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SCP-4217

えすしーぴーよんにいちなな

SCP-4217とは怪奇創作サイト『SCP Foudation』に登場するオブジェクトの一つ。
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概要


SCP-4217は怪奇創作サイトSCP_Foundationに登場するオブジェクトの一つ。メタタイトルは「Contain the Bismarck!」、日本語に訳出すれば「ビスマルク号を牽制せよ!」となる。オブジェクトクラスはKeter。


SCP-4217は、第二次世界大戦中にドイツ海軍が運用していたビスマルク級戦艦一番艦ビスマルクそのものであるSCP-4217-Aと、その内部機関と融合した巨大な頭足類SCP-4217-Bからなるオブジェクトである。船楼の根本からは一対の眼が飛び出しており、船尾を貫通して100〜200mの長さがある12本の触手が生えている。更には主砲8門、副砲44門、対空砲12門を制御下に置いており、タービンを操作して海上を40ノット近い速度で航行することも可能である。ただ本体はイカなので、海中では普通に漏斗から水を噴射して泳ぐ。


普段は水深500〜1100m付近を遊泳しているが、時折浮上し非武装の民間船を襲うというUボートさながらの生態を持つ。また、攻撃を加えられ損傷するとビスマルクの重装備で反撃し、そうでなくても9時間後程度で再び浮上してくるためタチが悪い。


なるほど、Keter指定も頷ける奇械生物であるが、実はSCP-4217が登録される以前、この番号に割り当てられていたのは沈没以前の戦艦ビスマルクそのものであった。


「な、なんだってー!?」


経緯


現版のSCP-4217の補遺1には旧SCP-4217の報告書が付属しているが、それによると戦艦ビスマルクは少なくとも衝撃を軽減する奇跡論図形」「敵艦の同士討ちを誘発するサイオニック・フィールド」「自己再生能力」「変異原性ガス弾を搭載していたことが判明している。これらは潜入工作員の入手した情報と僅かな交戦記録から判明したものであり、実際の兵装の全貌は明らかではない。無論、オブジェクトクラスはKeterである。


一応、ドイツ国内に潜入していたエージェントによって、当初からこの超兵器の建造計画は財団によって把握されていた。また、試験航行の際の挙動が不安定だったことから、1940年9月にビスマルクを完成する前に破壊すべく作戦部隊を投入した。が、作戦準備完了の報告の後に部隊との連絡が途絶、実行されたのかも分からぬままこの作戦は失敗と判断された。そこでやむ無く、O5議会はイギリスにビスマルクの存在と危険性を公表することを決定した。しかし、その翌年の5月にスウェーデンの哨戒機がビスマルクを発見し、その報告を受けたイギリスがフッドプリンスを主とする艦隊を迎撃のため出撃させてしまう。財団も担当者を同乗させて作戦に協力するが、その結果は明白なものと思われた。


しかし、向かった海上でビスマルクのものと見られる重油痕が発見される。どうやらビスマルクが損傷していることが明らかになると、希望が見えた財団側がにわかに活気付き始める。SCPにより奇跡論図形を無効化する改造が施された魚雷が多数投入され、結果としてバリアを無効化されたビスマルクは英国艦隊の袋叩きにあって沈没してしまった。その後、乗組員121名と漏れ出した毒ガスによって変異した元人間の遺骸74体分が回収されたが、1500人近い乗組員が行方不明となった。妙な後味を残しつつ、超兵器ビスマルクとの戦いは終わりを告げたのであった。


その後、1984年に財団の機動部隊によって潜水艦を用いたビスマルクの残骸の調査が行われた。しかし、潜水艦からは救難信号が送信された後行方不明となり、潜水班によりブラックボックスが回収された。そこに記録されていたのは、異様に保存状態の良いらしいビスマルクと、内部に潜む謎の生物の存在。つまり冒頭のSCP-4217-Bである。早速移動を始めたSCP-4217が二隻の貨物船と一隻の客船を沈めると、財団も戦艦ビスマルクの精巧なレプリカを沈めて隠蔽工作を行い、ここに財団と超兵器改め超生物となったビスマルクとの第二ラウンドが開始された。


事案


旧SCP-4217に搭載されていた変異原性の毒ガスであるが、本報告書の補遺2、ソ連傘下の要注意団体である[GRU "P"部局]が収集した資料に開発の経緯らしき記述がある。それに従えば、作成元はナチスの超常研究部門であるアーネンエルベ、「不死身のクローンヒットラー」ことSCP-2430を作成した組織である。行方不明になった1500人近い乗組員はこのガスの原液である「Compoud 17」に直接暴露し、周囲の海洋生物ごと変異融合してSCP-4217-Bと化したらしい。


そして補遺3、1993年に実施されたSCP-4217封じ込め作戦時の記録である。攻撃を加えられた後、再浮上したSCP-4217が反撃せず動きを止めたため、不審に思った財団所有艦の艦長が無線によるコンタクトを試みた。


「……混沌」


「……理解し、多くを想起した、……混沌」


艦長との複数のやり取りの後に、一本の映像が送信されてくる。映像の内容は20世紀初頭のドイツの街並みや演説するヒトラー、イギリスの空母母艦アーク・ロイヤル、財団の所有する戦艦SCPS シーザー、そして木星の接写映像である。乗組員やSCP-4217-Bとしての記憶の中に、知覚できる筈もない木星の映像が混入してくる。


「……赤い雲、赤い嵐」


映像の視点は木星の大赤斑へと接近していく。そして、「故障中の宇宙戦艦」ことSCP-2399を映し出す。そしてアーク・ロイヤルに、そしてSCPS ネメドに画像が切り替わる。


この後、再びSCP-4217が無線に応答した事例は確認されてない。








































余談(ネタバレ注意!!)


元記事のディスカッション欄には著者であるGentleman Thief氏自身によってスポイラーが投稿されている。それによると生体宇宙船が太陽系観光で大赤斑を訪れた際にSCP-2399に迎撃され、満身創痍で地球に不時着した宇宙船を、ナチスが動力源としてビスマルクにドッキングさせたのがそもそもの発端らしい。結果として傍迷惑な重武装クラーケンが生み出されたことを鑑みると、不注意でSCP-2399に接近した宇宙船とそれを安易に戦艦に組み込んだナチスの責任は重い、のかもしれない。


CC BY-SA 3.0に基づく表記

SCP-4217- Contain the Bismarck!

著者:Gentleman Thief

公開年:2018

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