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バナージ・リンクスの編集履歴

2018-11-02 00:53:30 バージョン

バナージ・リンクス

ばなーじりんくす

バナージ・リンクスとは、「機動戦士ガンダムUC」の登場人物。同作の主人公。

CV:内山昂輝


人物像

顔も知らない父親の計らいで復興計画の最中にあるサイド4(旧サイド5)の工業コロニー・インダストリアル7に設立されたアナハイム・エレクトロニクス社系列の、アナハイム工業専門学校に通う学生。16歳。

普段は薄黄色のパーカーの上に、アナハイム工専の制服を改造したジャケットを着用し私服としている。

ブッホ・ジャンク社(後にクロスボーン・バンガードを決起させ、サイド4を独立経済圏として確立させるブッホ・コンツェルンの中核企業)でプチモビを使ったデブリ回収のアルバイトをしているため、プチモビやモビルスーツの操縦に関して豊富な知識を持つ。


日常の生活に対して「ずれたような感覚」を感じながらも学生として過ごしていたが、偶然コロニーのシャフトから落下するオードリー・バーンミネバ・ラオ・ザビ)を助けた事で、後にラプラス事変と呼ばれる事になる地球連邦軍と「袖付き」の『ラプラスの箱』を巡る小規模軍事衝突に巻き込まれる事になる。


インダストリアル7でロンド・ベルネオ・ジオン残党「袖付き」が戦闘を開始した際、コロニービルダー「メガラニカ」にて運命に導かれるかのように瀕死のカーディアス・ビストから『ラプラスの箱』へ繋がる鍵たるユニコーンガンダムを託される。


カーディアスが壮年になってからもうけた実の息子(正妻の子ではなく愛人の子)であり、幼少期にその才能に目をつけた父によって特殊な訓練を受けさせられていたが、それが父と母の離別を招き、バナージも記憶を無意識の内に封印していた。

また、ユニコーンガンダムの加速Gに適応する特異性も持ち合わせており、いっときは強化人間の可能性が指摘されたが、ユニコーンガンダムに搭載された「La+(ラプラス)プログラム」の性質もあって、後にその可能性は否定されている(宇宙世紀に於いては、生まれ持って高いG耐性を有する人間が確認されている)。


一途でまっすぐな性格の持ち主であり、大人や組織の都合に捕われず、信頼出来ると思った人物は所属の関係なしに信頼する潔さを持つ。

また、悲劇を目の当たりにしようとも希望を見出す事を忘れないその性格が様々な人物に影響を与え、『箱』を巡る紛争はやがて連邦とジオンという垣根を越え、ヒトの可能性を信じる者達とそれを否定する者達との戦いに様相を変えていく。

特にマリーダから告げられた「それでもと言い続けろ」は彼を象徴するキーワードとなる。


ラプラスの箱』を巡るロンド・ベル・「袖付き」の攻防の中で鹵獲や救出、救助、拘束など様々な要因で双方の陣営を行き来する事になるが、そんな中で様々な人物との出会いと別れを繰り返し、時として心が折れそうになりながらも立ち上がり、次第に人間として、ニュータイプとして成長していく。

ユニコーンガンダムに搭載された「La+プログラム」によって示される座標を転戦し、その最終座標であるコロニービルダー「メガラニカ」の最奥部にて自身の曽祖父たるサイアム・ビストと対面し、『ラプラスの箱』の正体を知る。

そして、『箱』の開放を願ったオードリーを守るべく、メガラニカに潜入して来たフル・フロンタルと対峙。ユニコーンガンダム2号機を駆るリディ・マーセナスとの共闘により、赤い巨大MAネオ・ジオングを退けるも、直後にマリーダ・クルスの思念から、連邦とビスト財団の上層部が『箱』をメガラニカごと破壊するべくコロニーレーザーの照射準備に入っている事を伝えられる。


バナージとリディは、託された希望を守り抜くべく、二機のユニコーンガンダムのサイコ・フィールドを用いてその砲撃を受け止めようとするが……。


家族関係

サイアム・ビスト・・・曾祖父

カーディアス・ビスト・・・父

アルベルト・ビスト・・・兄(腹違い)

マーサ・ビスト・カーバイン・・・叔母


名台詞

「それでも!」

バナージを象徴する一言。多くの大人達の善意と正論を以ってしてもどうにもならない残酷な現実の前に挫けそうになっても、バナージはこの言葉を叫ぶ。人の持つ可能性と希望を信じ、バナージはこの言葉で自らを奮起させて、その熱意と行動を以って人の内なる可能性を示していく。


