概要
セントルイスからニューオリンズへと向かう外輪船「デルタ・プリンセス号」で起こった殺人事件を、たまたまそこに居合わせた探偵であるチャールズ卿が助手のワトソンと共に犯人を推理し、解決するゲームである。
しかし難易度は非常に高く、容疑者たちは1度しか話をしてくれずに同じ事をもう1度聞くと「もういいました」と言われてしまう。しかもワトソンが取るメモは証人1人につき3つまでしかキープ出来ない。要するに重要なメッセージを見逃してしまうと再度、聞く事も出来ずメモを取る事も不可能になり完全に手詰まりとなってしまう事もある。
また、このゲームで有名なのが船の中にある理不尽なトラップで、1号室には何故か落とし穴があり、それにハマると即ゲームオーバーになる。しかも、1号室だけでなく14号室にもある。
そして、16号室ではどこからともなく突然ナイフが飛んできて、それをよけないと頭に突き刺さりゲームオーバーになってしまい死体を発見する前に死体になるという珍事が発生する。
なお、事件が解決しても、これらのトラップを用意した人物・目的・理由は謎のままという理不尽ぶりである。
登場人物
- チャールズ卿
本編の主人公で探偵。上記の理不尽なトラップや難易度にもめげず、船内で発生した殺人事件の解決に奔走する。
- ワトソン
チャールズの助手。某探偵の助手との関連性は不明。チャールズがトラップに掛かり死ぬとメタ発言をする。
- ブラウン
4号室で遺体で発見された本編の被害者。ネルソン船長の共同経営者で金持ちの紳士。だが何かしらの後ろ暗い過去がある。頭の辺りから血が点々としている遺体のグラフィックをラーメンマンのような弁髪をしていると勘違いされる事が多い。
- ネルソン
デルタ・プリンセス号の船長。ある人は誠実な正直者と言い、ある人は厳しすぎて評判が良くないと言う、裏表のある性格らしい。部下であるヘンリーに対して普段は厳しい態度を取っているようだが、内心では家庭環境に対し同情していたり、仕事ぶりを褒めている。
- カーター
9号室にいる乗客で判事。たいへん地位の高い人物が関係する重大な秘密事項にもとづいて旅をしている様子。自他ともに認める大酒呑みで、ネルソン船長に能無し呼ばわりされるなどヘレン以外の登場人物の評判はかなり悪い。
- ディジー
2F 20号室にいる乗客で若くて可愛い女性。ニューオリンズのパールおばさんのところにいく途中。テーラーからは売春婦と呼ばれている。当初は他人に興味がないそぶりで、他の登場人物について聞かれても知らぬ存ぜぬの一点張りだが、話が進むにつれ他の登場人物同様好き嫌いをはっきりさせてくる。
パールおばさん直伝のオクラのスープは他の乗客達からも好評。
- ヘレン
2F 23号室にいる乗客で上流階級の婦人。たくさんの洋服や宝石とともに旅をしており夫を亡くした未亡人。地位や財産を鼻にかけ、それらを持たない人間を徹底的に侮蔑する極めて尊大な性格をしており、カーターを除く他の登場人物の評判は当然ながらかなり悪い。デイジーの事を知り合ってからなぜか気に入ったようで、褒めちぎっている。
- テーラー
2F 20号室にいる乗客で若くて色っぽい女性。ネバダ出身でカーターとヘレンを除く周囲からの評判は良好。ウィリアムにはよく寄付をしているらしい。
- ウイリアム
2F 15号室にいる乗客でボランティアで世の中を平和にしようと考えておりとある施設に多額の寄付をしているらしいが、ピストルを所持しており毎朝鳥を撃つという物騒な習慣がある。現金な性格でもあり、寄付に興味がなかったり、金を持っていなさそうな人間に対する態度は極めて冷淡。過去に犯罪歴があるという噂も存在する。
- ヘンリー
1F 27号室にいる乗客で殺されたブラウンの息子(正しくは私生児)。ブラウンとは不仲で船員として働いており、テーラーに想いを寄せている。
上記の通り登場人物同士の人間関係が極めて険悪。お互いに相手を侮辱する言葉や見下したような発言をしており、あと2~3人被害者が出てもおかしくない状況なのだが、何故か被害者はブラウン氏のみ。
謎を解いてからの展開に面喰った人も多いだろう……。
クソゲー
本作は元々アクティビジョンから1986年にコモドール64やAppleⅡ用として発売された『Murder on the Mississippi』をジャレコがライセンスを得てローカライズ移植したものである。原作と同年にファミリーコンピュータ版が、その翌年にMSX2版も発売された。因みに、ファミコン版はポートピア連続殺人事件に次ぐ2番目のファミコン用推理ゲームソフトでもあった。MSX2版はタイトル画面や聞き込み画面の顔グラフィックが書換えられていたりなどFC版とは差別化が図られている。
この中で最も有名と思われるジャレコ移植のファミコン版は動作が非常に遅く、理不尽なトラップが追加された上に、セーブやパスワードがなく、ゲームオーバーにならなくてもメモを取り忘れる等手詰まりになったら最初からやり直さねばならないなど、残念な出来になっている。
古いゲームのため、元々のコモドール64やAppleⅡ版にも不親切な点はあるのだが、ファミコン版はそれに輪をかけて不親切になっており、クリアを断念する人が続出。
そしてクソゲーの烙印を押されることになってしまった。
実際、つまらなさの観点ではファミコンゲーム史上屈指のクソゲーと言える。
関連イラスト
ミシシッピイラスト
ナイフトラップイラスト
落とし穴トラップイラスト
※ゲームのストーリーより前述のトラップだけが記憶に残ったプレイヤーの方が圧倒的に多く落とし穴に落ちたり、ナイフが刺さるイラストに、このタグがつけられる。
余談
双葉文庫から「ミシシッピー殺人事件―リバーボートの冒険」というタイトルでゲームブックが発売された。原作の後日談的な内容で、主人公はジムとラリーというオリジナルキャラクターになっている。
コモドール64とAppleⅡ版には乗客としてファミコン版ではカットされたゴドウィン牧師というキャラが存在している模様。
関連タグ
QTF:「理不尽なファミコンゲームを振り返る」と言うエピソードで紹介されている