深雪(艦隊これくしょん)
みゆき
『艦隊これくしょん』稼働当初から登場していた駆逐艦娘の一人。
吹雪型標準の青いセーラー服に、黒の外ハネするショートボブが特徴。
おとなしめな艦娘が多い吹雪型の中にあって突出してやんちゃな性格をしており、自らを「深雪さま」と名乗り、語尾も「~だぜ!」などと荒っぽい。夜戦時に至っては必殺の砲撃に「深雪スペシャル」という名前を付けている様子さえ窺える(二次創作でも公式・非公式を問わず彼女が登場する作品ではこれをネタにされるということも割と多い)。
興味を持ったものには我先にと飛び込んで行くが、それ以外にはややものぐさとムラっ気な傾向がある事も特徴で、「娘」と言うより「息子」な雰囲気である。
実艦が組成していた第十一駆逐隊の僚艦(吹雪・白雪・初雪)が最初期の段階で全て揃っており、かつ、吹雪が4コマ漫画吹雪、がんばります!等で主人公に抜擢されているという事から、アクティブさを活かしたストーリーの展開役を担う事が多い。
また、4コマ漫画中では、第1話冒頭で島風とかけっこしたり、第24話などでは冬の早朝から半裸で乾布摩擦したりと、非常に健康的な艦娘として描かれてもいる。
余談だが、実艦は建造中は「第三十八号駆逐艦」という艦名だった。
イラスト、サンキューな!
艦これサービス開始以来、改の新規イラストは追加されていないが公式での新規イラストは以下のものが存在する。初期は極端になく、4周年以降急速に増加しているがこれは初雪や白雪にも共通する。
- 三越コラボ
2017年3月の三越コラボで販売された国稀酒造の日本酒ラベルに瓶を持った姿で登場。
初の公式描き下ろしイラスト。
- 4周年記念
2017年5月2日、艦これ4周年記念にゲーム内で4周年記念掛け軸が実装された。掛け軸をクリックすると第十一駆逐隊の集合イラストが表示される。
白雪、深雪、吹雪、初雪が並んでいて満艦飾をまとっている。
このイラストは週刊ファミ通2017年5月11・18日合併号の表紙にも採用された。
- 7周年記念
C2機関のTwitter公式アカウントでしばふ氏描き下ろしイラストに登場。
初雪との2ショット。装備のないセーラー服姿。
- 深雪スペシャル
2019年12月25日、深雪スペシャルとしてクリスマスイラストがゲーム内で追加。通常グラフィックとの差分ではあるがサンタ帽を被り左手にプレゼント袋を持っている。なお中破イラストでもサンタ帽とプレゼント袋はそのままである。
- 艦隊これくしょん -艦これ- KanColle Original Sound Track vol.VI
2021年4月7日発売。描き下ろしキービジュアルとして雪の中の深雪(装備あり)が描かれている。
- 節分mode
2022年1月21日、節分modeのイラストがゲーム内に追加された。
ああ、電、別に心配いらないから!へーきへーき!元気元気!
深雪を語る上で欠かせない事柄が、史実における駆逐艦「電」との衝突事故である。
竣工から丁度5年を迎えたとなる1934年(昭和9年)6月29日、演習中に「電」が船腹に突っ込み後部が破断・水没。救援に駆け付けた軽巡洋艦「那珂」によって残された前部の曳航が試みられるも、損傷の激しさからそれも途中で断念され、廃艦となってしまったのである(※1)。
同年8月15日除籍。この事故により乗組員3名が死亡、2名が行方不明となっている。なお、旧日本軍の駆逐艦で、駆逐艦同士の衝突で沈没にまで至った例はこれが唯一となる(※2)(とはいえ2019年時点で実装された艦の中には戦闘で乗組員が全員死んだ艦もいるので、これでも犠牲者の数としては割合と人数のいずれにしても下から数えた方が早い方である)。
また、艦これでは叢雲が第十一駆逐隊のメンバーと関わっている事が多いが、これは史実で深雪の補充に彼女が用いられた事によっている。
この関係から、彼女は艦これが主題としている第二次世界大戦に一切関わっていないどころか、そもそも戦争を全く知らない稀有な艦娘(※3)となっている。
もっとも、逆にこの史実が、深雪の底抜けの明るさを形作っている節がある。
艦娘は、実艦の活躍時期が1945年に近づけば近づく程、参加戦闘が悲惨であればある程、悲観的なものの見方をする傾向にあり(例:時雨・秋月)、終戦まで残存し一見明るいようでいても、よくよく見ているとある種の達観をした結果であると思われる例(北上・隼鷹等)も少なくない。
彼女は良くも悪くもそうした歴史とは無縁の、「束の間の平和」たる昭和初期の空気を今に伝える艦娘なのである。
実際、ゲーム中の「運」のステータスを見ても、他の不幸艦とされる方々とは異なり平均値の10(改造後12)を確保しており、他の吹雪型姉妹と遜色ない。