「なんとかする!」

エネルギーの尽きたプチ・モビルスーツでの不時着を試みる際に。終盤でもう一度同じことを言った際も絶体絶命の状況だったが、両方とも本当に「なんとかしている」のが凄い。


「みんな、明日の予定だって、来週の予定だってあったんだ! あんなの…人の死に方じゃありませんよ!」

カーディアスがMSで単身逃亡を図ろうとしていると勘違いし、事態を止められなかった事への苦言から続く発言。

かつて母の穏やかで尊厳ある死の光景を見たからこそ、バナージは友人達が戦闘に巻き込まれて理不尽に命を奪われたことが許せなかった。


「私のたった一つの望み…可能性の獣…希望の象徴…。父さん…」

「…母さん、ごめん…。俺は行くよ!」

ユニコーンガンダムを初めて起動させる際の独白。全てを思い出した彼の脳裏に浮かんだのは、幼い頃に父と見た「貴婦人と一角獣」のタペストリー。

そして、自分にこのような道を歩ませまいとした母親へ詫びつつ、自分が護りたい人の為にバナージは「可能性の獣」を目覚めさせる。


「ここから、出ていけぇーッ!!」

ユニコーンで組み付いたマリーダのクシャトリヤを、凄まじい気迫と共にインダストリアル7から押し出した。宇宙に出た所で、クシャトリヤのファンネルによる猛攻を受けそうになるも、直後NT-Dが発動、ユニコーンは「ガンダム」へと「変身」する。


「オードリーだよ! 嘘でも本当でも、俺にはオードリー・バーンだ!」

人質として拘束された際、「ミネバ・ザビ」として振る舞うオードリーに対して。バナージのこの態度は常に一貫しており、彼女をザビ家の末裔という政治的存在として扱うことなく、あくまで「オードリー」という一人の人間として向き合い続けた。


「リディ少尉。男と見込んだ。オードリーを頼みます」

オードリーと共に地球に降下するリディに向けて送った信頼の言葉。リディはこれを「殺し文句」と評し、無事オードリーを送り届けることに成功するが…。


「やったな…!」

「あんただけは……墜とす!今度は外さない…!」

フロンタルにダグザを殺された怒りでNT-Dを発動し、バナージは敵意を剥き出しにして暴走状態のまま死闘を繰り広げる。基本的に可能な限りコクピットを狙わずに相手の戦闘能力を奪うことを重視するバナージだが、フロンタルに対しては容赦無く攻撃しようとするのがポイントである。

しかし、ついにフロンタルの駆るシナンジュを照準に捉えた直後、パラオ滞在中にバナージの世話をしてくれていたネオ・ジオン兵ギルボアがフロンタルをかばい……。


「やりました…。やったんですよ! 必死に! その結果がこれなんですよ!!モビルスーツに乗って、殺し合いをして、今はこうして砂漠を歩いている! これ以上何をどうしろって言うんです!? 何と戦えって言うんですか!?」

ガランシェールの捕虜となった後、地球へと不時着。「ただのパイロット」ではどうにもできない現実の存在に打ちのめされながら、ジンネマンと共に砂漠を移動中にこう叫んだ。


「自分が地獄を見たからって、他人にそれを押し付けていいってことはないんだ!」

シャンブロの蹂躙を止めたいバナージと、それを許さないジンネマンの口論にて。

最初は一方的に殴られていたバナージだったが、自分の心を言葉という形にしていく中で、反撃へと転じ、最終的には逆にジンネマンを返り討ちにしてしまった。


「わからないからって……悲しいことが多すぎるからって……感じる心を止めてしまっては駄目なんだ!だから、人の悲しさを……悲しいと感じる心があるんだってことを、忘れたくない!それを受け止められる人間になりたいんです! キャプテンと同じように!!」

沈黙したジンネマンに胸を押さえながら訴えるバナージ。一年戦争を知らないバナージには、その戦争と敗戦で様々なものを奪われたジンネマンたちの苦悩や痛みを本当の意味で理解することはできない。

しかし、ジンネマンと接したことで、彼が心から虐殺に加担するほど冷酷な人間ではないことを知っているバナージは、必死にその心に訴えかける。


「俺は箱の鍵じゃない…人間だ。そしてお前は、人の力を増幅するマシーンなんだ。お前はそのために作られた。人の心を、悲しさを感じる心を知る人間のために…だから、怒りに呑まれるな!」

