図鑑データ
「深雪だよ。よろしくな!」
概要!行っくぞぉー!
『艦隊これくしょん』稼働当初から登場していた駆逐艦娘の一人。
吹雪型標準の青いセーラー服に、黒の外ハネするショートボブが特徴。
おとなしめな艦娘が多い吹雪型の中にあって突出してやんちゃな性格をしており、自らを「深雪さま」と名乗り、語尾も「~だぜ!」などと荒っぽい。夜戦時に至っては必殺の砲撃に「深雪スペシャル」という名前を付けている様子さえ伺える。
興味を持ったものには我先にと飛び込んで行くが、それ以外にはややものぐさとムラっ気な傾向がある事も特徴で、「娘」と言うより「息子」な雰囲気である。
実艦が組成していた第十一駆逐隊の僚艦(吹雪・白雪・初雪)が最初期の段階で全て揃っており、かつ、吹雪が公式4コマ等で主人公に抜擢されているという事から、アクティブさを活かしたストーリーの展開役を担う事が多い。
また、公式4コマ中では、島風とかけっこしたり、冬の早朝から半裸で乾布摩擦したりと、非常に健康的な艦娘として描かれてもいる。
余談だが、実艦は建造中は「第三十八号駆逐艦」という艦名だった。
ああ、電、別に心配いらないから!へーきへーき!元気元気!
深雪を語る上で欠かせない事柄が、史実における駆逐艦「電」との衝突事故である。
完成から丁度5年目となる1934年(昭和9年)6月29日、演習中に「電」が船腹に突っ込み後部が破断・水没。救援に駆け付けた軽巡洋艦「那珂」によって残された前部の曳航が試みられるも、損傷の激しさからそれも途中で断念され、廃艦となってしまったのである(※1)。
同年8月15日除籍。この事故により乗組員3名が死亡、2名が行方不明となっている。なお、旧日本軍の駆逐艦で、駆逐艦同士の衝突で沈没にまで至った例はこれが唯一となる(※2)。
この関係から、彼女は艦これが主題としている第二次世界大戦に一切関わっていないどころか、そもそも戦争を全く知らない稀有な艦娘(※3)となっている。
もっとも、逆にこの史実が、深雪の底抜けの明るさを形作っている節がある。
艦娘は、実艦の活躍時期が1945年に近づけば近づく程、参加戦闘が悲惨であればある程、悲観的なものの見方をする傾向にあり(例:時雨・秋月)、終戦まで残存し一見明るいようでいても、よくよく見ているとある種の達観をした結果であると思われる例(北上・隼鷹等)も少なくない。
彼女は良くも悪くもそうした歴史とは無縁の、「束の間の平和」たる昭和初期の空気を今に伝える艦娘なのである。
実際、ゲーム中の「運」のステータスを見ても、他の不幸艦とされる方々とは異なり平均値の10(改造後12)を確保しており、他の吹雪型姉妹と遜色ない。
そもそも、彼女は「事故を起こした事」に言及しているものの、「電に沈められた事」は上手く悟られないように話している。そのため、「当人にとってはさほど遺恨にはなっていないのではないか」とする見解が主流となっている。「改」となった後の放置ボイスでは、電に対して気丈に振る舞う様子が伺えるようにもなった。
公式4コマでは、第2話より早くも那珂との間で沈没ネタが登場している。
以降も第10話で初の海上訓練に際して、深雪を指導していた古鷹と電を指導していた妙高が、お互い相手に気づき距離を取る様子に伊勢から「(本人はそれどころではないようだが、)あの辺の組み合わせはヒヤヒヤする」と心配されたり、第53話で「壁際で寝ていた電が隣室の深雪に引き寄せられるかの様に寝返りを打っていた」事が怪談の一種として語られたりと度々触れられている。
もっとも、深雪自身はさほど深く考えておらず、2度目の生を満喫するキャラクターとして描かれている。第十一駆逐隊の扱いも、史実の駆逐隊が揃わない 叢雲・磯波両名への配慮もあり、「特Ⅰ型」に分類される6人が適宜組み替わりながら組成する事としているという。
一方、二次創作界隈では、初期に電を腹黒キャラとして描くというネタが流行していた影響で、悪意を持って沈められる・かませ犬として使い捨てられるという扱いがなされる事が少なくなかった。
現在ではそうしたブームも落ち着き、他方ではアニメ版(深雪は未登場)にて「運命の軛」という概念が示唆された影響もあって、むしろ「歴史の影響下に無い一種の特異点」として注目される事が多くなっている。参照すべき史実をほとんど持たない深雪は、逆に何を起こしても不思議ではないのである。
ついでに言うと、深雪は 日独伊三国同盟も知らない(※4)。
日英同盟は既に失効(1923年)していたものの、「海外艦」と聞いて彼女が一番に思い浮かべるのはイギリス海軍かもしれない。英国出身をアイデンティティにしている艦娘もいる事だし。
※1:この沈没が「轟沈」と表現されている事も多いが、「轟沈」とは「攻撃、あるいは自爆で一瞬で沈没する事(概ね数分くらい)」を意味する単語であるので、後部側ですら事故後4時間ほどは浮いていた「深雪」に適用する事は適切ではない。
なお、「電」は後に米潜水艦の雷撃で船体が真っ二つに折れ、僅か2分で「轟沈」する事となる。
※2:その理由の一つとして、当時の乗組員には損傷時の対処方法が十分に教育されていなかったという事が挙げられている。この事故は新兵への教育課程を見直す契機となり、旧軍の「ダメコン」に対する意識を向上させる事となった。
※3:第一次世界大戦 の終戦が1918年、実艦「深雪」の完成が1929年、日中戦争の開戦が1937年である。また、艦これでは赤城らの運命を変えた大災害として知られる関東大震災の発生は1923年であり、これも回避している。
※4:日独防共協定締結1936年・3国軍事同盟締結1940年。もっとも、ナチスが「第三帝国」を成立させたのが沈没前年の1933年であるため、後年はきな臭い空気が漏れ伝わってきていた可能性もある。
関連イラスト、もういっちょ!
あ~めんどくさ~い。な~んか関連タグだよ~?
第十一駆逐隊:吹雪(艦隊これくしょん)・白雪(艦隊これくしょん)・初雪(艦隊これくしょん)+叢雲(艦隊これくしょん)(深雪沈没後の補充)
電(艦隊これくしょん):衝突相手。「みゆづま」のカップリングタグも存在。
阿武隈(艦隊これくしょん) 最上(艦隊これくしょん):衝突歴繋がり。特に最上は「持ちネタ」として自分から積極的に触れていく傾向にある。
レーベレヒト・マース マックス・シュルツ:友軍原因の沈没繋がり。公式4コマでは「話が合う」と言っている。もっとも、こちらは敵艦と誤認されて明確な攻撃を受けたというより凄惨な最期であった。
加古:明るくサバけた性格やものぐさな一面、「加古スペシャル」というネーミングセンス等、性格に共通点の多い重巡洋艦娘。ただし、こちらは隙あらば居眠りしたりとだいぶものぐさ側に寄っている。
グラーフ・ツェッペリン(艦隊これくしょん):実艦が未成に終わった特異点その2。ただし、戦後に着工部分がソ連軍に接収されて各種試験に供されているため、戦争と全くの無縁というわけではない。
高良みゆき:『らき☆すた』の登場人物。名前繋がりで公式にコラボフィギュアが作られた。