そもそも、彼女は「事故を起こした事」に言及しているものの、「電に沈められた事」は上手く悟られないように話している。そのため、「当人にとってはさほど遺恨にはなっていないのではないか」とする見解が主流となっている。「改」となった後の放置ボイスでは、電に対して気丈に振る舞う様子が窺えるようにもなった。
4コマでは、第2話より早くも電との間で沈没ネタが登場し、那珂に救助されていた。
以降も第10話で初の海上訓練に際して、深雪を指導していた古鷹と電を指導していた妙高が、お互い相手に気づき距離を取る様子に伊勢から「(本人はそれどころではないようだが、)あの辺の組み合わせはヒヤヒヤする」と心配されたり、第53話で「壁際で寝ていた電が隣室の壁際で寝ていた深雪に引き寄せられるかの様にうなされながら寝返りを打っていた」事が怪談の一種として語られたりと度々触れられている。
もっとも、深雪自身はさほど深く考えておらず、「色々あった気がするけど、今はみんなと一緒に戦う事ができるだけで嬉しい」と2度目の生を満喫するキャラクターとして描かれており、北上がその姿勢に思わず涙し、改二になる事に拘っていた吹雪が「贅沢言ってすみませんでした!」と思わず謝るほど。
第十一駆逐隊も基本的に深雪が在籍している扱いとなっており、そのため叢雲は長らくメンバーが一人足りないために揃っていない第十九駆逐隊へ助っ人として参加するという名目(彼女自身、当初組成していた第十二駆逐隊の僚艦が全く存在しない「バラ」の存在でもあるのだが)で、深雪が第十一駆逐隊で活動できるように配慮している。
深雪も叢雲に気を遣われている事は承知しており、「むしろ叢雲には迷惑かけちゃってるんで」と語っている。
第70話にて一度だけゲーム内での任務の再現で叢雲が在籍している第十一駆逐隊が出撃した事もあるが、その際も吹雪達の強い希望で深雪も艦隊に参加した(ただし1-5任務についてはルートを逸れてしまうので深雪の方から逃げ出した)。
また、後の戦争をほとんど知らないので、他の艦娘のエピソードを尋ねる役を担う事も多い。
一方、二次創作界隈では、初期に電を腹黒キャラとして描くというネタが流行していた影響で、悪意を持って沈められる・かませ犬として使い捨てられるといった扱いがなされる事が少なくなかったが、現在ではそうしたブームも落ち着いている。
※1:この沈没が「轟沈」と表現されている事も多いが、「轟沈」とは「攻撃、あるいは自爆で一瞬で沈没する事(概ね数分くらい)」を意味する単語であるので、後部側ですら事故後4時間ほどは浮いていた「深雪」に適用する事は適切ではない。
なお、「電」は後に米潜水艦の雷撃で船体が真っ二つに折れ、深雪が沈むまでにかかった時間のなんと1/120の僅か2分で「轟沈」する事となる。
※2:その理由の一つとして、当時の乗組員には損傷時の対処方法が十分に教育されていなかったという事が挙げられている。この事故は新兵への教育課程を見直す契機となり、旧軍の「ダメコン」に対する意識を向上させる事となった。
※3:第一次世界大戦 の終戦が1918年、実艦「深雪」の完成が1929年、日中戦争の開戦が1937年である。また、艦これでは赤城らの運命を変えた大災害として知られる関東大震災の発生は1923年であり、これも回避している。
深雪さまの特異性、見てくれた?
アニメ版(深雪は未登場)にて「運命の軛」という概念が示唆された影響もあって、「歴史の影響下に無い一種の特異点」として注目される事が多くなっている。参照すべき史実をほとんど持たない深雪は、逆に何を起こしても不思議ではないのである。なお、運営も深雪について「艦これ」の大切な特異点と発言している。
この点は、ゲーム攻略に直接関わってくるという意見もあり、「歴史の影響下にない深雪は、全てのイベントで絶対に編成指定を受けない=遊撃隊的にどのマップでも気兼ねなく運用することができる」と考えられている(そして、現在のところその読みは全て当たっている)。
公式4コマでもルート固定要員となった吹雪・白雪・初雪と別行動を取ったエピソードが描かれた。
なお、深雪が劇場版に登場していたら劇場版のラスボスの無念と比較される可能性があった。もっとも、深雪が戦争を経験する前に沈んだのに対し、ラスボスの史実の最後は上司の指示に従った結果、無駄死同然になってしまったので、見方によっては「あちらのほうが悲惨」「戦争に参加しなかっただけマシ」との声もある(※4)。なんにせよ深雪が明るく振舞いながらも心の底に沈んでいる無念は彼女らとはまた違ったものであるのだろう。
ついでに言うと、深雪は 日独伊三国同盟も知らない(※5)。
日英同盟は既に失効(1923年)していたものの、「海外艦」と聞いて彼女が一番に思い浮かべるのはイギリス海軍かもしれない。英国出身をアイデンティティにしている艦娘もいる事だし。