ロニの暴走を止めるためにガランシェールから出撃したバナージ。

関係のない民間人を一方的に虐殺したシャンブロは許せない。しかし、そうする理由も知ったからには怒りのままに刃を向けるわけにはいかない。バナージはユニコーンを“ガンダム”に変身させることなくシャンブロの前に降り立ち、制止しようと試みる。


「撃てませーん!!」

自身の説得によっていっときは収まる気配を見せたものの、カークスの死を感じ取り再び暴走を始めたロニの駆るシャンブロ。それを止めるため、リディのデルタプラスと共に急行するバナージ。

シャンブロにビームマグナムを向けるが、サイコミュの呪縛から解き放たれ、それでもどうにもならない現実がある事をロニと「分かり合ってしまった」バナージは、リディに「可能性に殺されるぞ!! そんな物、捨てちまえ!!」と言われてなお、トリガーを弾く事が出来なかった。

結局、バナージを見かねたリディの手により奪われたユニコーンのビームマグナムでシャンブロは撃たれ、ロニは散っていった。

バナージを演じた内山昂輝氏は、上記の台詞(と場面)をOVA版『機動戦士ガンダムUC』の中で最も印象に残った場面として挙げている。


「…なんだか、他人事みたいだ」

「自分たちの今後を語っているのに、あなたの言葉には他人事みたいな冷たさを感じる」

袖付きと呉越同舟となったネェル・アーガマにて、サイド共栄圏構想について語ったフロンタルに対して。

自らをスペースノイドの総意の器と称しておきながら、その宿願を何の熱も感情も感じさせない口ぶりで語るフロンタルが、バナージには不可解でならなかった。それもその筈、フロンタル自身は「人間はどうやっても変わることは無く、何をやっても無駄」と諦観しているためである。

ちなみに原作小説版ではバナージではなく、レイアムがこれに相当する台詞を述べている(曰く、「昆虫の巣を観察する研究者みたいな」)。


「"みんな"のために……みんなのために使う!」

「連邦もジオンも、宇宙も地球も関係ない!みんなのために『ラプラスの箱』を…!」

袖付きとの決裂後、交戦状態に陥ったネェル・アーガマにてフロンタルと対峙し、彼から「君に何ができる? 君は『ラプラスの箱』をどう使うというのだ?」と問われて。

それはフロンタルのような「現実に徹する大人」からすれば、何の具体性も現実味も無い「子どもの理想論」でしかないのかもしれないが、それでもバナージ自身が『箱』を巡る道程で、自らの身を以って得た確かな答えであった。一方、この言葉から自身と同じ「総意の器」となる素質を見出したフロンタルは、いつか自分と同じ絶望に突き当たると述べ、彼を誘い込もうとする。フロンタルの「もう君は"みんな"の中には帰れない」という言葉に動揺するバナージだったが、その時、「"それでも"と言い続けろ、バナージ!」というマリーダの声が響く。


「それでも…それでも…!」

最終決戦と言うべき戦いの中、ネオ・ジオングのサイコシャードとユニコーンのサイコフレームの共鳴により、“刻(宇宙の記憶)”を見るバナージとフロンタル。そしてフロンタルは刻の果てにある光無く時間すら止まった暗黒の虚無の世界をバナージに突きつけ、遅かれ早かれいずれ消えゆく人類には希望も可能性も無意味なのだと淡々と語る。

虚無と絶望に押し潰されそうになるバナージだったが、「それでも」彼は自身の中にある熱を喪わずに立ち上がる。


「きっと、帰る……!」

証拠隠滅を目論むマーサ・ビスト・カーバインらの指示で放たれたコロニーレーザーからメガラニカを守るべく、自らの命を賭してバナージはサイコ・フィールドを展開する。そして…。


「オー…ドリー…」

最後の台詞。バナージが自らの限界を超えたニュータイプ能力を発揮したことで、「ユニコーンガンダム【光の結晶体】」を新生させるも、代償として肉体をコクピットに置き去りに、精神をサイコフレームへと取り込まれてしまう。

サイコシャードの能力を最大限に引き出し、連邦軍MS大部隊のジェネレーターの核融合反応を“腕の一振り”で停止させ、仲間たちを守り抜くも、無垢なるバナージの想いのまま、“虹の彼方”に佇む父・カーディアスの“形象”へ向かい飛び立とうとする。

