した。
犠牲の果て、スコット博士とその同僚たちは救出。そして「サイト-13」内部では「エリヤ」を始めとしたSCPオブジェクトとの壮絶な死闘が繰り広げられた。ログではエマーソン管理官の成れの果てと思しき存在も確認できており、死ぬ事も出来ずに生きたまま焼かれ続けている様子が描かれている。
そんな中、異常事態の原因であり、今なお稼働するスレッシャー・デバイスを停止させるべく、ゼータ-9隊長とタウ-5隊員が我が身を犠牲にする。
その後、生存者たちを伴った機動部隊が地上への脱出に成功。そしてサイト周辺の領域が視覚的に歪み始めると、突如として消失。後には直径1kmを越す広大なクレーターが遺された。
これをもって、SCP-1730のオブジェクトクラスはNEUTRALIZEDに変更された。
2017年9月、二度目の大規模加筆が「ミッションデブリーフィング報告」という形式で行われる。
これによってスコット博士が語る「向こうの世界」での出来事が明らかとなり、多数のSCPオブジェクトの存在が語られるに至った。
SCP-1730に登場する異常存在
- 「エリヤ」
2歳児未満の知能しか持たないが、ヒルのように血をすする人型実体。サイト-13が放棄された後に巨大な怪物と化して救出部隊に立ちふさがる。
- ハドレー博士の成れの果て
イカれた財団に愛想を尽かして暴走した常識人。だけどエリヤの舌と融合して、アノマリーに成り下がった。
- 無人機で撮影された人型実体
人を燃やす記号を書く超迷惑アノマリー。機動部隊に目玉をぶち抜かれて終了された。
- マリドラマギウアン
腕が多すぎる巨大人型実体。頭部は円形のなんかになっていてエマーソン管理官がアノマリーを散々痛めつけた仕返しに磔&火炙りの刑に処されている。なんかヤバい記号が鎖に書かれてるらしい。
- 水晶蝶
こちら側の財団にも似たようなやつがいる。集団で切り裂いてくる。
- アブラハムの神
クレフ博士の提言によく似たアノマリー。*太陽と同じ熱を持った剣で、エリヤをギロチン送り未遂にまで追いやる。
- 鹿神様
現実改変で人を柱とかに置き換える、シシ神もどき。
- ヒルたち
エリヤの愉快な仲間たち。テレパシーでお互いの位置を探る。
- ピエロのボブル
SCP-993に酷似した(おそらく平行同位体)実体。テレビカメラ越しに救出部隊にサイト-13に何が起こったか、エマーソン管理官が何をしたかを、ブラックジョークを交えながら語る。
- 困らせルボット
SCP-1370に酷似した人型ロボット。機械類や瓦礫を組み合わせて作った5mくらいのロボットに乗る、自称「告げる者」。相変わらず雑魚。
余談
SCP-1730は、数あるSCPオブジェクトの中でもトップクラスに難解な記事として名高い。
関連タグ
SCPオブジェクト SCP-3999難解なオブジェクト繋がり。