また、深雪は第十一駆逐隊が三水戦に編入される前に沈没しているので、「十一駆だが三水戦ではない」という地味にややこしい立ち位置だが、19年秋イベにて川内が友軍艦隊として三水戦を連れてきた際に深雪もいるパターンがあるので艦これにおいては深雪も史実を越えて三水戦入りした模様。
2021年9月28日のアップデートで深雪改の火力が+2上方修正され最大51に、索敵値も+3され最大値が42となった。吹雪型の姉妹艦にはこのような修正は無かった為「何か特別な役回りが次のイベントで与えられるのでは?」と深読みしている提督もいた…まぁ、いつも通り特になかったのだが。
2022年4月23日のアップデートでの9周年記念ボイスではなんと「10周年になったら、深雪改二を実装してほしい(意訳)」と1年後の改二実装を所望してきた。
そして2023年1月3日に開催された『New Year SHIGURE Live! 2023』にて艦これ10周年記念として榛名改二乙/榛名改二丙・時雨改三と共に深雪改二の実装が予告された。
そして2023年4月23日。1年前の発言からきっかり1年経った10周年のその日に、遂に深雪改二が実装された。
※4:これはサボ島沖での戦いを指していると見られる。なおこの戦闘では吹雪以外にも古鷹などが沈んでしまった。
ちなみに、このサボ島沖海戦での大量犠牲のきっかけを作った青葉もこの3年後の呉軍港空襲にて撃沈されてしまっている。
※5:日独防共協定の締結が1936年・3国軍事同盟の締結が1940年。もっとも、ナチスが「第三帝国」を成立させたのが沈没前年の1933年であるため、後年はきな臭い空気が漏れ伝わってきていた可能性もある。第三帝国成立当時、陸軍からも"ファッショ"(ファシストの戦前訳)と呼んで危険視する意見は出ていた。
- 艦隊これくしょん 駆逐艦娘 吹雪型 だぜ子
- 第十一駆逐隊:吹雪(艦隊これくしょん)・白雪(艦隊これくしょん)・初雪(艦隊これくしょん)+叢雲(艦隊これくしょん)
- 磯波(艦隊これくしょん):ゲーム内で互いに言及するセリフが収録されている。こちらも何かと浮いた存在になりがちな艦娘であるため、磯波側から見ても貴重な繋がり。
- 電(艦隊これくしょん):衝突相手。「みゆづま」のカップリングタグも存在。
- 阿武隈(艦隊これくしょん) 最上(艦隊これくしょん):衝突歴繋がり。特に最上は「持ちネタ」として自分から積極的に触れていく傾向にある。
- レーベレヒト・マース(艦隊これくしょん) マックス・シュルツ(艦隊これくしょん):友軍原因の沈没繋がり。公式4コマでは「話が合う」と言っている。もっとも、こちらは敵艦と誤認されて明確な攻撃を受けたというより凄惨な最期であった。
- 加古(艦隊これくしょん):明るくサバけた性格やものぐさな一面、「加古スペシャル」というネーミングセンス等、性格に共通点の多い重巡洋艦娘。ただし、こちらは隙あらば居眠りしたりとだいぶものぐさ側に寄っている。
- 宗谷(艦隊これくしょん):深雪が最初に沈んだ帝国海軍の艦娘であれば、宗谷はいまだに喪失していない帝国海軍最後の生き残り。
他の特異点的艦娘はどいつだぁ?
- グラーフ・ツェッペリン(艦隊これくしょん):実艦が未成に終わった特異点その2。ただし、戦後に着工部分がソ連軍に接収されて各種試験に供されているため、戦争と全くの無縁というわけではない。
- アクィラ(艦隊これくしょん):実艦が軍艦としては未成に終わった特異点その3。ただし改装前の客船「ローマ」としては活躍経験があり、また改装中に戦争における攻撃を一方的に受けた経験はある。
- ゴトランド(艦隊これくしょん):戦争に参戦した事がない特異点その4。ただし第二次世界大戦期自体は経験しており、自らもビスマルク撃沈に間接的とはいえ関わっている。
- 伊203(艦隊これくしょん)、伊201(艦隊これくしょん):実戦経験が全くない特異点その5,その6。戦争末期に竣工し訓練をしたのみで攻撃をしたこともされたこともなく、戦後アメリカに接収された後も実戦投入されることなく海没処分になっている。
- ジャン・バール(艦隊これくしょん):戦後になってやっと完成した特異点その7。就役は1940年だがそれから9年も未完成のままで、竣工したのは戦後4年も経った1949年。ただし未完成のままでの実戦経験はある。
- 熊野丸(艦隊これくしょん):戦争中は一切活躍の場がなかった一方戦後の活躍が大きい特異点その8。竣工時には護衛する対象が既に存在せず港に係留されたまま終戦を迎えたが、終戦後に復員船として大活躍した。
- まるゆ(艦隊これくしょん):特異点というか、特異線。約40隻のまるゆすべての集約体であるため、戦没艇であると同時に生存艇であると同時に未成艇である。
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