概要
任天堂がファミリーコンピュータディスクシステム用に開発したコマンド選択式推理アドベンチャーゲームシリーズ。
良質な音楽とシナリオが織り成す叙情的展開が話題を呼び、未だに根強い人気を誇るデジタルサスペンスゲームの傑作の1つに数えられる。
構成
坂本賀勇脚本の『消えた後継者』『うしろに立つ少女』、中田雅康脚本の『雪に消えた過去』から成る三部作。
スーパーファミコン用衛星データ放送受信ユニット『サテラビュー』で配信された『雪に消えた過去』を最後にシリーズが途絶え、以降も前2作品のリメイク版および移植版がリリースされるだけで完全新作の開発はされておらず、特に期間配信制でゲーム作品データを提供していたサテラビューで発表された『雪に消えた過去』に至ってはリメイクも移植もされていないために「幻の作品」とされている。
第一弾の『消えた後継者』ではシリーズの方向性を決定付け、第二弾の『うしろに立つ少女』では主人公と空木俊介の邂逅を描いた過去を、第三弾の『雪に消えた過去』では主人公に代わってヒロインである橘あゆみに焦点を当てたシナリオが展開され、そのどれもが強い繋がりを持ち、且つ推理アドベンチャーゲームでありながら「若年の探偵助手が奇怪な伝承になぞらえた殺人事件の解決に臨む」という奇抜な設定に基いている。
このうち、スーパーファミコンで展開された『うしろに立つ少女』リメイク版と『雪に消えた過去』にはゲームの進行具合に関連するおまけ要素があり、前者は調査の行動傾向によって判定される「性格診断」と時々のコマンド選択に隠されたフラグ回収率を集計する「相性診断」（あゆみちゃんとのラブラブチェック）が、後者は配信制限時間内にどれだけの情報収集に成功したかが累積パーセンテージで表示される「捜査指数」が搭載されている。
なお、各作中には衝撃的な一幕を見せる場面が多々登場するため、プレイヤーによっては「みんなのトラウマ」に位置付ける畏怖の対象となっている。
主要人物
主人公
『空木探偵事務所』専任助手。17歳。
赤子の頃に八束町の孤児院に保護されて育てられていたが、15歳の時に院長の様子に疑問を覚えてから本当の両親を探したい一心に駆られ、中学校卒業と同時に書き置きを残して孤児院を脱走する。1人で聞き込みを続けていたある夜中、行動を不審に思った巡回中の警察官に受けた職務質問から咄嗟に逃げてしまい、身を潜めた公園で発見された所を空木に助けられた一件から両親探しの情報収集を兼ねた探偵助手を始め、数ヶ月後に関わった女子高生殺人事件で被害者の友人であったあゆみと出会う。
事件解決を機に探偵助手に加わったあゆみと空木の3人で数々の事件に当たっていた2年後、明神村の名主である綾城家に仕える執事の依頼を受けて多忙の空木の名代として向かった折、一時行方不明となる。程無く身を案じて明神村を訪れたあゆみと再会するが何らかの理由で記憶喪失に陥ってしまい、記憶を取り戻すためにあゆみの勧めに従って改めて調査に乗り出す。
断片的に記憶を蘇らせる中で次々と起こる連続殺人事件を調査するうち、ひょんな事から謎に包まれていた自身の出自にまつわる一部始終を知る事となり、あまりに重い不幸を背負った両親の姓で我が子の未来を苦しめまいとした母の願いで父方でも母方でもない便宜上の姓にすり替えられただけでなく、その母が今まさに事件の鍵を握る綾城家直系の長子、即ちその息子である自身も本家筋の正統血族であると判明するも、思う所あって事件解決後に綾城家への復帰を正式に辞退した。
幼さを残す見た目から一部の人物に「探偵クン」と愛称されるものの、実は15歳時点で黒帯持ち（空手三段）の実力者。
橘あゆみ（たちばな あゆみ）
『空木探偵事務所』兼任助手。17歳。
尾地谷村の木材商『橘木材店』を経営する橘真之介の孫娘だが、街中の『私立丑美津高校』進学を契機に実家を離れて生活している。2年前に起こった殺人事件の第一被害者が親しい友人であり、その死の真相を究明するべく危険を承知で主人公の調査に協力して悲惨な事件を解決し、この事件をきっかけに空木に頼み込んで日中は高校生活を、放課後は探偵助手を務める二足の草鞋生活を始める。
2年後、事件調査で出掛けたまま連絡が途絶えた主人公の行方を追って明神村に向かったものの、そこで発見したのは何らかの理由で記憶を失った主人公であり、探偵事務所に連れ帰ってどうにか名前を思い出させる事に成功した上で主人公に調査の再開を提案する。以後は探偵事務所の留守番をしつつ、情報を持ち帰った主人公の推理を手伝って綾城家連続殺人事件の解決に尽力する。
この事件と前後する冬頃、実家に帰省した際に前村長の草野剛三が何者かに刺殺される殺人事件が発生し、あろうことか母が第一発見者として警察で事情聴取を受ける運びとなったため、事件解決よりも母の無実証明を誓って空木の協力を得ながら真相究明に挑む。
長期連休には欠かさず山村の実家に戻って病床に伏す母と共に笑って過ごし、生前の親友を通じて知り合った不良の河合ヒロミに全く臆せず正しく接するなど非常に優しい心の持ち主であり、シリーズ唯一の皆勤キャラクターでもある。
空木俊介（うつぎ しゅんすけ）
『空木探偵事務所』所長。38歳。
警察をして一目置く名探偵であり、捜査協力のために事務所を留守にする多忙な日々を送る。ある夜中に公園で出会った主人公から事情を聞き出し、探偵助手としてその身を預かった数ヶ月後、警察から協力を依頼された時効寸前の未解決事件が主人公の追う女子高生殺人事件と符合する事実に気付き、主人公が得た有力情報を基に警察と共に当時の事件関係者を調べ直して事件解決に一役買った。
主人公が綾城家連続殺人事件の調査に乗り出した際には長期出張中であったため、この事件については全く手を触れておらず、尾地谷村殺人事件の際も別件を抱えていた事から電話での相談に留まり、事件が収束してからようやくあゆみとの合流を果たした。
助言者
明神村で開業医を営む熊田、丑美津高校で美術教師を務める駒田、尾地谷村で開業医を営む今田が担当する各作品のサポートアドバイザー。
言葉尻に「ぢゃ」、苗字の2文字目に「田」が付く共通点を持ち、頑固な一面を覗かせるが基本的には気さくで親切な上、在所の古株であるために過去の有力情報に詳しい心強い存在。
関連イラスト
- 丑美津高校怪談 うしろの少女
「彼女、本当に…あなたのうしろに、立っているかもしれないわよ…。」
- ファミ探みんなのトラウマ
「お、お前ら、お前らも…殺してやる！」
- 迷探偵、大・参・上!!
「拍手でお迎え下さい…！不死身探偵、オル…ガクリ。」