しかし、リディの必死の呼びかけ、そして我が子の想いを抱き留めながらも“父”が指さす場所を見やったバナージは、「自分が帰るべき人」の名を思い出す……。



原作小説版

「気取った名前…」

輸送艦ガランシェールが入港するためアルバイトが中止になったため船体に書かれた船名に対して腹癒せ混じりに吐き捨てた言葉。まさかこの船(並びに船員)と関わり合うことになるとはこの時は分かる術もないが…。


「誰の指示でもない。これ以上の戦闘は無意味だと言った。退かねば、この《ガンダム》の力をもって侵攻を阻止する!」

小説版のシャンブロ戦にて。シャンブロで虐殺を行うマハディ・ガーベイに対し、ビームガトリングガンを突き付けながらロニ曰く「別人のような声色」で撤退するように勧告する。

白人への憎しみに取り憑かれ、私怨をもって虐殺を行う彼とシャンブロの行為に怒りを覚えるバナージは、ロニがたじろぐほどの強い意思をもってその前に立ち塞がった。


「ユニコーンガンダムは、伊達じゃない……!」

小説版にて。大気圏離脱を行なったガランシェールから伸びたグラップル・アームと、バリュートを使用し大気圏ギリギリを維持しているネェル・アーガマから伸びたテザー・ケーブルを両腕で捕まえ、ユニコーンのフレームが過負荷で引き千切られることを覚悟で機体のスロットルを最大限に開いて直接接続を試みた時に言い放った台詞。

これはもちろん、『逆シャア』でのアムロ・レイの台詞のオマージュである。

システムによって自身の肉体にもダメージがフィードバックされ、苦しむバナージ。その時、彼の両手にそれぞれの船に縁のある宇宙に散った男達の魂の手が添えられる。彼らの想いを受け取った瞬間、ユニコーンのサイコフレームの色が威圧感のある赤から、かつてアクシズを防いで地球を救った光と同じ穏やかな緑へと変化。そしてその光はガランシェールとネェル・アーガマを包み込んで大気圏外へと持ち上げていった。


「中年の絶望を押し付けてもらっては、困る!」

小説版、インダストリアル7宙域でのフロンタルとの戦いで、フロンタルの「ニュータイプは若さが生む一過性の力だ。永続はせず、大局を覆すことも出来ない。即ち…若気の至り」という言葉への反論。ガンダム世界ではお馴染みの「子供VS大人」(若者VS老人)の構図。


「人が器になれるものかよ! 何があなたをそうさせた!? その絶望の根源はなんだ!? その仮面を脱げ、フル・フロンタル!!」

小説版にて。フロンタルの目論むサイド共栄圏構想はスペースノイドの独立という観点では確かに理に適った現実的な方策だが、結局はアースノイドとのパワーバランスを逆転させるだけで根本的な解決策にはならず、バナージはそのわかりやすく卑小な結論に終始するフロンタルに対して叫ぶ。

その瞬間、バナージはサイコフレームの共鳴を通して、完全なる虚無の暗闇が広がるフロンタルの心象世界を垣間見る。それは「全ては無駄なのだ」という底なしの絶望だった…。


「あんたはニュータイプなんかじゃない。自分は何もしない、できないくせに、人を嗤うことしかしない。ただの下衆だ」

小説版、フロンタルとの最終決戦にて。シャアという仮面(ペルソナ)を被り、他人に本心を見せないままに思わせぶりに立ち回って利用するフロンタルの本質が、「何も無い自分を憐れむ空っぽな個人が世界を憎み、拾い物の他人の言葉に感情を載せているだけの、偽物ですらないシャアの紛い物」であることを看破したバナージは、彼を痛烈に批判する。


「亡霊は、暗黒に帰れぇっ!」

小説版にて。バナージはリディの駆るバンシィと共闘し、自分の中の虚無と「シャアの怨念」に呑み込まれて化け物の如き強さを発揮するフロンタルのシナンジュとの死闘の末に、ついにありったけの思念を注いだユニコーンのハイパービームトンファーで、シナンジュを大破させて吹き飛ばした。しかしその直前、フロンタルは自らの死にすら頓着することなく、バナージはもうオールドタイプである「『みんな』の下には帰れない」という不吉な予言を告げる…。


関連イラスト

たったひとつの望み

ガンダムUCGUNDAM UNICORN


関連項目

機動戦士ガンダムUC

ユニコーンガンダム

オードリー・バーン ミネバ・ラオ・ザビ フル・フロンタル

カーディアス・ビスト スベロア・ジンネマン ダグザ・マックール

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